芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

ツッコミック 「ヤマガミ、アベ的なるものを撃て!」

2022年09月01日 | 新・民話
「ヤマガミ、アベ的なるものを撃て!」

 だいぶ以前、「しりあす甚一」や「プロフェッショナル列伝」など、救われぬ人間どもをユーモアとナンセンスあふれる作品で描いた、山松ゆうきち という漫画家がいた。私は彼の漫画が大好きだった。
 その作品の中に「ヤマザキ、ノーテンを撃て!」というボクサーの漫画があった。そのヤマザキというボクサーは、元々パチンコの釘師だった。
 彼は長身で不格好なまでに胴長だったため、相手は身体を丸め、低い体勢から彼のボデーを狙い続ける。その執拗なボデー攻撃に、ヤマザキはいつもロープ際やコーナーに追い詰められ窮地に陥るのだった。すると彼のセコンド陣から檄が飛ばされる。「ヤマザキ、ノーテンを撃て!」
 と、その声に目覚めたかのように、彼は低い体勢の敵のノーテン(脳天)の真上から、ハンマーのように拳を打ち下ろすのである。その強烈な一撃で、相手はヤマザキの足元のリングに崩れ落ちるのだ。

 この「ヤマザキ、ノーテンを撃て!」は、むろん奥崎謙三の「ヤマザキ、天皇を撃て!」から題名を取ったものだ。
 奥崎謙三は元陸軍上等兵で、勝新太郎が演じた「兵隊やくざ」のような男だった。彼は不正義、不公正に対して、非常に暴力的なのである。
 奥崎は戦後考え続けた。なぜ日本の兵士たちは、ほとんどが餓死、戦病死で、死屍累々と無残な姿を晒し、全身を蛆虫に覆われ、野豚に食い荒らされたのだろう。許せない。彼らは誰によって、あの戦場に送られたのだろう。何で、あの不合理な命令と上官たちの理不尽な苛めやリンチにさらされたのだろう。誰によって、何で、あの不公正で、不合理な全滅に近い戦場に送られたのだろう。許せない。彼は考え続けた。そして、日本の「天皇的なるもの」に辿り着いた。
 奥崎は皇居の一般参賀で、足元の小石を拾い、二股のパチンコのゴムを引きしぼり、昭和天皇に向けて発射した。その時、飢餓とマラリアで動けなくなった彼を背負って、ジャングルを逃げてくれたヤマザキという兵士の名前が浮かんだ。そのヤマザキもほどなくマラリアの高熱と飢餓で動けなくなってしまったのだ。
 奥崎は叫んだ。
「ヤマザキ、天皇を撃て!」

 奥崎謙三の「○○ 的なるもの」という概念は、その意味が広く、かつ重く、かつ正鵠を得て、象徴的である。つまり「象徴的なるもの」なのである。


 最近の事例に当てはめれば、
「ヤマガミ、アベ的なるものを撃て!」
「ヤマガミ、アベ的なるもののノーテンを撃て!」

「アベ的なるもの」とは、旧統一教会とその友好団体との岸・安倍家三代にわたる親密な関わり、マルチ商法と詐欺商法のジャパンライフ・山口隆祥との親子二代の関係、その詐欺師に首相・官邸枠での「桜を見る会」への招待、森友・加計問題と嘘・詭弁・強弁の連発、アベ的な一強政治が、数多の忖度と公文書改竄と破棄・隠蔽を生む余地と、数多の嘘と数多の弁明・詭弁・強弁・隠蔽を生み続けたのである。

 ヤマガミ、アベ的なるものを撃て!!

    * 自民党と旧統一教会が縁を切ることは至難であろうと、改めて痛感する。
コメント
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