或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

佐伯祐三(10)

2006-06-08 06:27:20 | 300 絵画
今日は佐伯祐三の番外編の第3回。いよいよ最終回。作品を年代順に紹介し、その後で男と女の関係を中心に彼の死因について分析しましたが、今日は視点を拡げて、彼に似たドラマチックな人生を送ったジャズミュージシャンの紹介。

佐伯は30才で死んだから、まあかなりの若死にの部類。ジャズ界で有名なのは、巨人チャーリー・パーカー。麻薬、アルコールに肉体を蝕まれた彼は、心不全で死去。享年34歳。性格的にも、コルトレーンなんかとは正反対で刹那的だったそうです。

ドラマチックと言えば、何と言ってもトランペッターのリー・モーガン。ハードバップの代表的な天才プレイヤー。1972年にNYのクラブ『スラッグス』に出演中、年上の愛人によってピストルで射殺されてしまった。何でも別れ話のもつれとか。どろどろ具合が佐伯とよく似ている。自分も経験があるけど、女の怨念っていうのは恐ろしいですね。享年33歳。若すぎるなあ。

彼はクリフォード・ブラウンの再来と言われてました。若くして死んだにしてはアルバムがたくさんあります。今日紹介するのは、その中で唯一のワンホーンのアルバム「Candy」(1958年)。ポイントはピアノがソニー・クラークというところ。彼も麻薬の過度の摂取による心臓発作のため、1963年に死去。享年31歳。そんなメンバーによる演奏は、どことなく哀しい。

そこで、佐伯を“絵画界のリー・モーガン”と呼びたいと思います。そういえば、両人共になかなかいい男。それだけに、佐伯にはもっと男女関係も粋に、お洒落に、カッコよくやって欲しかったけど。まあそんなタイプには、あの絵は描けないのかもしれませんね。

佐伯自身が最も愛した作品、「扉」(1928年)を紹介してシリーズの締めくくりにしたいと思います。

CandyCandy

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2 コメント

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ビンゴ! (とど)
2006-06-08 20:21:15
以前「“音楽界の佐伯祐三”は誰でしょうかね?」と問いかけて、ハンコックさんが「思いつきました」とお返事くださったとき、チラッとリー・モーガンのことが頭をかすめたので、ドンピシャでした。何だか嬉しいな。



でも、リー・モーガンがクリフォードの再来と言われていたというのは恥ずかしながら初耳。

サラサラしたクラシカルな感じさえするクリフォードの響きに対して、私の中でリー・モーガンはギラギラした濃厚な音っていう印象が残っていたから。

(あくまでもそう記憶しているというだけです。もしかしたら、彼らの性格がサウンド・イメージにつながっちゃっているかなぁ。16分音符の早吹きが圧巻の超絶技巧という点だけは、「あぁ、ブルー・ミッチェルとは違うなぁ…」とはっきり覚えているのですが〔笑〕。リー・モーガンは持ってないので、今純粋に音だけ聴き直したらまた違った感触を抱くかもしれません。)



「扉」は不思議な絵ですね。パッと見、重厚なのに、じっくり眺めていると、リズミカルな遊び心もじわじわと感じられてきて。



佐伯のシリーズ、読み応えがあって面白かったです。今後も絵画関係の記事、期待しています。
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そっかあ。 (ハンコック)
2006-06-09 06:58:26
やっぱりバレてたんだ。さすがですね、とどさん。

まあやってた楽器ってところもつながっているんだけど。



うーん、でも大きく捉えると似てるんじゃないな、テクとか音色とか。

それに彼は"I remember Clifford"なんて超有名な曲もやってるし。



ブルー・ミッチェルとはね、全く違う、っていうかそれはそれでまたいいし。



死ぬ間際に、「黄色いレストラン」と「扉」の2枚のことをえらく言っていたみたい。

一番気に入っているから大事にしてくれみたいな。



このシリーズも半年以上かけたんだなあ。

佐伯ワールドに浸れて、僕も楽しかったし勉強になったなあ。

和歌山や佐伯公園に行ったのが、すごくいい想い出になってます。



次ぎの特集は今思案中。乞うご期待です。

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