【二幕目】
はじまりはまた現代。オペ真っ最中
両袖のせりから上がってくるのは、下手は体育すわりで縮こまってるユキヒコ
上手が闇太郎。
観客の笑いをさそうのは
「ユキさん、ユキさん、起きてください、休憩時間はもうおわりですよ!」
との 闇太郎の第一声。
この場面では、あきらめモードのユキヒコの一方、
自殺サイトではブンタがユキヒコに呼びかけ続け、死をあおる連中と
必死にやりあっています。
それをおぎんバァがみつけ(手術の助手はいいのか、おぎんバァ(^_^;)
タカミヤに知らせます。
それを聞いたタカミヤはおぎんバァに、サイトへ口述筆記ならぬ
口述書込みを頼みます。
どう見ても、おぎんバァの入力はタカミヤの話す速度に
合っていないんですが、そこは おぎんバァの年の功による
要約術が働いているのかと自分を説得(^_^;)
すると、どうしたことでしょう。この書き込みを受けて、
今まで沈黙してたらしいユキヒコガンバレ派による「電車男」再現
のような書き込みが続々とつづきます。
この状況にブンタ感動。
これを見て「君はひとりじゃない」 というタカミヤに多少、
態度を軟化させたのか、ユキヒコはここまで聞いたんだから
最後まで雪之丞の話を聞いてからでも死ぬのは遅くないだろう
と 闇太郎に話しの続きを促します。
というわけで、話は再び江戸に戻って、土部の屋敷。
いきなり拷問シーンです。拷問を受けてるのは長崎屋・広海屋・お滝さん。
浪路サマと雪之丞はどこへ行ったーっと責めをうけてるわけですが、
そんなことを知るはずもない三人には 答えようがありません。
で、話題の二人は、どうしているか。
場面は変わって、闇太郎さんいわく「あっしの星のあっしの家」。
ちなみに闇太郎さんちは白鳥座デネブのそばのサジタリウスという惑星。
地球の言葉でいうと緑の星だとか。
で、どんな場面になってるかといいますと、
橋のところに六角形をたてに長く伸ばしたような形で
細かい縦線がいっぱい入ってるアクリル板っぽいのが、
互い違いに横に並んでいます。
これに、青いライトが当たって なんとなく宇宙っぽい雰囲気を
かもし出しています。
盆にのってアクリル?板を組んでつくったようないすが2つでてきます。
これが照明を反射して 時折キラキラと光るんですが、この効果が
意外とSFな感じをかもし出しています。
あと、1階で見てたときはわからなかったんですが、2階からみると、
青い四角いスポットライトがランダムに、舞台をうろうろ
照らしています。これが時々、アクリルのいすに当たって、
舞台の上方に青い四角い光をうつしだしてりして、
これもなかなか、SFチック。
個人的には四角い形のスポットライトって、珍しいな
と思いました。(そうでもないのかな?)
で、そんな舞台で話をしているのは、雪之丞と闇太郎。
浪路はまだ目をさましていないとか。
闇太郎からこの星では1日が地球の1年にあたると聞いた雪之丞が
「舞台に穴をあけたっ!」と狼狽するあたり、役者ですねぇ。
しかし、上様にたてついた浪路とその主原因の雪之丞の二人が
このまま地球にいても安住はできまい と、闇太郎は
「いっそこの星で暮らしませんか」 と提案する。
事実、全くそのとおりなんで、心揺れる雪之丞。
そんな雪之丞に 闇太郎は あそこに見える小さい星、
あれが 江戸であなたが見てるお天道さま。
と、宇宙の大きさ、地球の小ささ、そして、雪之丞がすんでる所、
あれもココと同じような星のひとつなんだ
という話をします。 この話に なんか目からウロコの雪之丞。
そうですよねぇ。江戸の頃の人が、自分が今立っているのが、
夜、空に見える星と同じような星のひとつだ。
なんて認識をもっては いないですよねぇ。
ちなみに、ここの闇太郎と雪之丞の語らいの場面は、
このお芝居の中でも特に私の好きな場面のひとつです。
そんな言い感じの場面です。
ところで、雪之丞さん、あなたいつ着替えたの??(^_^;)
と そこに闇太郎の奥さんが 浪路がいなくなったと駆け込んできます。
いや、日本語しゃべれませんよ。ピロポロピロ って、
あのスターウォーズのR2C2(でしたっけ?(^_^;) の
しゃべる声みたいな音がするんです。
それを通訳by闇太郎でお届けしてくれるわけです。
女房のなりは闇太郎とつりあうかどうかは別にして どこぞのお内儀の態。
いや、サジタリウス星の宇宙人がみんな江戸っ子なんじゃなくて
ですね、雪之丞を驚かせようというホストの心意気なんですね。
この女房を演じるのは、2006年バージョンでは
自殺サイト群集の中で(多分)紅一点だった喜昇さん。
この女房も、ほんとに江戸の小粋な女房って感じで
実際にセリフはないんですが、なんかとっても好印象。
ちなみにこの女房の出てくるところでは、声の音のイメージ
そのままにカラフルなライトが舞台面を駆け巡ってます。
これも2階席で見て初めてわかりました。
で、浪路はどこに行ったか。
闇太郎さんちの近くをさまよってたんですね。
雪之丞が自分の父を仇として狙う男である ということと同じくらい
自分が雪之丞の仇の娘である ということにショックな浪路。
父親の罪を許してもらいたい。仇討ちをあきらめて父親の命を
助けてもらいたい。
という思いと 自分の身体を流れる仇の血を雪之丞には許して
もらえまい
という思い込みの果ての結論は
「自分が死ぬことで 仇の血が流れる、それで父親は許してもらおう。」
というもの。
雪之丞が浪路を選んだことを知っている観客の
「いやー それはちがうでしょ」
というココロの声(そんなの出してるのは私だけ?(^_^;))は
当然、届かないし、宇宙のかなたのこの星では、通りすがりに
そんな浪路を影からこっそり見ていて止めに入ってくれる
江戸っ子な心意気の人もいません。
折りよく周りの環境も 見たこともないような荒地。
おまけに空がないんです。空は宇宙。
江戸時代の人である浪路が ここは地獄か と思うのも無理ない
状況です。
おまけにねぇ、持ってたんですよ、懐剣を。
こういう危ないものは 宇宙船に乗るときに手荷物チェックで
はじかなきゃねぇ。
で、折りよくか悪しくか、そこに闇太郎と雪之丞が浪路を探して
やってくるんですが、見つけられるや否や、浪路は懐剣をグサっと
胸に一突き。
闇太郎が必殺の光線をあてて瀕死の浪路を救おうとしますが、
本人に助かる気がないと全く効き目がでてくれないこの必殺光線。
・・・あっ、必殺してどうする(ーー;)
万能光線です。万能光線。はい。
で、結局、既に死の決意を固めてる浪路は雪之丞に
「自分の死で父を許して。恨む気持ちには終止符を」
というようなことを遺言します。
浪路の子犬のようなぬくもりに魅かれておちた雪之丞、
だんだん冷たくなってくる浪路に取りすがって絶叫。
「私のぬくもりをすべてあげるから、どうかお願い、
冷たくならないで!!」
でも、それは無理。雪之丞は浪路を江戸に葬るため、
江戸に戻る決意をします。
このセリフ、後でも一度出てきます。要チェック。
場面は変わって江戸の三斎邸玄関。
いつの間にかおかれていたつづらの横っ面から飛び出してきたのは
闇太郎。
三斎本人の前で全開したつづらの中身は浪路の亡骸。
そこに上手に突如姿を現した(回転壁から出てきた)のは
着流し姿(=男姿)の雪之丞。
やっぱり、男の格好の方がいいですよ、段治郎さん。
ちなみに、ここの闇太郎が出てくる場面、昼の部では闇太郎が
飛び出した後、中から手が出てきて扉を閉めてましたが、
夜の部では、勝手に閉じてました。
昼はアクシデントだったみたいです。(^_^;)
雪之丞は三斎に浪路の遺言と、
それに従って自分はもう仇討ちをしない旨を告げますが、
将軍の愛妾という大事な出世の手づるを失った という思いが
圧倒的に強い三斎がそんな言葉に納得できるはずもなし。
言うだけ言って用件を果たしてドロンと消えた闇太郎と雪之丞を
用心棒たちが追いかけます。
さて、ドロンと消えた闇太郎と雪之丞。ひそかに市村座の近くまで
やってきてました。
雪之丞失踪後、一座の興行が一時は危なかったけど、
仲間のがんばりで盛り返したと聞きほっとする雪之丞。
ここでドコカデミタ(^_^;)大きな月をバックに、
雪之丞と闇太郎は語り合い、これからは自分のために自分の力で
生きていくという雪之丞は、恩返しは来世に、と闇太郎に頼みます。
そして今度生まれ変わるころには、地球人がサジタリウス星まで
いけるようになってるかもしれない と聞いて、じゃぁ今度は自分が
闇太郎に会いに行く と約束します。
つまり、2006年のユキヒコが宇宙飛行士を目指してたのは、
これが根っこにあるようなんですね。なるほどね~。
でも、この場面の中で雪之丞は、闇太郎に
「来世でもあっしのことを忘れないでくださいよ」
と、念を押されて、忘れるもんかと自信たっぷりなんですが、
きれーさっぱり、忘れてましたねぇ(^_^;)
ちなみに、この2人の来世での再会を約束するくだり、
私がこのお芝居の中で一番、好きな場面です♪
東京でこのお芝居やってたら、この場面を見るために
チケット買い増しに走るかもしれません(^_^;)
そのくらい、個人的には好きです。
それから、地球人よりもはるかに長い年月を生き、
悩みや苦しみを超越した種族である闇太郎にとって、
地球人は恐ろしく短い 取るに足らないような一生なのに、
それを物語で彩って豊かに生きてるというふうに見えるそうです。
その物語ってのは 自分たちから見れば幼稚なものだし、
物語をよくすることに夢中になって、本当の人生を豊かにする
ことに気が付かないのはとてもばかげて見えるけど、でも、
もう物語を必要としなくなった自分たちからみると
妙に懐かしくて いとしく思えるとか。
あぁ、私、闇太郎の一族にスカウトに来て欲しいかも(^_^;)
悩みも苦しみも超越したいです~
あ、でもそうすると、歌舞伎も楽しめなくなっちゃう。
それはマズイか。<(ーー;)
で、闇太郎退場。 橋の上からスポーンと穴に落ちて
一瞬で消えた態になります。
ところがこの直後に雪之丞に追いついたのが、平馬を筆頭とする
三斎の家臣。
追いつかれた雪之丞は、自分はもう仇討ちをするつもりはない。
無益な争いはやめよう とかなんとかいうわけですが、
そりゃー憧れの君の浪路さんを奪われた上に自害した亡骸にして
返されたわけですから、平馬の怒りの矛先は雪之丞にしか
向けようがありません。
なんで、そんなこと言われて、「はいそうですね」
と引き下がるわけにも行きません。
で、尋常に勝負しろとなりますが、浪路に誓ったから
二度と刀は持たない と、これまた平馬の神経を逆なでするような
発言をして「斬るなら斬れ」と いう態度にでます。
しかし、そこは平馬も一応、武士の端くれ。
丸腰のヤツを斬れるか!と縄を打って三斎邸に連れ帰ることにします。
その雪之丞がつっこまれたのは三斎邸の蔵の中。
先客は拷問でボロボロの広海屋、長崎屋、お滝さん。
ここの場面の冒頭 雪之丞が入ってくるまでの3人の会話は、
個人的にはちょっと怖くてパス。(T_T)
ところで、雪之丞さん、あなた、いつ草履脱いだの??
で、新入り雪之丞は三人に 「安心しろ、自分はもう仇討ちはやめた」
と、これまたゴーイングマイウェイな発言をしますが、
こいつのためにここまでボロボロにされた3人にとっては
「ふざけるな」もいいところ。
3人がかりで雪之丞を責め殺そうとしますが、
そこにタイミングよく下手の抜け穴から侵入してきたのが
毎度 かき混ぜコンビのお初姐さんとムク。
雪之丞 危機一髪を助けた二人は、とにかく、ココを逃げましょう
と雪之丞に持ちかけますが土蔵の扉の外には三斎が。
それを知った雪之丞は 三斎に命をかけて話すことがある
と、逃げようとしません。
そこに雪之丞の決意を知ったお初さんは何も言わずにムクを連れて退場。
なんかお初さんがいじましくってかわいそうですが、
さすが姐御 な場面でもあります。
しかし、いつからお初さん、雪之丞好きになったのかなぁ。
最初の方は、あんまり雪之丞にほれてるようには感じなかったんですが、
後半になると「ベタボレだった」って感じの展開をしているんですよね。
さて、蔵に入ってきた三斎は、浪路を失った悲しみよりは、
出世の道が閉ざされた失ったショックから、既に正気では無さげな状態。
雪之丞としては、浪路の遺言の意味をもっと考えてと、
まっとうに説得するつもりでいたんでしょうが、
「雪之丞を斬らねばおさまらぬ」オーラを漲らせている三斎には
焼け石に水。
そんな状況が読めず、「お慈悲を~」と取りすがるお滝さんや
広海屋を「元はといえば」と一刀両断した三斎は、残る長崎屋に
「命を助けて欲しくば雪之丞を抑えておけ」と命じますが、
結局体力の差で斬られる直前に羽交い絞めを振り切った雪之丞の
代わりに斬られちゃう長崎屋。(ーー;)
この3人の惨殺シーンは、壁や床の隠し布を倒れこむ時に
上手く取り払うことで、その下に書かれていた血糊を表に出し、
さらに赤いライトをべったり当てて血まみれ状態を演出。
怖がりの私には リアルな血より いいかも。(^_^;)
で、この後は 三斎VS雪之丞
よけて、逃げて、白ハタ見せて♪ 足見せて♪♪ な立ち回り
逃げ回る雪之丞、追いかける三斎、果てはいつの間にかできてた
2階(=橋の上)への階段を駆け上り橋の上での最終対決。
いやー やっぱり猿弥さんと段治郎さんのたちまわりって
スピード感溢れてるな~
このテンポでの立ち回りは さすが澤瀉屋!
ここで刀をおしかえす弾みに 三斎を切り付けちゃった雪之丞。
直後は自分のしたことに気が付かなかった雪之丞、ハッと気がつき、
その意味するところが浪路の遺言を破ることと知り、
どうやっても自分は仇討ちの宿命から逃れられないのか~
とあきらめの境地が一気に押し寄せられ
浪路の遺言にさえぎられてた 「殺らなければ、殺られる」
という危険信号も本能的に届き、
「ウワーッ」となってぷっつりとキレる雪之丞。
タケルの時もそうでしたが、段治郎さん、こういう「うわーっ」
という動揺振りが真に迫っております。
来月の「油地獄」、獅童さんとダブルキャストでやってくれると
面白いかな♪ なんて、こともふとアタマをよぎります。
で、ここからは攻守逆転で展開していき、最後はもちろん、若さの勝利。
三斎は2階から1階にかかる階段に血をしたたらせ、
頭から仰向けに、階段の上がり口のところで絶命。
ここも階段の布がパっと取り払われ 血糊がベターっとなるわけですが
この布を敷いた階段を、段治郎さんと猿弥さんはあのスピードで
たちまわりしながら登っていったわけですよね。
よく、すべらなかったもんだ。(^_^;)
さて場面は変わって蔵の外。
こちらでは 短筒片手にお初姐さんが 平馬を筆頭とした土部家家臣
を相手に奮闘中。
雪之丞が三斎と命をかけた大事な話し合いをしてるんだ、
終わるまでは誰もいれないよ というお初姐さんのかっこいいこと!
子分のムクが雪之丞の師匠の菊之丞を連れてきたところに
一応、乱れた衣服も改めて、でも、ものすごい憔悴の態で
蔵を出てきた雪之丞は、お初さんの短筒で負傷している平馬に
風呂敷包みを投げつけます。
厭な予感で中身を改めた平馬は 主人を慕って首を持って退場。
・・・瀧之さんってば、首片付け要員なのか~っ
で、復讐は果たしたけど、お江戸のお披露目興行に穴を開けたことが
心残りな雪之丞。
しかし正式な仇討ちでもなく三斎を討ち果たしたわけだから、
どうでも死罪は免れない身の上。
役者雪之丞、一世一代の舞い納め、と選んだ演目は「鷺娘」。
う~ん・・・どうにもこの演目の選定に 玉三郎さんが見え隠れ
しちゃうのは 偶然なのかなぁ<(ーー;)
しかし、それはいいとして、段治郎さん、やはりちょっと苦戦です、鷺娘。
足さばきかなぁ。うーん。<(ーー;)
あと、手にしてたはススキみたいな棒状のやつなんですが、
なんか付いてるものが振り回すたびに取れていきます。
これもアクシデントか?と思いましたが、夜の部で見たときも
取れまくりだったんで、元々こういうものらしいです。(^_^;)
で、とにかく「鷺娘」を踊り終えた雪之丞は
「人がこの世で遣り残したことはあまりに多い。
それを果たすために人は何度も生まれ変わる。
でも、今の世の自分にできることはしつくしたから、未練は無い」と
その場で自害。
生き延びりゃぁいいのになぁ・・・・
あと、ココの場面で、血の演出なんでしょうが、自害直後に
真っ赤な炎幕が降りてきてムラムラと。
でも、ここ、火事じゃないんだから、ムラムラさせないで、
一瞬、広げて、すぐ振り落として、雪之丞に廻りを取り囲むように
したほうが、なーんとなくきれいかも~
なんてこと考えてみたりして。
でも、きっとこの布、次に登場の笑也さん&階段隠しの効果も
あるんだろうからな~
で、舞台中央手前で倒れふす雪之丞。
炎幕がなくなると舞台の中央、橋から雪之丞に向かって伸びる
階段が浮かび上がり、橋から降りてくるのは白い着物の浪路。
浪路は(多分)鷺になり、パタパタと雪之丞の廻りを飛び回り、
最後は雪之丞にかぶさるように舞い降ります。
うーん、パタパタやるんだったら、振袖の方が良かったんじゃ
ないかな~(^_^;)
と、ここでなんとなく暗黒調の音楽が流れて、
黒子さんがわさわさと出てくるわけです。
で、機械的な動きで2人を引き離して立たせると、
鬘をとるわ 衣装ベリベリひっぱがすわで、アレヨアレヨという間に
浪路はDr.タカミヤに、雪之丞はユキヒコにと
作りかえられていきます。
これがあるから、2006年のお二人は白塗りだったんですね~。
なるほど、なるほど。
あと、ここで、最後の仕上げに黒子さんが4人がかりで
ユキヒコを横にしてベッドの上に横たわらせるんですが、
なんかあの身長の男の人をあんなふうに持ち上げて運ぶのって
見てる分にはダイナミックな感じなんですが、運ぶ人は
かなり、重いんじゃないかな(^_^;)と。
で、時計は2006年に。
手術を終えたDr.タカミヤは 意識の戻らないユキヒコを抱え起こして、
「私のぬくもりをすべてあげるから、どうかお願い、冷たくならないで!!」
かつて雪之丞が浪路に絶叫したセリフを、ユキヒコに向かって絶叫。
緊急手術を終えた患者をそんな風に抱き起こしていいのか~っ
それから、個人的にはあのセリフ、あの力と熱のいれかげんまで
雪之丞そっくりにしなくても、ユキヒコの手でも握って
タカミヤモードの口調で淡々と語ってもらった方が、
対照的で面白かったかな~ なんて思ったりしました。
なんとなく個人的に笑也さんの絶叫モードは 違和感があるんですよ(^_^;)
うーん、でも、これって女形な笑也さんの先入観なのかな~<(ーー;)
で、覚醒するユキヒコ。少し離れたところに立ってる闇太郎。
ココから先は二人の世界になります。
闇太郎は 何があなたたちにとって恩返しになるのか、
わからなくなってきた。どうすれば恩返しになるのか、悪いが、
暫くこの悩みを楽しませてもらいますよ
と ユキヒコと次の再会を誓い、まってましたの宙乗りで
宇宙に飛び去っていくのでした。
宙乗りは上手から下手へのすじかい宙乗り。
国立より長い長い。やっぱりこっちが先ですよね、すじかい宙乗りは。
しかし、私はこんなシンプルな衣装での宙乗りは、はじめて見ました。(^_^;)
右近さんは 白衣のような白い衣装でほぼ直立姿勢のまま
腕を組んでとんでいきます。
むしろゴテゴテ飾りがついていたり動きがある方が、隠れる部分が多いし
バランスとったりとラクかもしれません。
途中で180度回転したりしてます。
で、1階で見てたときはわりとスーッと動いていったように
見えたんですが、2階でみたら、結構、ゆれてます(ーー;)。
スーッ、スーッと区切れながら動いているようですが
その区切れにガクンと大きく揺れてます。
うーん、結構、怖いかも~。
ちなみにこの場面、本舞台は途中で幕が下りてしまいますので、
後半は右近さん独壇場。
さぁ、最後は楽しい 恒例のカーテンコール。
これが好きなんですよね~私♪
何がうれしいって、今回は瀧之さんが1人で登場!!
ワーイ♪
皆さん、衣装はお江戸バージョン。
段治郎さんは ポスターにもなってるあの黒地に笹と雪の衣装。
笑也さんもちゃんと浪路になってます。
最後は右近さん。
こちらも宙乗りの時の白い衣装ではなく、ネズミ小僧スタイルの
立ち姿がかっこよく見える衣装です。
そして、緞帳が下りるとき、瀧之さ~ん、遊んでますね~(^_^;)
昼は緞帳と一緒にひざ折って最後まで粘ってたし、
夜はピースをしてました。
門之助さんに怒られてないといいなぁ(^_^;)
◆役者さん・その他へ
http://blog.goo.ne.jp/hm_notari/e/b838f5a36f7234c8a8e57da1e1b9f07b
■一幕目に戻る
http://blog.goo.ne.jp/hm_notari/e/48a88e00cb73f67c51f801309cd1f385
※コメントは親記事にお願いします。
◆親記事:2006年5月:中日劇場「雪之丞変化2006」
http://blog.goo.ne.jp/hm_notari/e/5e1a5c3473ce7481f7a469c138b47707
はじまりはまた現代。オペ真っ最中
両袖のせりから上がってくるのは、下手は体育すわりで縮こまってるユキヒコ
上手が闇太郎。
観客の笑いをさそうのは
「ユキさん、ユキさん、起きてください、休憩時間はもうおわりですよ!」
との 闇太郎の第一声。
この場面では、あきらめモードのユキヒコの一方、
自殺サイトではブンタがユキヒコに呼びかけ続け、死をあおる連中と
必死にやりあっています。
それをおぎんバァがみつけ(手術の助手はいいのか、おぎんバァ(^_^;)
タカミヤに知らせます。
それを聞いたタカミヤはおぎんバァに、サイトへ口述筆記ならぬ
口述書込みを頼みます。
どう見ても、おぎんバァの入力はタカミヤの話す速度に
合っていないんですが、そこは おぎんバァの年の功による
要約術が働いているのかと自分を説得(^_^;)
すると、どうしたことでしょう。この書き込みを受けて、
今まで沈黙してたらしいユキヒコガンバレ派による「電車男」再現
のような書き込みが続々とつづきます。
この状況にブンタ感動。
これを見て「君はひとりじゃない」 というタカミヤに多少、
態度を軟化させたのか、ユキヒコはここまで聞いたんだから
最後まで雪之丞の話を聞いてからでも死ぬのは遅くないだろう
と 闇太郎に話しの続きを促します。
というわけで、話は再び江戸に戻って、土部の屋敷。
いきなり拷問シーンです。拷問を受けてるのは長崎屋・広海屋・お滝さん。
浪路サマと雪之丞はどこへ行ったーっと責めをうけてるわけですが、
そんなことを知るはずもない三人には 答えようがありません。
で、話題の二人は、どうしているか。
場面は変わって、闇太郎さんいわく「あっしの星のあっしの家」。
ちなみに闇太郎さんちは白鳥座デネブのそばのサジタリウスという惑星。
地球の言葉でいうと緑の星だとか。
で、どんな場面になってるかといいますと、
橋のところに六角形をたてに長く伸ばしたような形で
細かい縦線がいっぱい入ってるアクリル板っぽいのが、
互い違いに横に並んでいます。
これに、青いライトが当たって なんとなく宇宙っぽい雰囲気を
かもし出しています。
盆にのってアクリル?板を組んでつくったようないすが2つでてきます。
これが照明を反射して 時折キラキラと光るんですが、この効果が
意外とSFな感じをかもし出しています。
あと、1階で見てたときはわからなかったんですが、2階からみると、
青い四角いスポットライトがランダムに、舞台をうろうろ
照らしています。これが時々、アクリルのいすに当たって、
舞台の上方に青い四角い光をうつしだしてりして、
これもなかなか、SFチック。
個人的には四角い形のスポットライトって、珍しいな
と思いました。(そうでもないのかな?)
で、そんな舞台で話をしているのは、雪之丞と闇太郎。
浪路はまだ目をさましていないとか。
闇太郎からこの星では1日が地球の1年にあたると聞いた雪之丞が
「舞台に穴をあけたっ!」と狼狽するあたり、役者ですねぇ。
しかし、上様にたてついた浪路とその主原因の雪之丞の二人が
このまま地球にいても安住はできまい と、闇太郎は
「いっそこの星で暮らしませんか」 と提案する。
事実、全くそのとおりなんで、心揺れる雪之丞。
そんな雪之丞に 闇太郎は あそこに見える小さい星、
あれが 江戸であなたが見てるお天道さま。
と、宇宙の大きさ、地球の小ささ、そして、雪之丞がすんでる所、
あれもココと同じような星のひとつなんだ
という話をします。 この話に なんか目からウロコの雪之丞。
そうですよねぇ。江戸の頃の人が、自分が今立っているのが、
夜、空に見える星と同じような星のひとつだ。
なんて認識をもっては いないですよねぇ。
ちなみに、ここの闇太郎と雪之丞の語らいの場面は、
このお芝居の中でも特に私の好きな場面のひとつです。
そんな言い感じの場面です。
ところで、雪之丞さん、あなたいつ着替えたの??(^_^;)
と そこに闇太郎の奥さんが 浪路がいなくなったと駆け込んできます。
いや、日本語しゃべれませんよ。ピロポロピロ って、
あのスターウォーズのR2C2(でしたっけ?(^_^;) の
しゃべる声みたいな音がするんです。
それを通訳by闇太郎でお届けしてくれるわけです。
女房のなりは闇太郎とつりあうかどうかは別にして どこぞのお内儀の態。
いや、サジタリウス星の宇宙人がみんな江戸っ子なんじゃなくて
ですね、雪之丞を驚かせようというホストの心意気なんですね。
この女房を演じるのは、2006年バージョンでは
自殺サイト群集の中で(多分)紅一点だった喜昇さん。
この女房も、ほんとに江戸の小粋な女房って感じで
実際にセリフはないんですが、なんかとっても好印象。
ちなみにこの女房の出てくるところでは、声の音のイメージ
そのままにカラフルなライトが舞台面を駆け巡ってます。
これも2階席で見て初めてわかりました。
で、浪路はどこに行ったか。
闇太郎さんちの近くをさまよってたんですね。
雪之丞が自分の父を仇として狙う男である ということと同じくらい
自分が雪之丞の仇の娘である ということにショックな浪路。
父親の罪を許してもらいたい。仇討ちをあきらめて父親の命を
助けてもらいたい。
という思いと 自分の身体を流れる仇の血を雪之丞には許して
もらえまい
という思い込みの果ての結論は
「自分が死ぬことで 仇の血が流れる、それで父親は許してもらおう。」
というもの。
雪之丞が浪路を選んだことを知っている観客の
「いやー それはちがうでしょ」
というココロの声(そんなの出してるのは私だけ?(^_^;))は
当然、届かないし、宇宙のかなたのこの星では、通りすがりに
そんな浪路を影からこっそり見ていて止めに入ってくれる
江戸っ子な心意気の人もいません。
折りよく周りの環境も 見たこともないような荒地。
おまけに空がないんです。空は宇宙。
江戸時代の人である浪路が ここは地獄か と思うのも無理ない
状況です。
おまけにねぇ、持ってたんですよ、懐剣を。
こういう危ないものは 宇宙船に乗るときに手荷物チェックで
はじかなきゃねぇ。
で、折りよくか悪しくか、そこに闇太郎と雪之丞が浪路を探して
やってくるんですが、見つけられるや否や、浪路は懐剣をグサっと
胸に一突き。
闇太郎が必殺の光線をあてて瀕死の浪路を救おうとしますが、
本人に助かる気がないと全く効き目がでてくれないこの必殺光線。
・・・あっ、必殺してどうする(ーー;)
万能光線です。万能光線。はい。
で、結局、既に死の決意を固めてる浪路は雪之丞に
「自分の死で父を許して。恨む気持ちには終止符を」
というようなことを遺言します。
浪路の子犬のようなぬくもりに魅かれておちた雪之丞、
だんだん冷たくなってくる浪路に取りすがって絶叫。
「私のぬくもりをすべてあげるから、どうかお願い、
冷たくならないで!!」
でも、それは無理。雪之丞は浪路を江戸に葬るため、
江戸に戻る決意をします。
このセリフ、後でも一度出てきます。要チェック。
場面は変わって江戸の三斎邸玄関。
いつの間にかおかれていたつづらの横っ面から飛び出してきたのは
闇太郎。
三斎本人の前で全開したつづらの中身は浪路の亡骸。
そこに上手に突如姿を現した(回転壁から出てきた)のは
着流し姿(=男姿)の雪之丞。
やっぱり、男の格好の方がいいですよ、段治郎さん。
ちなみに、ここの闇太郎が出てくる場面、昼の部では闇太郎が
飛び出した後、中から手が出てきて扉を閉めてましたが、
夜の部では、勝手に閉じてました。
昼はアクシデントだったみたいです。(^_^;)
雪之丞は三斎に浪路の遺言と、
それに従って自分はもう仇討ちをしない旨を告げますが、
将軍の愛妾という大事な出世の手づるを失った という思いが
圧倒的に強い三斎がそんな言葉に納得できるはずもなし。
言うだけ言って用件を果たしてドロンと消えた闇太郎と雪之丞を
用心棒たちが追いかけます。
さて、ドロンと消えた闇太郎と雪之丞。ひそかに市村座の近くまで
やってきてました。
雪之丞失踪後、一座の興行が一時は危なかったけど、
仲間のがんばりで盛り返したと聞きほっとする雪之丞。
ここでドコカデミタ(^_^;)大きな月をバックに、
雪之丞と闇太郎は語り合い、これからは自分のために自分の力で
生きていくという雪之丞は、恩返しは来世に、と闇太郎に頼みます。
そして今度生まれ変わるころには、地球人がサジタリウス星まで
いけるようになってるかもしれない と聞いて、じゃぁ今度は自分が
闇太郎に会いに行く と約束します。
つまり、2006年のユキヒコが宇宙飛行士を目指してたのは、
これが根っこにあるようなんですね。なるほどね~。
でも、この場面の中で雪之丞は、闇太郎に
「来世でもあっしのことを忘れないでくださいよ」
と、念を押されて、忘れるもんかと自信たっぷりなんですが、
きれーさっぱり、忘れてましたねぇ(^_^;)
ちなみに、この2人の来世での再会を約束するくだり、
私がこのお芝居の中で一番、好きな場面です♪
東京でこのお芝居やってたら、この場面を見るために
チケット買い増しに走るかもしれません(^_^;)
そのくらい、個人的には好きです。
それから、地球人よりもはるかに長い年月を生き、
悩みや苦しみを超越した種族である闇太郎にとって、
地球人は恐ろしく短い 取るに足らないような一生なのに、
それを物語で彩って豊かに生きてるというふうに見えるそうです。
その物語ってのは 自分たちから見れば幼稚なものだし、
物語をよくすることに夢中になって、本当の人生を豊かにする
ことに気が付かないのはとてもばかげて見えるけど、でも、
もう物語を必要としなくなった自分たちからみると
妙に懐かしくて いとしく思えるとか。
あぁ、私、闇太郎の一族にスカウトに来て欲しいかも(^_^;)
悩みも苦しみも超越したいです~
あ、でもそうすると、歌舞伎も楽しめなくなっちゃう。
それはマズイか。<(ーー;)
で、闇太郎退場。 橋の上からスポーンと穴に落ちて
一瞬で消えた態になります。
ところがこの直後に雪之丞に追いついたのが、平馬を筆頭とする
三斎の家臣。
追いつかれた雪之丞は、自分はもう仇討ちをするつもりはない。
無益な争いはやめよう とかなんとかいうわけですが、
そりゃー憧れの君の浪路さんを奪われた上に自害した亡骸にして
返されたわけですから、平馬の怒りの矛先は雪之丞にしか
向けようがありません。
なんで、そんなこと言われて、「はいそうですね」
と引き下がるわけにも行きません。
で、尋常に勝負しろとなりますが、浪路に誓ったから
二度と刀は持たない と、これまた平馬の神経を逆なでするような
発言をして「斬るなら斬れ」と いう態度にでます。
しかし、そこは平馬も一応、武士の端くれ。
丸腰のヤツを斬れるか!と縄を打って三斎邸に連れ帰ることにします。
その雪之丞がつっこまれたのは三斎邸の蔵の中。
先客は拷問でボロボロの広海屋、長崎屋、お滝さん。
ここの場面の冒頭 雪之丞が入ってくるまでの3人の会話は、
個人的にはちょっと怖くてパス。(T_T)
ところで、雪之丞さん、あなた、いつ草履脱いだの??
で、新入り雪之丞は三人に 「安心しろ、自分はもう仇討ちはやめた」
と、これまたゴーイングマイウェイな発言をしますが、
こいつのためにここまでボロボロにされた3人にとっては
「ふざけるな」もいいところ。
3人がかりで雪之丞を責め殺そうとしますが、
そこにタイミングよく下手の抜け穴から侵入してきたのが
毎度 かき混ぜコンビのお初姐さんとムク。
雪之丞 危機一髪を助けた二人は、とにかく、ココを逃げましょう
と雪之丞に持ちかけますが土蔵の扉の外には三斎が。
それを知った雪之丞は 三斎に命をかけて話すことがある
と、逃げようとしません。
そこに雪之丞の決意を知ったお初さんは何も言わずにムクを連れて退場。
なんかお初さんがいじましくってかわいそうですが、
さすが姐御 な場面でもあります。
しかし、いつからお初さん、雪之丞好きになったのかなぁ。
最初の方は、あんまり雪之丞にほれてるようには感じなかったんですが、
後半になると「ベタボレだった」って感じの展開をしているんですよね。
さて、蔵に入ってきた三斎は、浪路を失った悲しみよりは、
出世の道が閉ざされた失ったショックから、既に正気では無さげな状態。
雪之丞としては、浪路の遺言の意味をもっと考えてと、
まっとうに説得するつもりでいたんでしょうが、
「雪之丞を斬らねばおさまらぬ」オーラを漲らせている三斎には
焼け石に水。
そんな状況が読めず、「お慈悲を~」と取りすがるお滝さんや
広海屋を「元はといえば」と一刀両断した三斎は、残る長崎屋に
「命を助けて欲しくば雪之丞を抑えておけ」と命じますが、
結局体力の差で斬られる直前に羽交い絞めを振り切った雪之丞の
代わりに斬られちゃう長崎屋。(ーー;)
この3人の惨殺シーンは、壁や床の隠し布を倒れこむ時に
上手く取り払うことで、その下に書かれていた血糊を表に出し、
さらに赤いライトをべったり当てて血まみれ状態を演出。
怖がりの私には リアルな血より いいかも。(^_^;)
で、この後は 三斎VS雪之丞
よけて、逃げて、白ハタ見せて♪ 足見せて♪♪ な立ち回り
逃げ回る雪之丞、追いかける三斎、果てはいつの間にかできてた
2階(=橋の上)への階段を駆け上り橋の上での最終対決。
いやー やっぱり猿弥さんと段治郎さんのたちまわりって
スピード感溢れてるな~
このテンポでの立ち回りは さすが澤瀉屋!
ここで刀をおしかえす弾みに 三斎を切り付けちゃった雪之丞。
直後は自分のしたことに気が付かなかった雪之丞、ハッと気がつき、
その意味するところが浪路の遺言を破ることと知り、
どうやっても自分は仇討ちの宿命から逃れられないのか~
とあきらめの境地が一気に押し寄せられ
浪路の遺言にさえぎられてた 「殺らなければ、殺られる」
という危険信号も本能的に届き、
「ウワーッ」となってぷっつりとキレる雪之丞。
タケルの時もそうでしたが、段治郎さん、こういう「うわーっ」
という動揺振りが真に迫っております。
来月の「油地獄」、獅童さんとダブルキャストでやってくれると
面白いかな♪ なんて、こともふとアタマをよぎります。
で、ここからは攻守逆転で展開していき、最後はもちろん、若さの勝利。
三斎は2階から1階にかかる階段に血をしたたらせ、
頭から仰向けに、階段の上がり口のところで絶命。
ここも階段の布がパっと取り払われ 血糊がベターっとなるわけですが
この布を敷いた階段を、段治郎さんと猿弥さんはあのスピードで
たちまわりしながら登っていったわけですよね。
よく、すべらなかったもんだ。(^_^;)
さて場面は変わって蔵の外。
こちらでは 短筒片手にお初姐さんが 平馬を筆頭とした土部家家臣
を相手に奮闘中。
雪之丞が三斎と命をかけた大事な話し合いをしてるんだ、
終わるまでは誰もいれないよ というお初姐さんのかっこいいこと!
子分のムクが雪之丞の師匠の菊之丞を連れてきたところに
一応、乱れた衣服も改めて、でも、ものすごい憔悴の態で
蔵を出てきた雪之丞は、お初さんの短筒で負傷している平馬に
風呂敷包みを投げつけます。
厭な予感で中身を改めた平馬は 主人を慕って首を持って退場。
・・・瀧之さんってば、首片付け要員なのか~っ
で、復讐は果たしたけど、お江戸のお披露目興行に穴を開けたことが
心残りな雪之丞。
しかし正式な仇討ちでもなく三斎を討ち果たしたわけだから、
どうでも死罪は免れない身の上。
役者雪之丞、一世一代の舞い納め、と選んだ演目は「鷺娘」。
う~ん・・・どうにもこの演目の選定に 玉三郎さんが見え隠れ
しちゃうのは 偶然なのかなぁ<(ーー;)
しかし、それはいいとして、段治郎さん、やはりちょっと苦戦です、鷺娘。
足さばきかなぁ。うーん。<(ーー;)
あと、手にしてたはススキみたいな棒状のやつなんですが、
なんか付いてるものが振り回すたびに取れていきます。
これもアクシデントか?と思いましたが、夜の部で見たときも
取れまくりだったんで、元々こういうものらしいです。(^_^;)
で、とにかく「鷺娘」を踊り終えた雪之丞は
「人がこの世で遣り残したことはあまりに多い。
それを果たすために人は何度も生まれ変わる。
でも、今の世の自分にできることはしつくしたから、未練は無い」と
その場で自害。
生き延びりゃぁいいのになぁ・・・・
あと、ココの場面で、血の演出なんでしょうが、自害直後に
真っ赤な炎幕が降りてきてムラムラと。
でも、ここ、火事じゃないんだから、ムラムラさせないで、
一瞬、広げて、すぐ振り落として、雪之丞に廻りを取り囲むように
したほうが、なーんとなくきれいかも~
なんてこと考えてみたりして。
でも、きっとこの布、次に登場の笑也さん&階段隠しの効果も
あるんだろうからな~
で、舞台中央手前で倒れふす雪之丞。
炎幕がなくなると舞台の中央、橋から雪之丞に向かって伸びる
階段が浮かび上がり、橋から降りてくるのは白い着物の浪路。
浪路は(多分)鷺になり、パタパタと雪之丞の廻りを飛び回り、
最後は雪之丞にかぶさるように舞い降ります。
うーん、パタパタやるんだったら、振袖の方が良かったんじゃ
ないかな~(^_^;)
と、ここでなんとなく暗黒調の音楽が流れて、
黒子さんがわさわさと出てくるわけです。
で、機械的な動きで2人を引き離して立たせると、
鬘をとるわ 衣装ベリベリひっぱがすわで、アレヨアレヨという間に
浪路はDr.タカミヤに、雪之丞はユキヒコにと
作りかえられていきます。
これがあるから、2006年のお二人は白塗りだったんですね~。
なるほど、なるほど。
あと、ここで、最後の仕上げに黒子さんが4人がかりで
ユキヒコを横にしてベッドの上に横たわらせるんですが、
なんかあの身長の男の人をあんなふうに持ち上げて運ぶのって
見てる分にはダイナミックな感じなんですが、運ぶ人は
かなり、重いんじゃないかな(^_^;)と。
で、時計は2006年に。
手術を終えたDr.タカミヤは 意識の戻らないユキヒコを抱え起こして、
「私のぬくもりをすべてあげるから、どうかお願い、冷たくならないで!!」
かつて雪之丞が浪路に絶叫したセリフを、ユキヒコに向かって絶叫。
緊急手術を終えた患者をそんな風に抱き起こしていいのか~っ
それから、個人的にはあのセリフ、あの力と熱のいれかげんまで
雪之丞そっくりにしなくても、ユキヒコの手でも握って
タカミヤモードの口調で淡々と語ってもらった方が、
対照的で面白かったかな~ なんて思ったりしました。
なんとなく個人的に笑也さんの絶叫モードは 違和感があるんですよ(^_^;)
うーん、でも、これって女形な笑也さんの先入観なのかな~<(ーー;)
で、覚醒するユキヒコ。少し離れたところに立ってる闇太郎。
ココから先は二人の世界になります。
闇太郎は 何があなたたちにとって恩返しになるのか、
わからなくなってきた。どうすれば恩返しになるのか、悪いが、
暫くこの悩みを楽しませてもらいますよ
と ユキヒコと次の再会を誓い、まってましたの宙乗りで
宇宙に飛び去っていくのでした。
宙乗りは上手から下手へのすじかい宙乗り。
国立より長い長い。やっぱりこっちが先ですよね、すじかい宙乗りは。
しかし、私はこんなシンプルな衣装での宙乗りは、はじめて見ました。(^_^;)
右近さんは 白衣のような白い衣装でほぼ直立姿勢のまま
腕を組んでとんでいきます。
むしろゴテゴテ飾りがついていたり動きがある方が、隠れる部分が多いし
バランスとったりとラクかもしれません。
途中で180度回転したりしてます。
で、1階で見てたときはわりとスーッと動いていったように
見えたんですが、2階でみたら、結構、ゆれてます(ーー;)。
スーッ、スーッと区切れながら動いているようですが
その区切れにガクンと大きく揺れてます。
うーん、結構、怖いかも~。
ちなみにこの場面、本舞台は途中で幕が下りてしまいますので、
後半は右近さん独壇場。
さぁ、最後は楽しい 恒例のカーテンコール。
これが好きなんですよね~私♪
何がうれしいって、今回は瀧之さんが1人で登場!!
ワーイ♪
皆さん、衣装はお江戸バージョン。
段治郎さんは ポスターにもなってるあの黒地に笹と雪の衣装。
笑也さんもちゃんと浪路になってます。
最後は右近さん。
こちらも宙乗りの時の白い衣装ではなく、ネズミ小僧スタイルの
立ち姿がかっこよく見える衣装です。
そして、緞帳が下りるとき、瀧之さ~ん、遊んでますね~(^_^;)
昼は緞帳と一緒にひざ折って最後まで粘ってたし、
夜はピースをしてました。
門之助さんに怒られてないといいなぁ(^_^;)
◆役者さん・その他へ
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◆親記事:2006年5月:中日劇場「雪之丞変化2006」
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