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心に響く明かり③

2017-07-18 14:56:31 | お話
☀️心に響く明かり☀️③


🔹村上、では、もし仮にそういったものを引き寄せることができるとしたら、

それは感動だと思うんです。

感じることで人は動くのであって、

知動という言葉がないように、

いくら知識がたくさんあっても、それだけでは人は動きません。

感動があるから、そこに行動が生まれる。

これはデザインの仕事や研究はもちろん、

どんな仕事にも当てはまるんじゃないでしょうか。

🔸石井、私は照明デザイナーにとって1番大切なことは、

新しい技術を使いながら、より美しいものより少ない電気エネルギーで創ることだと思っていますが、

その根底には、美しいものに感動する心が必要ですね。

例えば、

いままさに蕾が開いた花とか、新鮮な果物とかね、

身近なところにも綺麗なものっていっぱいあるじゃないですか。

特に自然が創ったものというのは、

どれも限りなく美しい。

光にしても、こよなく美しいんです。

どんな光でも、使い方を間違えると醜くなってしまいますが、

光自体は素晴らしく美しいものなんですね。

ですから、日々その美しい光を見られるわけですから、

この仕事やっていてほんとによかったと思います。

それに私どもが創った光を見て、感動したと言ってくださる方がいらっしゃるわけで、

そういう声を聴けることもすごく嬉しいですね。

🔹村上、石井先生の仕事には喜びと感動が溢れていますね。

🔸石井、ただし、これはよくスタッフにも言うんですけど、

私たちは純粋な芸術家ではないので、

分かりやすいものを創らなければいけないと。

大勢の人たちが見て、

「あぁ、綺麗だ」

「感動した」

と言っていただけるものを創っていかなければいけません。

ただ、その一方で忘れてはならないのは、

私どもは都市空間の中で仕事を引き受けており、

その大半が税金を使ってやらせていただいているということです。

だから、できるだけ無駄遣いはしない。

それにメンテナンスや維持管理にお金がかかると消されてしまうので、

できるだけ電気代を安く抑えられるように知恵を絞る。

例えば、新しくなった歌舞伎座の外観を、晴海通りと木挽町通りの両方からライトアップをしていますが、

1時間の電気代が、なんと60円なんです。

歌舞伎座さんにも、そうお伝えしたら、

それなら一晩つけておきましょうって(笑)。

🔹村上、なんでそんなに安いんですか。

🔸石井、やっぱり設計がいいんですよ(笑)。

もちろんLEDのおかげもありますけどね。


それから、先ほど

「感動があるから、そこに行動が生まれる」

と先生がおっしゃっていましたけど、

いま思い返すと私の30代後半からやっていたライトアップ・キャラバンというのは、まさにそれでしたね。

🔹村上、ライトアップ・キャラバン。

🔸石井、当時、海外での活動が増え、それにつれて世界各地の美しい夜景を見るにつけ、

日本都市の貧しい夜の景観が気になっていたんです。

その折に、国際照明学会の世界大会が京都で開催されることになったため、

京都の夜景はどうだろうかと見に行ったんですね。

もちろん昼間は京都らしい風景が見えるわけですが、

夜になると、すべてが闇の中に埋れて、信じられないほどみじめでした。

これではいけないと思って、

私は自分で京都市景観照明計画というのを作りまして、

市内の72カ所を照明しても、施工費が幾ら、一晩の電気代は幾らくらいだから、

ぜひ、やったほうがいい、ということをまとめて、市役所に持っていったんです。


🔹村上、すごい行動力ですね。

🔸石井、観光課の受付に行ったら、課長さんが出てきてくれたので、

ぜひこの計画を取り上げてくださいと説明しても、

全然聞いてくれない。

むしろ、京都市はゴミ問題など様々な問題が山積しているから、

観光客にこれ以上来てもらっては困ると言う。

でも、当時は私も若かったので、

なぜ追い返されたのかわからなかった。

きっと現物を見てもらえば分かるだろうと思って、

許可を得て、

二条城と平安神宮の大鳥居とその界隈の図書館と美術館とを照明したんです。

🔹村上、それは全部、自腹ですか。

🔸石井、ええ。全部、手弁当で。

でも市の人は誰も見に来てくれませんでしたね。

その代わり観光客の方は集まってきてくれたので、

アンケートを取ってみたところ、

女性は100%、男性でも80%くらいが賛成してくれたので、

その声に勇気を得て、

その後も、札幌、仙台、金沢、名古屋、大阪、広島、熊本などでやっていきました。

あの当時、よくそれで経済的にやってこれたものだと思いますけど、

受験を始めて8年後に、横浜市からご依頼があって、ようやく仕事に結びつきました。

🔹村上、長かったですね。

🔸石井、でも、その8年間っていうのは、

自分が楽しくてしょうがなかったんです。

闇に埋れた建造物に光を当てて、

わぁ綺麗だ!って、自分で感動してました。

だから何の頓着もなかった。


🔹村上、身銭を切るという精神は、やはり素晴らしいと思いますね。

🔸石井、私は東京芸術大学で育ったので、

例えば、学内では彫刻の卵が、大きな石を前に鑿(のみ)でコンコン彫っているわけじゃないですか。

あれだけ大きな石だと運ぶにも結構なお金がかかるわけで、

それでも身銭を切って一所懸命やっている姿を見て、

何かを創造するというのは、そういうものだということを、

なんとなく思っていたんです。

むしろ私としては、心に響く明かりを創りたいという一心で、これまでやってきました。

単に目で見て綺麗というだけじゃなく、

何かそれが、すーっと、心に染みて、

あぁ、見てよかったな、

と後から思い返していただけるような、
そんな明かりを創りたいですね。

実はゆうべも、夜中にふっと目が覚めて、

その時にふと思いついたアイデアを枕元の紙にスケッチしておきました。

朝起きて改めて見たら、うん、これはなかなかいけるかもしれないと思って、

早速図面を描いて、模型をつくろうと思っているんです。

🔹村上、「ふと浮かぶは神心、あとで濁すのは人間心」

という言葉があって、人間というのは、ふと浮かんだものを、

そんなことはできるはずがないと否定してしまうことがある。

でも、本当は、ふと浮かぶというのは、サムシンググレートからのメッセージだと僕は思うな。

🔸石井、ちょうど頭の中で、こういうものを創りたいなというのがあって、

それにぴったりものが浮かんできたので、今日はハッピーなんです(笑)。

🔹村上、しかし、そういう仕事ができるのは大変幸せですね。

🔸石井、本当にそう思います。

今後は東京オリンピックの開催に向けて、

東京の夜をもっと綺麗にしていくために、いろいろと頑張っていくつもりです。


(おしまい)

(「致知」8月号 村上和雄さん石井幹子さん対談より)

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