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高橋良輔監督作品その5「装甲騎兵ボトムズ」~その1

2009-07-21 21:22:05 | 高橋良輔監督作品関連

いやいや、決して忘れていたわけではなく。っていうか、高橋良輔監督作品を語るなら、これを忘れちゃならんわけでね。
いちおう劇場版「ペールゼン・ファイルズ」を鑑賞してから、と思ってましたので、そろそろ行くとしましょう

まずは作品に関する予備知識。
「装甲騎兵ボトムズ」は、「太陽の牙ダグラム」の後番組として1983年4月から84年3月まで全52本放映。テレビ東京系でしたので、放送日や時間は日本各地でバラバラだったと思います。
この作品の最大の特徴は、主人公が特定の愛機を持っていないという点。この物語の世界において、AT(アーマード・トゥルーパー)と呼ばれる乗り込み型戦闘ロボットは、ごく普通の量産品。しかも、戦乱状況が長く長く続いたために、その辺にATがゴロゴロ転がっていて、テキトーに乗り込んで動かすことができる、という設定。
従って、主人公キリコ・キュービィは、「○○○!発進っ!」とか言いながら愛用のATを呼び寄せて・・・なんてことをしなくていい。四苦八苦してATを持ち運ぶ必要もなし。つまり、自由に動き回ることができます。
その結果、作品全体が「キリコ・オデッセイ」─すなわち、戦場で心身ともに傷つき、進むべき道を見失った一人の若者が、艱難辛苦を乗り越えて自分自身の「真の姿」を見つけ出し、「父なる存在」と邂逅し、それを凌駕していく物語、となっています。ようするに神話的要素の強い作品なのです。
おっと、その困難な旅の途上で「運命の相手」とめぐり合い、愛を知るという、ラブ・ロマンスの要素もバリバリですぞ。

もうひとつ特徴的なのは、そのATの大きさです。
当時大人気だったガンダムが18m、ボトムズの前作品であるダグラムが10m。しかしATは4mという設定です。
持ち運ばなくていいどころか、持ち運ぶにも苦労しない大きさです。
この4mという大きさについては、高橋監督はこのように語っていらっしゃいます。

「『機動戦士ガンダム』のヒットを受けて僕が最初に作ったのが『太陽の牙ダグラム』でした。でも『ダグラム』ではストーリーはともかく、ロボットという存在をうまく生かしきれたとは思えなかった。・・・ダグラムの全長はガンダムの約半分の10メートルなのですが、半分の大きさにしても、演出の方向性は変わらなかったんですよね。では新しいイメージを打ち出すためには、どのサイズがいいのか?という試行錯誤の末、“乗る”から“着る”に意識が切り替わってしまうギリギリのラインだと思えた、4メートルにしたんです」
(※日経PB社06年発行「日経PBムック・装甲騎兵ボトムズパーフェクトガイド」より)

はっきり言ってしまえば、「ガンダムとは毛色の違うロボットものを作りたかった」ということですね。
ダグラムは、物語としては成功したけれど、ロボットもの?・・・じゃなくて「戦争もの」になっちゃいましたからね。
だから、今度こそ「ロボットもの」という括りの中で、ガンダムとはまったく違う物語で勝負したかった。そのために、ロボットそのものを大きく改変した。
ガンダムでは、主役よりもむしろ「ザクの方に魅力を感じた」という高橋監督(やっぱりひねくれ者だなあ)、その路線を突き進んで出来上がったAT。
いちおう機種名は「スコープドッグ」といいます。いろいろ装備をつけると、呼び名もいろいろになるようですが、私はあまり興味がないので(おい!)、さっくりスルー、ってことでひとつ。

ここで、「えっ?タイトルの『ボトムズ』って、何のこと?」と思いませんか、皆さん?
ボトムズってのはですね、「VOTOMS」と書きます。「Vartical One-man Tank for Offence and Manevar」のことだそうです。「攻撃と機動のための直立一人乗り戦車」という意味ですと。
そのいっぽうで、「BOTTOMS」(最低野郎)という意味をかけているらしい。あっちうまに壊れて、中の人間が死んでしまうようなお粗末兵器だから、です。そんなものに乗る兵士もまた消耗品、ということです。
ところが、作品中に「ボトムズ」って言葉がほとんど出てこないんですよ。1・2回くらいだったような気がするなあ?「ボトムズ乗りかい?」なんてセリフが出てきたのは。
タイトルに堂々とうたわれながら、全然出てこない名称「ボトムズ」。
はは、は・・・・

さて、本編は4部構成になっていますが、OVAなどもいろいろある「装甲騎兵ボトムズ」シリーズ。時系列で並べてみましょう。

「レッドショルダードキュメント・野望のルーツ」(OVA)
  ↓
「ペールゼン・ファイルズ」(OVA)
  ↓
「ウド編」(本編第1部)
  ↓
「ザ・ラストレッドショルダー」(OVA)
  ↓
「クメン編」(本編第2部)
  ↓
「サンサ編」(本編第3部)
  ↓
「クエント編」の最終回直前まで(本編第4部)
  ↓
「ビッグバトル」(OVA)
  ↓
本編最終回
  ↓
「赫奕たる異端」(OVA)※最終回から30年後の物語
(高橋監督による小説「孤影再び」は、この後日談)

その他、外伝として「機甲猟兵メロウリンク」(OVA)などなど。

ちなみに、「チャンピオンRED」誌で連載されていた外伝コミック作品「装甲騎兵ボトムズ CRIMSON EYES」(※主役はキリコではない)ですが、最近単行本第2巻が出ました。
しかし。絵が好きじゃないので・・・スイマセン・・・。

とうわけで、次回はストーリーについて語ります。
ゆるゆるとお待ちください。

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