とある経済小説に,こんな場面がある。
株式市場暴落により,証券会社からの追い証督促を電話でうけ,
主人公は自分が破産したことを知る。
彼は吐き気,めまいとともに泣き崩れる。こんな描写だったと思う。
読んでるときは,そんなもんかなぁと思っていたが,
いざ自分の身にふりかかると,ものすごくよくわかる。
めっちゃくちゃよくわかる。
なぜなら,私自身の身に現れた症状も,まったく同じだったから。
頭に血がのぼり,脈拍数は急増し,キーボードを叩く手はふるえる。
手のひらからは大量の発汗。
小説と同様,吐き気とめまいに襲われた。
自律神経に失調をきたしたのは明らかだった。
たぶん私は,私自身が思っているより狂っている。
まっとうな神経なら,気がふれているかもしれない。
私の知人で,町内会の会費を数百万円,使い込んだ人がいた。
橋から飛び降りて自殺しようとした(未遂)。
今なら少しだけ,気持ちがわかる。
離婚し,家を取り上げられ,自己破産まで追い詰められて,
そこから二部上場企業に潜り込んだ人を知っている。
お金の問題で死ぬのは馬鹿げている。
借金さえなければ(あっても),生きて働いてりゃなんとかなる。
常々そう思っていても,悲観的になるときがある。
自分のやり方・考え方自体が間違っている!
もう原資は取り戻せない!取り返しがつかない!
そう思ったときの絶望感や恐怖感は,すさまじいものがある。
恥ずかしいけど,正直に書いておこう。
投資歴10年の36歳男は,本気で泣きそうになりましたよ。
ええ。マジです。
今までも何回も損きりしてきたけど,
いつか取り返せるだろうという,楽観的なものだった。
甘かった。甘すぎた。今ならよくわかる。
相場の怖さを知ってしまった今,
ここが大底だ!なんて確信は,持てない。
そんなもの,何の根拠もない。
さらなるマイナスを想定し,今は何もしない。
全財産を失う覚悟を決めて,確実に勝てる場面を待つ。
今の私には,それしかできない。
後は這い上がるだけだ~なんてお気楽なコト,
今の私には書けないね。
自分が設定したストップロスで損失を出せたこと。
たとえやり方が間違っていたとしても,
最後まで自分のルールを守れたこと。
それだけが唯一の救いかもしれないと,今は思う。
損失から得たものはでかいと,そう思いたいな。
何人の方が読んでらっしゃるのか知らないが,やっぱり書いておこう。
頑張れ,同じ苦悩を抱える同志達よ。
莫大な含み損を抱えているのは,あなただけじゃない。
私はあなたを,心から応援している。
恥ずかしいコト書いてるのは,わかってるさ(笑)。