gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ダークマターの分布図を眺める

2017-09-03 08:07:45 | ブログ
 DES(Dark Energy Survey)のグループが、その観測結果に基づいて、ダークマターの分布図を発表した。以下にこれを転載させていただきます。



 このダークマター・マップは、80億光年より近いところにある2600万銀河の重力レンズ効果を測定することにより作成されたものである。マップは、全天の1/30をカバーしているという。

 この測定結果から得られたダークマターの密度分布を示すマップは、宇宙背景放射の観測から得られた理論(宇宙の26%がダークマター、70%がダークエネルギー、4%が通常物質であるというもの)をほぼ支持するものであるという。

 こうなると、WMAPの観測結果である宇宙背景放射のマップ(以下WMAPという)の上にこのダークマター・マップを重ねると何が分かるのかということになる。

 WMAPは、高温のため光の伝達もままならなかった宇宙が冷めてきて原子が形成された結果、一挙に光が放射されるようになったという黒体放射の痕跡を今に伝えるもの、言われている。WMAPに見られる物質密度のわずかなゆらぎである「むら」がその後の宇宙の大構造形成に反映されているという。

 ダークマター・マップ上のダークマターの分布を見ると、ダークマター密度の高いところと低いところの区別がはっきりし過ぎていて、ダークマター分布の「むら」のようなものがあるとも見えない。

 しかし、WMAPとダークマター・マップとの間には根本的な相違があることを考慮しなければならない。

 第1に、WMAPは全天からやってくるマイクロ波の強度分布を測定したものであるのに対し、ダークマター・マップは、80億光年先にある銀河光がより近くにある多数銀河によってどの程度曲げられるかを測定し、ダークマターの分布状況を計算したものであり、測定方法が異なる。

 そのため、ダークマターの分布に「むら」があるとしても、それがダークマター・マップに反映されているとは限らない。

 第2に、WMAPが137億年前の物質密度の分布を今に伝えるものであるのに対し、ダークマター・マップは、地球の近くにある2600万銀河領域の中にあるダークマターの密度分布を示すものであり、対象の測定年代が異なる。

 両者の間にこれほどの違いがあるにもかかわらず、ダークエネルギー/ダークマター/通常物質の質量比率がよく一致するということは、DESの観測結果の精度の高さを物語るものでしょう。

 WMAPで物質密度の高い場所とダークマターの密度の高い場所とは、よく一致するという。ダークマターがなかったとしたら、銀河が形成されなかったであろうと言われている。

 そもそも宇宙背景放射があるということは、物質の世界には電子と光子があり、電子間の相互作用に光子が介入する結果、光を含む電磁波が生成されて伝達されるという原則があるためである。

 重力レンズ効果に見るように、ダークマターが物質の世界に重力を及ぼすことは明らかであるが、重力以外の力が通常物質に影響を及ぼすか否か明らかでない。

 また、ダークマターの中にも電子と光子に相当する素粒子があって、ダークマター間の相互作用が生じるのか否か、議論されているところであろう。

 そう言えば、リサ・ランドールは、著書「ダークマターと恐竜絶滅」の中で、ダークマターの中には、電磁力に似た力を通じて相互作用するものが存在することを前提にしていた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿