或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

20世紀号ただいま出発

2006-06-22 06:43:01 | 010 書籍
しつこくシリーズで紹介してます、ジャズ評論家でエッセイスト兼作家である久保田二郎の著書紹介の第7弾。今日は「20世紀号ただいま出発」(1985年)。これはマガジンハウスと呼ばれ、雑誌「ブルータス」の増刊第1号として発売されたもの。

内容的には、“暗黒街の帝王”と呼ばれたアル・カポネの話等、世相から音楽、ファッションと1920~30年代の米国を偲んだいろんな話題が満載されていて、読み手を飽きさせません。その中でふと目に止まったのが、日本人の西竹一(にし たけいち)の話。1932年に開催されたロサンゼルスオリンピックの馬術競技で金メダルを獲得した、大日本帝国陸軍の軍人。

第2次世界大戦前にはロスに駐在し、コンバーチブルを乗り回し、著名な映画俳優達と豪遊。バロン西(Baron=男爵)と呼ばれ人気を集めたんだとか。特に現地の若い女性達に。とても粋でお洒落だったみたい。下の写真はロスの自宅でのパーティーのワンショット。モテモテでいいなあ。

ところがここからが哀しい話。戦車連隊長として北満州から、激戦地の硫黄島へ赴任。そして終戦の年、1945年に戦死。この時に島を攻撃した米英軍が、「馬術のバロン西、出てきなさい。世界は君を失うにはあまりにも惜しい」と連日呼びかけたが、西大佐はこれに応じなかった、なんてもっともらしい逸話が後で作られたそう。実は画家の藤田嗣治の回顧展に行って、代表的な戦争画「アッツ島玉砕」を見たら、西の話を思い出して。二人は似てますね、国際的な遊び人つながりで。

それでニュースをひとつ。この硫黄島が映画化されます。それも2本も。クリント・イーストウッドが監督として米国と日本、それぞれの視点で製作。米国版は撮影終了。日本版のタイトルは「硫黄島からの手紙」で、主演は渡辺謙。指揮官の栗林中将役。年末に公開とか。勿論バロン西も登場。でも戦争映画なので、コワイからたぶん見ないだろうなあ。(笑)