ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

MILANO CLASSIC

2010-04-08 04:00:00 | 白井さん


 先日、白井さんと、白井さんのお散歩お友達のKさんをお誘いして、昨年の12月にこのブログでご紹介もさせていただいた中目黒の“CAFE FACON(ファソン)”に行ってきました。

 こちらのカフェは、オーナーの岡内さんが“自分の流儀で珈琲を点て、お客様の流儀で寛いでいただく”ようにと、フランス語の“FACON”(流儀)を店名に冠し、“スペシャリティーコーヒー”と呼ばれる厳選された豆にこだわり、高い技術で丁寧に抽出した美味しい珈琲と、全てのスタッフに共通するもてなしの姿勢、寛ぎの時間と空間が楽しめるオープン2年目の新しいお店。私は昨年の秋頃から通い始め、最近は有難いことに岡内さんやスタッフの皆さんとも親しくお話をさせていただいています。お陰様ですっかりリラックス気分の私は、話題の中に“白井さん”をしばしば登場させ、といってもファソンの皆さんは白井さんとの面識は全くありませんので最初は面食らったでしょうが、今では皆さんすっかり“白井さん=会ったことは無いけど知っている人”状態。さらにお調子者の私はいつしか“白井さんにもファソンの珈琲を飲んでいただけたらなぁ”と思うようにまでなっていました。

 ただ、私が白井さんをお誘いするなど生意気ですし、中目黒は横浜からはいささか遠い距離。ですからこの企てを実行に移すにはちょっと二の足を踏んでいたのですが、前回『ウーステッドフランネルのブレザーwith Emblem』の撮影で、白井さんとたまたま珈琲の話題になったので、思い切って『白井さん、中目黒に美味しい珈琲が飲めるお店があるんです。』とお話しすると、驚くほどあっさり『じゃあ今度行こう。』ということになりました。レスポンスの速さと逞しい行動力はいずれも“白井流”の大きな特徴です(笑)。私も早速ファソンさんに予約の電話を入れました。

 『珈琲は物心ついた頃から毎朝飲んでいるよ。もちろん自分でドリップしてね。』と豪語する白井さん(笑)は、ファソンさんの珈琲を一口飲むや『うん!コクがある!』と力強く仰っていました。Kさんも同様に『うん、美味しい!』と仰っていました。お二人が納得される様子を見て“お誘いした甲斐があった”と私はほっと胸を撫で下ろしました。白井さんには、同店に3つあるブレンド珈琲の一つ、やららかい苦みとしっかりしたコクが特徴の“アンブレンド”を飲んでいただきました。私はまろやかなフルーツのような酸味が特徴の“ファソンブレンド”、いつも控えめなKさんは二つの中間の味わいの“エッフェルブレンド”を(笑)。因みに白井さんは珈琲にはいつもミルクと砂糖をお使いですが、『ブラックで飲むなんて野蛮だよ。昔はみんな砂糖とミルクを入れたもの、いつ頃から始まったのかなぁ~。』と近年増えているブラックで珈琲を喫する風潮を嘆かれています。実はブラック派の私としてはそう仰られると身も蓋もありません(汗)。

 さて、お二人の紳士と午後のひと時を楽しく過ごしておりましたところ、『ご無沙汰しています、白井さん。』と白井さんのお知り合いと思しき紳士が我々の席を訪ねてこられました。突然のことに『あ、どうも!』と白井さんもびっくり!

 件の紳士は、鎌倉『大佛茶廊』のオーナーにして、名うての洒落者として服飾好きの方々の間では知る人ぞ知るN氏。私も氏のブログを予てよりよ拝見させていただいており、その知的でウィットに富んだ内容には密かに尊敬の念を抱いておりました。『大佛茶廊』にて供されている珈琲に、岡内さんが特別にブレンドした“大佛ブレンド”をお使いのN氏は、同時にファソンさんの常連客でもあり、たまたまこの日の午前中、岡内さんから“午後、白井さんが来られる!”との話を聞き、なんと白井さんにご挨拶すべく午後改めてファソンさんを訪れたのです。N氏の紳士的な振る舞い、初めて訪れたカフェで図らずもそのような篤い礼を受ける白井さん、大人の男達が織りなす束の間のドラマティックな光景に、私は唯々ポカンと口を開けて驚くばかりでした。

 もちろん、ファソンのスタッフの皆さんからも普段と変らない心からのおもてなしを受けました。ファソンさんの珈琲の味ともてなしの心に感じ入られてのことだったのでしょうか、白井さんはこの日お飲みになったアンブレンドの豆をテイクアウトでお求めになられました。それは私への気遣いもちょっぴり忍ばせてのこととも思います。また、Kさんはこの日のことを御自身のブログで綴っておられました。普段、Kさんは余計なことはお話にはならない紳士ですのでこれは大変光栄なことです(笑)。

 更新が遅れた上に冒頭から余談が長くなり恐縮ですが、私にとっては生涯忘れられない思い出となった貴重な出来事でしたのでご紹介させていただきました。ではでは!お待たせいたしました、本日の着こなしスタートです!

   

 先に予告させていただいた通り、今日の主役は“MILANO CLASSIC”!!

 『最近“ヴァルスタータイプ”なんて呼ばれているけど、この型のブルゾンは昔からどこでも“ミラノクラシック”って云われているんだよ。』

 冒頭、白井さんはそのように仰っていました。つまり、この型はイタリアの、名だたる紳士用品店では必ず取り扱われているし、ブルゾンを作るメーカーならどこもが手掛ける、彼の地では最もクラシック且つポピュラーで、昔から誰もが“ミラノクラシック”と呼んで親しんできた定番中の定番のブルゾン。ヴァルスター社(伊)はあくまでもこの型のブルゾンを作っているメーカーの一つに過ぎない、とのことだそうです。例えが不適切かもしれませんが、我々日本人だって、この国で長年“いなり寿司”と呼ばれて親しまれてきたスタイルを、外国の方に『オ~!コゾウタイプ!』とか『ワオ!カッパタイプ!』などと、いきなり言われてやたら有り難がられても戸惑ってしまいますよね。それと同じです。

 白井さんが今日お召しになられているのは、ミラノの名店『ティンカーティ』ネームの“ミラノクラシック”。

 『どこにもそうとは書いてないんだけれども、恐らくサルフラ(伊)だと思うよ。これは良いよ~革が凄く柔らかくて。革そのものの質となめしが良い証拠だね。それと、サルフラのミラノクラシックは着丈が短くて良いんだ。ブルゾンは着丈が短い方が絶対にカッコいいからね。』

 と、白井さんも殊にお気に入りの逸品。Salfra(サルフラ)社はイタリーを代表するレザーウェアのメーカーで、信濃屋さんでも長年お付き合いされている優秀な工場だそうです。社名の由来は『サルヴァドーレ・フラテッリ、略して“サルフラ”』(白井さん談)だそうです。着丈と共に襟腰が低いのもサルフラの特徴(牧島さん談)だそうで、これは私の個人的な意見ですが、その方が着丈とのバランスが取れているのかもしれませんね。 


   

 この日のコーディネートのテーマは“ブラウン&グレー”。

 インナーのグレーのスウェーターはルチアーノ・バルベラ(伊)。一見、厚いニットに見えるかもしれませんが、この時期に最適なやや薄めのカシミア。濃茶の細かい千鳥格子のネクタイは恐らくウール(もしくはカシミア)でフランコ・バッシ(伊)。オックスフォードBDのシャツも茶の縞。茶色の縞も中々良いですね。襟元の表情に少し柔らか味が増すような気がします。

   

 パンツは初登場のサマーフランネル素材(ルチアーノ・バルベラ)。とはいえ『足は暑いとかなんとかってあんまり関係ないでしょ。』と仰り、真夏でも厚手のフランネルを涼しい顔でお履きになることがある白井さんには、“おお~!サマーフランネル!”といって驚くことでもないかもしれません。ソックスは濃茶。とても良い色で初登場と思われましたが、何処の靴下かは聞き逃しました。

 靴はジョンストン&マーフィー(米)。中敷きの“アリストクラフト”という表示を見せて頂きましたが、これまたそれが何を意味するものなのかは聞き逃しました(汗)。白井さんのご様子では、恐らくフローシャイム(米)の“インペリアル”のような意味合いのように推測されます。それよりも、ラバーソールの靴は初登場ですね!これは特筆すべきニュースです!私はてっきり、白井さんは革底以外の靴は履かない、と思い込んでいましたが、白井さん曰く『ラバー底は2足持ってるよ。これとデザートブーツね。』とのこと。確かに、今日のようなブルゾンスタイルで、ジャケットの時よりも更にカジュアル感が増す時などは、革底よりもラバー底の方が全体の雰囲気に統一感が出て良いのかもしれませんね。

 因みに、もちろんお仕事中は白井さんはブルゾンは脱いでいらっしゃいましたのでご心配なく(笑)。

 

 更に、このミラノクラシックは白井さんが『今はまずやっている所は無いんじゃないかな?』と仰るリバーシブル。リヴァーシブル仕様の革をなめすのは恐ろしく手間が掛かるので今では何処のメなめし屋もやりたがらないんだそうです。但し、白井さん曰く『とはいえ、裏返して使ったことなんて殆ど無いよ。昔一回だけかな~駅から自宅までの7~8分くらいかかるんだけど、にわか雨に降られて傘が無かったから、その時仕方なく裏返して使ったことがあっただけだよ。』とのことなので、まあ実用としてはあまり必要無さそうですね。

 さてさて、ここで珍しく宣伝です(笑)! 

 今年の秋に信濃屋さんではサルフラのミラノクラシックの入荷が予定されているそうです。珍しく、と言うより初めて、白井さんが『宣伝しておいてね!』と仰ったので驚きましたが、やはり白井さん一押しのメーカーなのでしょう。また、同時に私としては信頼していただけたものと解釈できなくもないので、これはもう身に余る光栄です!いつも頓珍漢なことばかり書いて信濃屋さん、白井さんにはご迷惑をお掛けしっ放しのこのブログですので喜んでご協力させていただいた次第です(笑)。

  


 お帰りは『あまり被らないけど、被るなら八枚剥ぎ』(白井さん談)と仰るハンチング(恐らくボルサリーノ・伊)姿で。『アイム フロム シシリー!』とシシリアン・マフィアを気取っておどけていらした白井さんでした(笑)。

 また、上記以外にも白井さんからは、いつものようにためになるお話、面白いお話をたくさん伺いましたが、特にその中で一番印象に残ったのは、白井さんが『世界一だと今でも思っているよ。』と仰っていた、終戦直後の横浜・伊勢佐木町にいた靴磨きのお兄さん(達)のお話。この“白井さんの靴磨きのお師匠さん”のお話は、余談に終わらせるには余りにももったいなく、いづれ機会をみて大々的に一大特集として扱ってみたい貴重なお話の一端ですので、私も含め皆さんお楽しみに!



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