別冊「バビル2世」マガジン

「バビル2世」のコミックス&アニメその他を中心に、オールドファンがあれこれ語ります。

で、異方存在「キ」は?「正解するカド」完結

2017-07-05 20:09:04 | アニメ作品
~警告~
壮絶なネタバレがありますので、以下の文章は自己責任でおヨミください。


BSフジで放送中だった「正解するカド」は、昨夜(正確には本日未明)の第12話をもって終了しました。
ということで感想です。

正直、見終わった直後は「ポッカ~ン・・・」でした。何コレ何?!何が起きちゃったの、という。
もしも周囲に誰かがいて、話しかけられていたら「何も言わないでッ!てゆか、なぁ~んにも話したくありましぇんッ!」と、吼えたことでしょう。
おかげさまで、いわく言いがたいもしゃもしゃ状態。目がさえちゃって、ほとんど眠れませんでしたよ

本日、冷静になって、もう一度録画を見直しました。
あ、なるほどね。すべて伏線あり、でございますことよ。そういう意味では見事に構築された物語なんです。素直に「野崎まどサン、まいりました」と言わせていただきます。
たとえば、真道クンと沙羅花サンの間に娘ができた、というのは、私の予想が当たりました。いわばヒット1本だったけどな!
これは、アノ10話のシーン(二人が裸になっていた)は、肉体的に結ばれていたということですね。それが、なんということでしょう!イッパツで妊娠ですか。ハネムーンベイベーってヤツだな(^^;)
で、沙羅花サンは異方の能力により、受精卵が自分の子宮壁に着床したことを察知。それを告げられた真道クンは、我が子を使ってヤハクィザシュニナを出し抜く計画を思いつく、と。
そして、ナノミスハインで相対時間を変え、隔絶空間?で出産。
相対時間云々については、ナノミスハインが最初に登場した9話で出てきました。ヤハクィザシュニナにとっては5秒程度の時間が、真道には約70時間ということでした。ということは、1秒で14時間経過する、と。
出産までの約280日間は6720時間だから、480秒?!え?8分ですか・・・算数、苦手なんだけど大丈夫かな(^^;)
同じように、娘が16歳になるまでに要した時間は、ざっくりと16×365×24=140,160時間なので、コチラ時間では約1万秒、つまり約1週間ってことですか。なるほど、そこまでなんとか時間を稼いでいたわけね。1週間なら、まあ何とかなりそうだもんね。それを逆算して伏線張ったのかぁ。
伏線と言えば、真道クンを愛している夏目サン、わざわざ「私には、真道君は手に余る。彼の相手はきっと、もっと大きい人なのよ」って言ってましたね。
この作品、セリフがほぼ伏線になってますわな。

そして、花森君が泣いた理由・・・そーゆーことか。娘の養父になれ、俺は死んじゃうから、ってことだったんですね。そらイヤだし、泣くわなぁ。
しかし花森=異方存在というワタクシの予想は大外れでした
しかも何この老けよう。いわば逆ウラシマ効果でしょうか。16年たったから、42歳か。人生いちばんのモテ期を、他人の子育てにすべて捧げた、とは。
しかも、花森君のようにかわいらしい顔の男性にありがちですが、老けるとビミョーな顔になっちゃったりするんですよ(例 マシュー・ブロデリック)。
そら人類を救うための献身とはいえ、ねえ。公僕とは、かくも自己犠牲を伴うのか・・・

それにしても、見事にBLメーターが振り切れてましたねぃ
いやボーイズラブっちうか、そもそも異方存在は人間じゃないんだから、男女の別がないという考え方もできます。が、どう見てもヤハクィザシュニナは真道クンにベタ惚れですわな?
「真道ちゃぁ~んッ!お願いッ、アタシと異方に来て!アナタじゃないと、もうアタシはダメなの!ねえっ、大丈夫だから、絶対に異方転換を成功させるから!ねえったら、ねえ!」
「オレ、この宇宙で愛する人とか、とかとか、いっぱいあるから。だから行けない。キミとはトモダチだよ」
で、出たッ「お友達でいよう」宣言すなわち「ごめんなさい~テヘペロ
いやもうこれヤハクィザシュニナの属性は陰(女)でしょう。例の「ト・ワ・ノ・サ・キ・ワ´」の会話でもわかるように、オンナ言葉とオトコ言葉がありましたから、それぞれに陰(女)か陽(男)の区別があるんだと思います。ヤハクィザシュニナは陰なので、陽の真道クンに惹かれたのでしょう。
だったら最初からオンナの形になればいいのに─と思いますが、最初に接触したのが真道クンだから、同じ形にしちゃったんですね。
そこがそもそもの不正解だった、と

しかし花森君以上の、真道クンの自己犠牲っぷりよ。
国家公務員上級職エリートの皆さん!本来、官僚ってのは自己犠牲精神第一で、人々のしもべ(公僕)であることが絶対の正解のはずです。それなのに・・・げふげふ、軌道修正。
第10話、ヤハクィザシュニナに「お前は間違っている」と言う真道クン。どこが間違っているのかと問われ、「それは教えられない」と答えます。このセリフ、少し違和感がありませんでしたか?これ、まるっきり教師のセリフですよ。
どこが悪いのか、間違っているのか、それをやすやすとは教えられない。自分で考えて、考えて考えて気づかなければ─と、いうことです。
気づきさえすれば、気づいてくれれば、成長できる。他からの強制ではなく、自発的に理解し合える状態に持って行く─これが、彼の交渉官としての基本姿勢です。
それにしても、40次元の異方存在に対し、3次元の真道クンが教え諭す、っていうのはねぇ。まるでアリンコが人間に対し、「チミたちは間違っているアリ~」とか説教しているみたいです。
ということは、だ。

はい、ここからはワタクシ独自の解釈です。
人間と異方存在のハイブリッド娘が、いくらなんでも異方純血種を凌駕するなんて、そらないわぁ、ムリやわぁ。
それができる理由として、「私たちは進化途中の存在だから、つねに変わっていける」的なことをムスメは言ってますが、「ハァ?」じゃないですか。真摯な心構えだけで、高校生が大谷翔平を打てますか。絶対的な才能、能力の差は厳然として存在します。
あ、あとね。なんでもかんでも特異点を説明に使うのはどうよ?「誰でもがナンバ~ワ~ン♪」とか言ってるようなものじゃないですくわぁ。アレ?オンリーワン、だっけ?
だから、コレは違うんです!
あの娘(ユキカ、っていったっけ)は、人間と異方存在のハイブリッド、ではありません。
アレは異方存在×異方存在なのです。つまり、真道幸路朗こそ、もう一人の異方存在「キ」だったのです。そら異方存在2乗ですから、強いに決まってます。
ただし「ワ」と違い、「キ」は何度も何度も地上に転生したため、異方としての記憶をすっかり失った─というより、潜在意識の奥深くに仕舞われてしまい、人間と同じになってしまったのです。
とはいえ、もともと「キ」が持っていた資質はずっと保ち続けています。それこそが、自分の身を犠牲にしても他者に尽くそうという信念です。そして、間違った生徒(いや、この場合は児童か?それも小学校低学年の)がいたら、自分で気づいて誤りを正せるように導く。
ヤハクィザシュニナは、だからこそ真道幸路朗に惹かれたんでしょう。なぜか「この低次元が!」(←このセリフ、笑い死にますヮ)みたいな感情を、真道クンには抱かなかった。それは、彼が異方存在だったからです。無意識のうちに理解していたのでしょう。
最終盤、ムスメが父親の遺体を見つめながら「うん。そうだね、お父さん」と言いますが、これこそは異方存在「キ」=真道幸路朗を暗示しているシーンである、と、ワタクシ思います。

そのように考えますと、一番最初にこの宇宙(繭)で出会った「キ」と「ワ」は、お互いが他者であると認識した時点から惹かれ合い、運命の赤い毛糸でぐるぐる巻き(アレ?)だったんですね。
実はロマンチックなラブ・ストーリー、でございました。


はい、ここからまたまたワタクシ独自の、正直な感想です

それにしてもさー、腐女子の皆さん。ちょっとヤハクィザシュニナが可哀想すぎませんかぁ?
アレはないよねー。ヒドいよねー。
最後、真道ちゃんがくれた折り紙付き栞を握りしめて、「しんどぅ」って泣きながら消えてったじゃんよ。ひっでー待遇だよね
しかも主役を殺しちゃうしねー。そりゃイオナのように、千の風になったんでしょうけど、それでも「ない!これはないわぁ」だよねー。
だからオトコの作家ってさー、アレなんだよねー。ヒーローの描き方は女性作家に限るよねー。
ぶっちゃけ、─

後味、サイッテー!!

カタルシス、皆無。あー気分悪い。
マジなハナシ、今日の朝一番で円盤箱全2巻、予約取り消ししようかと思いましたさ。
「い、いやいや!これは『東映アニメさん、60周年おめでとうございます』というご祝儀的なアレだから」と、自分で自分を必死に説得しましたよ

もひとつ。
実を言いますと、どうしても私がもしゃもしゃするのは、16年間、コソ~リと育てられていたムスメが登場するくだりですね。
正直に言います。ホントの本音を語ります

ないわぁ 

だって、花森君とムスメの二人が、隔絶空間で16年過ごした(コッチ時間1週間)ということでしょう。
え?オムツとか離乳食とか?熱を出したら看病とか?一人で?16年間も?
二次性徴もきちんと対処したの?他に誰もいないのに?
無理、絶対
どうしてこう空虚な机上論的お話を作っちゃうかな?もうイマドキのゲーム脳な若造諸君の作る物語って、オールド世代には理解不能です。
ちょっと思い出したのは「すべてがFになる」の、トンデモトリックですね。ありえなさにおいて、おんなじですヮ

・・・イカン。
どうやら私は、「まだ途中」ではなくなりつつあるようです。「もう打ち止め」かもな・・・orz


~ちょい感想~

その1
犬束首相のスピーチは感動的でした。まるで米国大統領のように堂々としてましたね。
イマドキのボクちゃん政治家では、こうはいかないでしょう。ってゆか、これほど人格高邁で危機管理能力の高い政治家、今の日本にいる~?だから昔の総理大臣のそっくりさんなキャラなんでしょうね。

その2
ヤハクィザシュニナが異方へふっ飛ばされる時、まるで龍神のような姿になってました。これが本来の姿でしょう。
ヤハクィザシュニナは日本人がイメージする「神」の概念に近い、いわゆる八百万の神々みたいな存在だったと思います。人々に恵みを与えてくれはするけれど、怒らせるとコワくて、荒ぶる自然現象のようで、そして妙に人間臭く、ときに人間の配偶者を要求する、と。
3DCGの映像も素晴らしかったですね。

その3
いくらなんでも40次元は盛りすぎ!「40次元のくせに、あの程度」という批判は、むべなるかな
半分の20次元くらいにしときゃ良かったのに

その4
ラストシーン近く、真道母が手作りの料理を重箱に詰めて出かけますが、あれどこに行ったと思います?たぶん、息子の墓参りですよ。
母親が息子を思う気持ちって、結構ソーゼツなものがあります。ウチの母親が息子(つまり私の兄)に接する様子を見てりゃわかります
もうちょっと、切なげな表情にした方が良かったと思いますけどね。

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