或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

勝手にしやがれ

2009-06-11 06:14:15 | 350 映画
今回のパリ旅行をするにあたり、行きの飛行機の中で久しぶりに観たのが、ジャン・リュック・コダール監督の映画「勝手にしやがれ」(1959年)。原題は「息切れ(A bout de souffle)」。超有名ですね、この映画は。ヌーヴェル・ヴァーグの決定版として、その斬新さは今でも古さを感じさせない。興味があったのは、映画のラストシーンの舞台となったパリのモンパルナス。

主演のジャン・ポール・ベルモンド演じるミシェルと恋人のジーン・セバーグ演じるパトリシアが、警察の追跡を逃れて隠れたのがカンパーニュ・プルミエール通り(Rue Campagne Premiere)の11番地にある知り合いのアパート。実際に行ってみると、確かに身を潜めるにはちょうど良さそうな、小さくて地味な裏通りだった。車の通行も割と少なくて、とても静か。

映画ではアパートから出てきたミシェルを警察が見つけ、大通りに向かって逃げるところを後ろから拳銃で撃つ。ミシェルはよろけながら歩くが、最後は大通りに出る直前で倒れてしまう。ラストで死に際につぶやくセリフが、「最低だ(degueulasse)」、これに対してパトリシアのセリフは、なんとカメラ目線で「最低って何?」。ポール・ベルモントのにやけた表情が印象的だった。

うーん、クールだなあと。全編に漂う刹那的雰囲気の中に、ゴダールお得意の哲学的なセリフがちりばめられている。途中、パトリシアは文学の話をしたいのにミシェルはセックスをしたがるというシーンがあるのだけど、この埋まらないギャップが結局ラストにつながっているような。表面でカッコイイことを言いながら逃げ回るだけの男は単に最低だったてことか。しかし女って冷静だよなと。警察に電話してチクったくせに、それを男に告げるなんて。その八方美人的自己中性格は根性悪すぎ。

さりげなく素晴らしいと思ったのが、マルシャル・ソラールの音楽。いわゆる当時のヨーロッパ風ジャズで、これが映像にピッタリ。彼自身がジャズピアニストだけにレベルも高い。またいつか観たくなるだろうなと思いながらエンドロールを眺めたけど。


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