芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

放送法と政治介入

2015年11月26日 | コラム

 映画監督の是枝裕和さんのブログがいい。彼はBPOのメンバーでもあるから、よく放送法を読み込んでいる。とても勉強になる。
 自民党がNHKの幹部を呼びつけて事情を聞いたことについて、BPOが「政権党の圧力そのもの」と批判したことについて、安倍首相は「予算を承認する責任がある国会議員が事実を曲げているかどうかを議論するのは当然」と言った。当然すべき国会でのTPPの報告すらしない奴が…。
 放送法の4条は放送事業者に対して政治的な公平性や事実を曲げないことなどを求めている。その第1条で「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」と定めているが、その放送法を審議していた1950年の衆院電気通信委員会で、当時の綱島毅電波監理庁長官が「この条文はそもそも放送事業者ではなく、政府に対して向けられたものである」と答弁している。
 第1条は放送局を縛ることを意図としたものではなく、放送局に対して「政治に介入されることなく、不偏不党や真実を貫く権利を保障」している条文だった。また、不偏不党や真実といった条件は、放送局自らが「『自律』的に担保すべきものである」ことも同条文は謳っている。
 それを前提に、政治的公平性や事実を曲げないことを求めている第4条は、これらの条件も放送局が自律的に担保すべき基準と考えるのが自然で、同じ法律の第1条で政治の介入を禁止しながら、第4条で政治が介入してもよいと解釈することには無理がある。
 そもそも日本国憲法21条は表現の自由や検閲の禁止を定めている。まず憲法21条が大前提として存在し、その下で放送法が第1条で権力の介入の禁止や放送局の自律的な不偏不党性や真実性の追求する権利を定めている。さらに第4条で第1条で示した不偏不党性や真実性の具体的な要素として、政治的公平性や事実を曲げないことなどを挙げているのである。
 安倍や高市総務相の頭の中は、憲法21条と放送法の1条と4条があたかも同列・並列であるかのような認識なのだ。さすが憲法無視の輩である。憲法21条と放送法1条の存在を無視し、全く独立した法律の条文として放送法4条を出し、放送局には「政治的な公平性」や「事実を曲げないこと」が求められるとし、これに違反した場合は行政が介入できると強弁した。自民党=政権党の介入は予算を審議する立場上当然とした。
 先ず憲法は他の法律より上位法であり、憲法で保障された基本的権利の下位法として放送法がある。放送法の1条を前提に第4条がある。
 やはり安倍自民党は憲法無視の政権なのである。
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1 コメント

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Unknown (河上)
2022-08-13 16:29:13
ご意見ごもっともですが、せっかくの正当な主張がその下品な表現によって、読者に不快感を与え、信憑性さえ奪いかねないと思います。
自国の総理大臣を◯◯な奴とか、輩であるとか。
支持、不支持は自由だと思いますが、最低限のマナーを持って投稿される事を願います。

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