洋楽な日々

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楊令伝

2007-08-02 | 

北方謙三の楊令伝の2巻を読了。
これは名作・北方「水滸伝」の続編であります。

宋との戦いで壊滅させられた梁山泊の生き残り楊令が、
金国と組んで遼を倒し、やがて宋を倒すという壮大な物語で、
モチロン本家中国の水滸伝にはこんなハナシはなく、
北方謙三が史実にファンタジックな色づけをした
オリジナル物語
ということになります。

もともと水滸伝自体は矛盾に満ちた与太話の寄せ集めで、
それを北方謙三が、キューバ革命をモチーフとした革命の物語として再構築したものだけに、北方「水滸伝」自体がすでに本家の水滸伝とは全く違うストーリーとなっており、おおまかに史実さえ踏み外さなければ、物語をどう料理しようがかまわないという気がします。

 この北方「水滸伝」は登場人物全員がジョー・ストラマーともいうべき熱いオトコたちが集う物語ですが、実際の水滸伝は奇人・変人の集りといか、平気でヒトを殺したり、人肉を喰ったりする、怪人集団のようです。

たとえば朱貴という人物。
北方「水滸伝」では若い妻に死なれながら立ち直った、
ヒトの良い饅頭屋の主人ですが、
本家では、
金持ちの旅人が一人で来たら殺して、肉を食用に、油をランプに使う
などと恐ろしいセリフを吐く。
段ボール肉まんならぬ人肉饅頭!
さすが中国。

しっかし、これはこれで違った趣があり、
ある意味、水木しげる的世界観というか、
実に興味をそそるのであります。

さて、楊令伝ですが、
主人公の楊令は「水滸伝」でも幼少の頃から描かれており、
17歳くらいで戦場デビューし、官軍の隊列を切り裂いた様はまるでリオネル・メッシを想起させたものでした。

この「楊令伝」では宋を壊滅させる中心人物となり、
いわばキングとしての存在感を示すことになる楊令。
この若き天才が今後どんな描き方をされるのか。
メッシからマラドーナへと成長していくのか。

もっとも、今のマラドーナになってしまっては物語が破綻するというか、
本家「水滸伝」のような奇人・変人列伝に逆戻りしてしまいますが。。。

今までの北方謙三中国歴史モノは全て滅びの物語でしたが、
今回は史実的に、初めてコトを成就することになります。
それでも敢えて楊令を滅びに向かわせるのか。
楊令の成長物語ともども、その結末の付け方も大いに楽しみ。




 


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