WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

「ポール・ウィナーズ」

2010年04月07日 | 今日の一枚(A-B)

●今日の一枚 250●

Barney Kessel

The poll Winners Ride Again !

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 私は右翼ではないしシンパシーも感じないのだけれど、若い頃から日本の右翼思想の展開にはなぜか興味があり、折に触れて関連の書物を読んだりしてきた。私の周りにはそういう人はあまり見当たらず、もしかしたらちょっと危ない奴とみられているのではないかと危惧するのだが、単純に日本の右翼思想がよくわからないというのが興味関心の理由だ。

 これまでいくばくかの書物を読み考えた素直な感想は、日本の右翼思想には北一輝と石原莞爾以外には取るにたるものはないのではないかということだ。一年ほど前に読んだ片山杜秀『近代日本の右翼思想』(講談社選書メチエ:2007)は、独自の視点から日本の右翼思想の展開を周到に整理し、次のようにまとめる。

 「今の日本は気に入らないから変えてしまいたいと思い、正しく変える力は天皇に代表される伝統にあると思い、その天皇は今まさにこの国に現前しているのだからじつはすでに立派な美しい国ではないかと思い、それなら変えようなどと余計なことは考えないほうがいいのではないかと思い、考えないなら脳は要らないから見てくれだけ美しくしようと思い、それで様を美しくしても死ぬときは死ぬのだと思い、それならば美しい様の国を守るため潔く死のうと思う。」

 ややチャート式すぎるきらいもないではないが、意外に納得されられるものがあり、私などは結構ストンとおちた。

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 バニー・ケッセル(g)、シェリー・マン(ds)、レイ・ブラウン(b) からなるグループ「ポル・ウィナーズ」の1958年録音作品『ザ・ポル・ウィナーズ・ライド・アゲイン』。いいなあ。こういうの好きだなあ。バンドはよくスウィングし、バニー・ケッセルはブルースフィーリング全開である。いろいろなタイプのジャズを聴いていても、たまにこういうやつが無性に聴きたくなるのは、やはりそこに私のジャズ聴きの原点があるということなのだろうか。深夜ひとりで、ウイスキーグラスを片手に聴きたい一枚である。ジャズ作品の多くはそうなのだが……。