お寺さんぽ Ver.03

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ちょっと特殊な仏像 「鉈彫仏」

2007年11月24日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は「特別展 仏像 一木にこめられた祈り」でもコーナー展示されておりました、ちょっと特殊な仏像、「鉈彫仏(なたぼりぶつ)」について。
見た感動をなるたけ正確に伝えるため、すぐに記事とさせて頂きました。

神奈川県は弘明寺(※横浜市南区弘明寺267)。
こちらの「十一面観世音菩薩」は上記展示にも参加していたんですが、ひでるさんの第一印象は「電人ザボーガー」でした。
…知ってるかな?
バイクに変身したりするやつなんですけど、手足がシマシマになってるのよ。
そんな感じの仏像なんですよ。

普通、仏像というのは、すっきり滑らかに表面を仕上げるではないですか。
すらりと綺麗に。
それが、全体にノミ跡をくっきりと残したままの、ちょっと特殊な彫り方をするんですね。
だから、シマシマなんです。

そのため、過去には「未完成品」という見方だったようなのです。
仏像(木像の場合)の制作では、
1) 木取り(きど・り)
2) 荒彫り(あらぼ・り)
3) 小造り(こづく・り)
4) 仕上げ
…という過程があるようなんですが、その”荒彫り”の段階で止めちゃったものと考えられていたんですね。
(※一部のみ墨をつけ、彩色も施しません)

そんな訳で、途中で失敗だと感じて投げ出したとか、金銭などの事情があって途中なのに飾ってしまったとか、きっちり研究されるまではそんな判断だったのです。
それが調査されるに従って、平安時代後期から、鎌倉時代にかけて関東より北に多く存在することが判明しました。
約一割ほどがそういった仏像で、”あえて未完成なまま終えた”という結論がなされたのです。

仏像なんですが、日本に古くからあります「神木」と言われる、”木の信仰にも関係した特別な仏像”とされました。
別名「霊木化現仏(れいぼくけげんぶつ)」とも呼ばれており、霊木に宿る仏様が現れてくる状況を表現しているのだと考えられています。

東国の荒々しい気風を表現した、というのが通常ですが、ひでるさんはそれに加えて、やっぱり金銭面も多少あったのだろうと考えています。
金箔施したりするのはやっぱり昔でもお金かかったでしょうし、東北あたりのお寺では、京都・奈良などでよくある「権力者の庇護」も少なかったと思うのです。
まぁ、専門家でないので想像だけなんですけれど。

そんなこんなで、ノミの目がはっきり残る、ミイラ男のような仏像が何点か現存しているのでした。
やはり、ひでるさんとしてはどうひいき目に見てもやや異様な雰囲気です。
よく言えば、素朴な美しさ…なのかな。

岩手県藤里智福愛宕神社の毘沙門天(※写真)、岩手県天台寺の聖観音など、その作例は百件ほどあるようです。
兵庫・滋賀にも若干数存在するそうなんで、あちこち探してみて下さい。

見かけた際には囁くように、
ああ、鉈彫仏(なたぼりぶつ)なのね
…とか言うと、ちょっとカッコいいかもしれません。
モテるかも(←そんなこたぁない)


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※うわぁ、手足が見えねェ。
 この人(あ、ロボットか)が噂の「電人ザボーガー」です。
 この頃の特撮モノはアイデアが素晴らしいですね。


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