平家琵琶定期演奏会(5月9日)第21回演奏後記 秋山良造
曲句:巻八 大宰府落・征夷将軍院宣 於:石響サロン101
曲調・内容とも対照的な2曲句。外部状況が変わってゆくことを知る格好の材。
大宰府落 : 九州の地へ安住王国を夢見た平家であったが、招かざる客は其処をも追われ、四国屋島に、一時の仮屋を置く平家流浪の時を語る曲句。 この曲句の全編、追われる道中の中で語られるのは望郷の念と在地豪族の謀反、悔しの哀惜、常に源氏の襲来に怯える一族の人々の心である。それらの状況と心理を修飾、形容の言葉をふんだんに使って書かれている。平曲曲句の中でも静かで変化の少ない単調な語りの一曲である。静止の瞬間を、表したような平曲句ではないかと思う。
征夷将軍院宣 : 平家は都落ち、義仲への期待外れ、頼朝への称賛曲句である。歯切れよく、快調に進む曲趣。
二曲句の素読を山本陽一さんにお願いいたしました。曲句の相違を語り分けて深みのある朗読を有難うございました。
平調、心理描写の曲句なので、退屈であると思う。聴いて下さった方には、感謝です。