ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

ウーステッドフランネルのブレザー“with Emblem”

2010-04-03 04:00:00 | 白井さん


 昨日の撮影日は4月1日。いきなり私事で恐縮ですがこの日の私の装いは、新年度のスタートに際して白井さんに敬意を表わし心新たにする意味と、春といったらこの素材、ということで、最近新たに我がワードローブに加わったライトグレイのシャークスキンのダブルのスリーピース。コーディネイトはブルーのポプリンのシャツに、いつもお馴染み銀座天神山さんで購入したエディ・モネッティのネイビー地に白のドットが白井さん好みの縦横並びのジャガードタイ(このタイは白井さんから“良いネクタイしてるね~”とやはりお褒めの言葉をいただきました!嬉しいっ!)、青色系のペイズリー柄ポケットカチーフ、前夜ピッカピカに光らせたエドワード・グリーンの中茶の一文字。

 私は普段セパレーツスタイルが圧倒的に多いので、久しぶりのスーツスタイルに自然と身が引き締まります。『どうだ!これが大人の男の新年度スタイルよ!』と、街往く“ベネチアンゴンドラ”のような新入社員の方々を睥睨するが如く(もちろん誰一人私の装いなど気にも留めてはいませんが)、私のテンションも若干いつもより高め(笑)。

 しかし、そんな気合十分の私をあざ笑うかのように昨日は風速20mを超えるもの凄い暴風が首都圏を席捲。あまりの凄まじさに折角その日の装いに合わせてビシッとキメた髪も、僅か数分の間にものの見事にぐしゃぐしゃになってしまいました。ほうほうの体で到着した私をいつものように暖かく迎えてくださった白井さん。開口一番、

 『今日は知り合いにいきなり誘われちゃってこれから野球観に行くことになっちゃって♪』

 外を吹いている強風も文字通り“何処吹く風”の白井さん・・・では本日の着こなしスタートです(汗)。

   

 今日のタイトルに“with Emblem”とした割にエンブレムがはっきり見えている写真が少なくて申し訳ありません(苦笑)。さて!今回で都合4回目となるブレザーの着こなし。何度も書きますが、永遠の定番・ブレザーの着こなしは“白井流”の必須科目!です。
 
 

 今日のブルーブレザーはダリオ・ザファーニ(伊)製。少し綾目の見える柔らかいウーステッドフランネル素材を使用したこの時期に最適の一着。さて、先程“ブルーブレザー”と書きましたよね。白井さん曰く『海外のブックには“Blue Blazer”って書いてあるよね。この表現なら明るい水色から濃紺まで幅広くカバーできる。日本では“紺ブレ”なんて云うけどあれはどうなのかな~(苦笑)。もちろん紺色はブレザーでは一番定番だけど、“ブレザー=紺”みたいになっちゃってる。』とのこと。

  

 シャツは新年最初の回にお召しになっていたものと同じメーカー(伊)で同時期に作らせたもの。前回はフレンチカフでしたが今回はシングルカフ。『採寸して作らせたんだけど、襟がぴろっと外に撥ねちゃうし、着心地は悪いし、袖は短いし、おまけに値段は高いし・・・全然ダメだな○○○○○(有名シャツ屋さん)!』とやはり今回も憤懣やるかたないといったご様子でした(汗)。ただ今回は生地に関してちょっとお褒めの言葉がありました。生地は前回同様白のポプリン。以前にも書きましたが白井さんは白無地のシャツはポプリンかオックスフォードしかお召しになりません。“変な織柄の入った白無地のシャツは生理的に”お嫌いなのです。

 『カットは酷いけど、まあ高かったからそれなりに生地は良いものを使っているね。俺は下着は着ないから違いはよく判るよ。』

 『あ、僕も下着は着ないで素肌に直接シャツを着るほうです。』

 『あ、そう~じゃあ気をつけないと・・・例えば200双なんかのシャツを一度着ちゃうと元のシャツには戻れなくなるからね。』

 なるほど~要注意ですね!これも白井さんに以前伺ったお話ですが、スーツに使われる服地でよく使われるスーパー○○○という表記。○の中の数字が大きいほどより細い糸が使われていて一般的には高価とされていますが、以前このブログでご紹介したダリオ・ザファーニ氏は『値段の高い服地を使ったからといって良い服に仕立て上がる訳ではない。』と言っていたそうです。殊スーツに限っては糸の細さは着心地にはあまり関係が無さそうですが、シャツに関しては生地番手が着心地に大きく影響するようです。但し、白井さんは良いシャツの要諦はあくまで“カット”と仰っていました。例えばカットの良いシャツは襟腰が低くても上着の襟元から綺麗に顔を出すのだそうです。

 シャツについて白井さんに教えていただいたお話をもう一つ。

 『“素肌にシャツ”は映画「或る夜の出来事」のモーテルのシーンで、クラーク・ゲーブルがやったのが最初。当時アメリカではその影響で下着が全然売れなくなったんだそうだよ。』

 ふむふむ、このお話はかなり有名なようですね。ゲーブルは件のシーンの撮影のとき、着ていた下着があまりに着にくかったので裸の上からシャツを着て撮影に臨んだのだとか。嘘か真実かはゲーブルのみぞ知るですが(笑)。

  

 タイは未確認ですが、信濃屋のY木さんの予測では恐らくフランコ・バッシ(伊)かルチアーノ・バルベラ(伊)ではないかとのことでした。お気づきの方も多いと思われますが、今回も含めた過去4回のブレザーの着こなしで登場したタイは全てレジメンタルストライプ。いつもお馴染み銀座天神山のIさんが口を酸っぱくして(笑)、私の耳にタコができるくらい(笑)、説き続けていた“ブレザーにはレジメンタルストライプが基本”という言葉が思い出されます。本当に凄い方達です。きっと“基本ができている”ってこういうことなんだと思います。

 それともう一点、お気づきの方いらっしゃるはずです。今日はノーポケットカチーフ、もちろん初めてです!

 『エンブレムがあるからね、(チーフがあると)五月蝿いでしょ。これはそういう“決まり”ってことじゃなくてそう思うから勝手にそうしているってだけね。』

 とのことでした。つまり“白井流”独自の着こなしのルールということになりますでしょうか。胸のパッチポケットから覗いているのは白井さんご愛用の赤いフレームの眼鏡。今日はチーフが無いので目立っていますが、白井さんはいつも必ず眼鏡を胸ポケットに挿しています。私は“もしかしたら眼鏡はチーフがポケットの中に落ちたりしないようにするための小道具も兼ねているのかな?”などと一人密かに勘繰っていたりしていましたが、それ程白井さんのチーフはいつもビシッと決まっていてカッコ良く挿してあります。またいつも挿し方にいろんな形の違いもあります。チーフを挿してない人は言わずもがなですが、私も含めてよく見かけるのは、チーフがヘにゃっとなっちゃってたり、ちょびっとだけ顔を出しているだけだったり、はたまた完全に埋没しちゃってたり、といった“あぁ~残念チーフ~”な光景です。どうせ挿すなら白井さんのように堂々と挿した方が断然カッコいいと思います。

  

 やっとエンブレムまで辿り着きましたが、この辺りで白井さん、野球観戦のお待ち合わせの時間が気になり始めたご様子(笑)。『18時に横浜スタジアムで待ち合わせなんだけど、俺チケット持ってないから遅れたら入れなくなっちゃうんだよ(苦笑)。』

 今更説明の必要も無いと思いますが(笑)、横浜生まれの横浜育ち、生粋の“浜っ子”である白井さんは横浜ベイスターズファンです。また、これも白井さんらしいですが、アメリカの大リーグも大好きなのだそうです。

 という訳であまり詳しくはお伺いできませんでしたが、エンブレムと、これも初登場ですね金のメタルボタンは全く同じ意匠。ただし、白井さんのお話ではこの二つのアイテムの購入時期は全く別だったそうです。ちなみに双方英国製とのこと。

  

 靴は信濃屋オリジナルのコードヴァン・サドルシューズ。モデル名は往年のアイビー映画スターに因んで" ANTHONY " PERKINS 。命名は信濃屋の牧島さんです。

 『まだあまり履いてないけどブラックウォッチのパンツに合わせたりね。磨くのが楽しい靴だね。』(白井さん談)

 また、天神山のIさん曰く『アイビーっぽい着こなしの時に履く靴だね』とのこと。

 さて、この“アイビー”・・・特にIさんや牧島さん(お二人は共に50歳代前半の世代)の口から多く聞かれるこの言葉。かつて一世を風靡した一大ムーブメントだったということは私も勿論知識として知っていますが、実は未だによくわかりません(苦笑)。“何ぃ!勉強不足だぞ!”とお叱りを受ければそれまでなのですが、私の中では映画『バックトゥザフューチャー』の第一作目のイメージ、という感じです。“アイビー”と言ったら“ああ~あれね!”という風にピピっとイメージの共有ができるまでには到底至らず、またそれができる世代の方々がちょっぴり羨ましくもあります。

 サドルシューズは、かわいらしい外観ですが、ちょっと手が出しにくい、でもいつかは履きこなしてみたい、そんな靴です。

   

 さて、最後になってしまいましたが、実は今日の影の主役はこのサスペンダー!ただ、残念ながらこちらももう少し詳しくお伺いしたかったのですが、ちょっと慌しさに紛れてインフォメーションは少なめです(涙)。O様申し訳ありません。

 O様はこのブログで何度かお名前を登場させていただいている信濃屋顧客列伝中の方で、白井さんをも唸らせるほどの実に数多くの名品をお持ちなのだそうです。今日のサスペンダーはO様がお電話で白井さんに“是非登場させて欲しい”とリクエストされていた古の逸品。ボタンを留める部分が現行品は革が殆どですが、今日のこのサスペンダーは“ガット(腸)”を使用しているのです。まさか紳士服の材料に腸が登場してこようとは努々思っておりませんでした。恐るべしクラシック!

 後ろのボタンは外付け、つまりズボンの後ろ腰の外側に付けてあります。この方が内側に付けた場合よりもズボンのラインが綺麗に出るのだとか(信濃屋元町店のK田さん談)。今日の白井さんのサスペンダーは赤ですが、白井さんはサスペンダーも服に合わせて色を変えています。また、ベルト部分はフェルト素材を使っていて布製に比べると身体への当たりが柔らかいそうです(天神山Iさん談)。私も最近、白井さんのお散歩お友達のKさん からいただいたサスペンダーを使わせていただくようになり、このアイテムの楽しさを覚え始めてきましたので、信濃屋さんがアルバート・サーストン社(英)に別注で作らせているフェルトを使ったサスペンダーもいずれ購入してみたいと思います。因みに、白井さんに『最初の一本目に買うなら何色のサスペンダーが良いですか?』と、無謀ながらお叱り覚悟でお伺いしたところ、『色のあまり無いやつ。グレーとかね。』というお答えをいただきました。実は“赤”とか“黄色”とか色の強いものを薦められるのかな?と思っていたので意外でした。やはり何にでも合わせ易いから、ということからなのでしょうか?今度チャンスがあれば伺ってみたいと思います。

 最後に前回訂正。シャツの件、“ちょんまる”(白井さん命名)と書きましたが、“ちょんまる”は暦としたシャツの仕立て屋さん用語でした。白井さん、関係各位の皆様にはこの場をお借りしてお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。

 さてさて、白井さん、喜び勇んで浜スタに向かわれましたが、あの強風の中、コートもお召しにならず大丈夫だったのでしょうか・・・(汗)。かなり心配です(汗汗)。



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