山の頂から

やさしい風

父さんの誕生日

2008-10-01 16:16:43 | Weblog
 父には誕生日が二つあった。
別に化け物ではない。昔は出生届がルーズだったようだ。
九月の秋分の日に生まれたが、役所への届けが十月の今日だったらしい。
子供の頃には、「お父さんはずる~い」と口を尖らせた。

 父が好きな花、デルフィウムを必ず花束に入れて贈ったと、
妹から聞いて長女としてポヤンとしている自分を恥じた。
美味しいものでも食べて~と無神経に僅かな金を贈っていた姉。
何と寂しい思いをさせていたのかと今更ながら悔やんでいる。
そういう点、妹は細やかな心配りのできる人間であり母に似ている。

 
 父さん、百歳までも生きたい!!と言っていたけど、
 それは叶わなかったね。
 元気であったら一緒に亦、会津の菊祭りに行きたかった。
 何もかも実現できずに逝ってしまったね。
 父さんが幼い時、水の事故であの世の入り口までいった話、
 きれいな花畑で人がオイデオイデをしていたけど、
 母親の呼ぶ声で、生き返ったって言っていたっけ。
 でも、今度だけは花畑を進んで行ってしまったんだね。
 今夜は、母さんと妹とケーキを囲んで父さんの誕生日を祝うよ。
 勿論、デルフィウムの小さい花束も用意するから・・・
 父さん、85歳の誕生日おめでとう。
 多分、三人で泣いてしまうな。 ごめんね~~
 弟は、今夜は加われないけど気持ちは一緒だよ