平家琵琶定期演奏会(1月26日) 平家物語探訪2-11(41) 秋山良造
曲句:巻九 小宰相
平家物語の中の女性達を語る:三年目である。
曲句は前後二句の物語に分かれ、前句は平通盛の死が知らされ、北の方小宰相の懊悩・入水の場。後句は通盛と小宰相の成り染めの話である。
「老馬」の句に、夫妻二人の緊迫した戦時下一の谷の陣屋で瞬時の逢瀬が語られる。
「落ち足」には、一の谷の陣容が源氏の奇襲によって崩れ、混乱に陥り通盛も殺される場面がある。
小宰相の語りに入る前にこれらの状況説明を行う。
前句・語ってゆく最中に平家の家職・役職の下、いかに過保護に過ごしてきたかという事を思わざるをえなかった。それを知った上で小宰相の懊悩・思い詰めを表現することに集中演奏した。
後句・通盛と小宰相の成り染めの場で、明るい状況下の二人の恋の場面である。これは前半・心の葛藤の場面を表出演奏できればできるほど明るさは対比して演奏が際立って語れたようだ。
朗読:山本陽一氏。小宰相の苦悩を抑え語って頂いた。
演奏後の交感会。
此の曲句はこころの懊悩を表現するのに伸ばしが他曲よりも際立っていた。情緒があって良かった。 と意見が寄せられた。