何となく農業政策と食料自給率について考える。
と言うのも僕は実家が兼業農家で米を作っていて無関係でもないのだ。
日本の食料自給率が低い原因は、一言でいえば日本の農業にコスト競争力がないからである。
付加価値が高い農作物や生鮮野菜を除く、
米・小麦・トウモロコシ・大豆などについて
価格で外国産に太刀打ちするのは不可能だと思われる。
この結論がひっくり返らないかといろいろ考えてみた。
でも到底ひっくり返りそうにない。
仕方ないので上記の結論を前提条件に組み入れて他の方法を考える。
そして思いついたのが以下の方法である。
まず兼業農家、特に米については基本的に止めてもらう。
これにより米の余剰生産を一掃する。
残った畑にはスイッチグラス(ススキみたいなもの)など
バイオエタノール生産に適した植物を植え、エネルギー生産に
振り分けると共に耕作放棄を防ぐ。(飼料用作物の生産でもよい)
各地で管理者を決め、畑の管理を一任する。
これにより手間が無くなるので、
兼業農家にとってスイッチグラス生産は土地運用という位置づけになる。
スイッチグラス生産により得られる収入は雀の涙だが、
手間も無くなるのでなんとか理解してもらう。
実は兼業農家の全収入に対する農業収入の割合は、平均で16%でしかない。
(実際、僕の実家もそんなもんだ)
だからこれが更に減っても致命的打撃ではない。
スイッチグラス生産には、CO2削減・エネルギー安全保障・環境保全への
貢献を考え赤字にならない程度の補助金を出す。
また、食料自給率については超解釈を導入する。
「外国から輸入した農作物であっても、日本の資本比率が50%以上の
農業法人が生産した農作物であれば、食料自給率計算では国内生産と見なす」
例えば日本の食品メーカーが中国で農作物の栽培から
手掛けた冷凍食品などは国産ということになる。
食料自給率を上げたい理由が食料の安定確保であるならば、
国内生産にこだわる必要はないと思う。
ようは必要な時に必要なだけ確実に食料が確保できれば、
畑なんてどこにあってもいいのである。
メーカーが海外に工場を作り製品を逆輸入するように、
農家も海外に畑を作って農作物を逆輸入するのだ。
実際にそれをやる力を持っているのは、食品メーカーや商社だろう。
いずれももうやってる。
もちろん国内生産よりリスクは増えるだろう。(地政学的リスクなどが発生する)
でも世界に分散して畑を持てるなら国内生産で全てまかなうより
むしろ総合的なリスクは減ると考える。(例えば凶作リスクは減る)
だから国産と外国産を目くじら立てて区別する必要はないと思うのだ。
むしろ重要なのは自前の畑かどうかだと思う。
価格が高騰した時でも日本に安く供給してくれて、
作りにくくても日本人が好きな種類の農作物を作ってくれるのであれば、
それは日本で生産しているのと同じではないか。
この問題はルール自体を変えないとどうにもならない気がする。
穀物の国内自給をあきらめて米の需給バランスを適正化すれば、
だいぶ見通しが良くなると思うんだけどなぁ。