ひきた小児科クリニック(群馬県桐生市 疋田小児科医院)

小児科専門医が群馬県桐生市やみどり市で流行している病気や,予防接種,アレルギーなどこどもの健康に関する情報を提供します.

インフルエンザワクチンに関して

2009-05-09 09:23:03 | 予防接種(ワクチン)
インフルエンザワクチンに関して

新型インフルエンザの感染が日本国内でも確認されたそうです。全員が軽症で早く回復することを願っています。(<新型インフル>国内初の感染確認…http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090509-00000008-mai-soci)

 私は小児感染症学会の会員でこの学会の学会雑誌をいつも興味深く読んでいます。時季外れですが、小児感染症学会雑誌にインフルエンザワクチンに関して素晴らしい記事が掲載されていました。内容もさることながら群馬に関係することが書かれていたので少し紹介します。

 昔の話ですがインフルエンザワクチンが効かないとする風潮が拡がり、群馬県の前橋医師会の調査でインフルエンザワクチンが効かないとして、前橋市がインフルエンザの臨時接種を中止しました。これは国の施策に反旗を翻したようなもので、非常にセンセーションを巻き起こしたそうです。
 当時、マスコミもワクチンは効かないと決めつけ、あるグループは、国は国民を犠牲にしてメーカーを儲けさせているとまで言ったそうです。
 その後ワクチン反対派の意見が通りワクチンの集団接種が中止されてしまいました。

 現在は科学的に当時のワクチンは有効であったことが示されております。この根拠に基づいて海外では定期接種になっています。しかし、日本の小児では定期接種になっていないのはご存じの通りで残念です。

 桐生で診療していると、本当に皆様がワクチンを信用していなくて驚きます。私が、おたふくワクチンの接種を勧めても、「「感染した方が良い」と言われましたが本当に接種した方が良いのですか?」と聞かれて悲しくなります。不要なワクチンは勧めません。しかし、このようなワクチン嫌いなのは群馬県の特徴なのかもしれません。もちろん、日本人自体もワクチン嫌いなのは間違いありません。しかし、ワクチンはこどものためには必要なものです。

ひきた小児科クリニックでは、三種混合ワクチン、BCGワクチン、ヒブワクチン(アクトヒブ)、BCGワクチン、麻疹・風疹ワクチン、おたふくワクチン、水痘(水ぼうそう)ワクチン、日本脳炎ワクチン、二種混合ワクチン、インフルエンザワクチン、他などの予防接種ができます。(注:インフルエンザワクチンは10月から1月に接種するワクチンなので5月現在は接種していません)

ひきた小児科クリニック (群馬県桐生市 疋田小児科医院)
http://www014.upp.so-net.ne.jp/hikita/

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 群馬県の感染症発生動向 | トップ | インフルエンザワクチンの有... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (二人のママ)
2009-05-09 23:07:42
いつも拝見しておりとても為になっております。ちょっとお尋ねしたいのですがインフルエンザワクチンは接種後どの位の期間もつのでしょうか?医師によっては三ヶ月やら五ヶ月やらそんなに違うのかなぁ~とおもったので…
返信する
Unknown (二人のママ) さんへ (ひきた小児科クリニック)
2009-05-10 09:25:13
Unknown (二人のママ) さんへ

 Unknown (二人のママ) さん、このblogを読んで頂きためになっているとのこと嬉しいです。
 さて、インフルエンザワクチン接種後の有効期間ですが3か月も5か月も正解だと思います。
難しい話になりますが、インフルエンザワクチンにより防御抗体価が持続するのは3か月と言われておりますので3か月というのは正解です。(抗体というのは、体の中にあって、インフルエンザウイルスが体に取り付いたら、やっつけてくれる蛋白質です。抗体価とは抗体の多さと考えてください)
しかし、抗体価の上昇と維持は接種法、接種年齢によって変わります。小児のインフルエンザワクチンは2回接種で1回目と2回目の間隔は1~4週間ですが、1週間より4週間の方が効果は強くなります。そして、低年齢では免疫反応が強く抗体産生量が少なくなります。そして、個人差がとても大きいです。つまり、抗体価をみても人によってバラツキがあります。

以上のことを踏まえて抗体価を目安にすると3か月程度となります。

しかし、実際に発症するかしないかを調べると5か月程度まで有効であるという報告もあります。つまり、抗体価が5か月程度維持されることもあれば、防御抗体価以下になっても感染が成立しないことも多いため5か月程度まで有効であることもあるということです。

 それならば調査すればよいと思いますが、残念ながらインフルエンザワクチンに関しては明確なデーターはありません。調べようと思えば数万人を、予防接種を受ける群と受けない群に無作為に分けて(個人が選択するのではなく行政が抽選などで分けて)、全員を追跡調査して1カ月に1度程度、抗体価を測定して、インフルエンザの流行期にインフルエンザに感染したかどうか調べれば分かると思いますが、そのような研究ができないのが現状です。

 このために、どうしても、接種した人と接種しない人を単純に比較することになるのですが、この比較が大変難しいのです。例えば、予防接種を積極的に受けた人はインフルエンザに対して気をつけていて、マスクをしたり手洗いをしたり人混みを避けたりしてインフルエンザに感染しにくい知れません。予防接種を受けなかった人は、感染に気をつけなければ感染しやすいかも知れません。他にも様々な要因があります。これらの要因による差を考えて違いがあるかどうかを言うために統計という手法が使われるのですが、この統計というのか難しくて普通の医師でも間違って理解しています。そして、間違ったまま報告されていることが大変多いのですが、読んでいる方も間違っていることに気がつかなければ間違った情報が一人歩きします。私が読んでいても明らかに間違っている統計結果が堂々と報告されているので、私の気がつかない間違えも多くあると思います。

 なんだか脱線してしまいました。もし、最後まで読んで下さったとしたらお疲れ様でした。ご質問に対する回答になっておりましたでしょうか?
返信する
Unknown (二人のママ)
2009-05-10 20:42:20
お答えありがとうございました。長々と文を書いてくださり大変だったと思います。やっぱりお医者さんに聞きづらかったりで不安だったことも解消されました。本当にありがとうございます。
返信する
Unknown (二人のママ) さんへ (ひきた小児科クリニック)
2009-05-11 13:49:37
Unknown (二人のママ) さんへ
 
 回答により不安が解消されたのであれば嬉しいです。
 もし、診療中にでも疑問があれば何でも遠慮無く聞いてください。診療していると、どうも桐生のお母様方は医者を恐いと思っているようです。恐い医者が多いのかもしれませんが、私は質問されて不安を解消してしまったほうが良いと思っているので、聞きづらいと言う気持ちも分かりますが、こちらとしては聞いてもらった方が良いです。不安に思ったまま予防接種を受けたり、病気を怖がったりする必要はありません。何でも答えますので質問してください。
 長文を書くのは大変ではありません。どこまで書いたらよいか分からないので長くなってしまっただけです。
 というわけで、疑問があれば何でもきいてください。
返信する

コメントを投稿

予防接種(ワクチン)」カテゴリの最新記事