活動の日々

自閉症スペクトラム関連を中心とした、対外的な活動を綴っていきます。

前回の続き~連携の実態~+アルファ

2013-11-24 | 日記
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。

早速ですが、前回(連携の実態(学校との「連携」を考えられている保護者の方・および様々な学校の先生の方々へ))に続き、今回も「連携の実態」の続きです。

そして、今回は前回に書ききれなかったことを少し追加してみようと思います。


課題の連携の際の留意点

①般化
特定の場所で課題を達成させ、かつそれが継続できたら、今度は別の場面でも、その課題ができるようにしていきます。
前回のブログで出した、学校へ提出し、実践していただいている個別指導計画(前回のブログをご参照ください)では、点結びの色のマッチングを行っていますが、その写真では色は4色になっています。しかし、文面には2色から開始と記載しています。
それは、獲得している課題よりも少しステップを落として、他の場面でも課題を行うということに、子どもに慣れてもらうという意図があります。
そして、他の場面でそれが達成後に、徐々に本来獲得している課題までステップをあげていきます。

ちなみに、できていることをそのまま他の方に移行することは、原則としては好ましくありません(子どもによっても異なりますが)。
まずは確実にできている課題を、かつステップを下げて実施してもらうことが大切です。


②指導者が達成感を感じられるように
達成感、これは、保護者にとっても、指導者にとっても、つまり、「指導をする人間全て」にとってが大切なものです。
そのためにも、まずは「比較的簡単な課題」から開始することが大切です。

ちなみに、現在対象児は、学校では、本課題の4色を少し行いながらも、ひらがなを書く練習をしています。

「達成感」は本当に大切だと思っています。実際に、私が「ひまわりの会」でも、「すくすく」でも非常に大切にしていることです。

特にひまわりの会では、保護者には子どもの指導を「必ず」見てもらいます。
それは、「子どもがどれだけできているか」を保護者の方に見てもらうことが、子どもへより良い指導を保護者が継続する「動機」となるからです。
「子どもがどれだけできているか」は、実際に課題を実践してみないとわからないことは多くあります。それは、これまで指導してきた教え子の保護者全員が口をそろえて言います。
1対1の課題の際が、一番シェイピング(課題の細分化とスモールステップ)を実感してもらえますし、その環境が、子どもが最も能力を発揮しやすいのですから。


付記(動作性)
動作性とは、WISCの評価でも知られていますが、ごく簡単に言えば「目で見て理解し、考え操作する力」と言うことができるでしょうか。
つまり、前回の個別指導計画での意義の説明は、上記となります。


と、前回の続きとしてはこんな感じですかね。

中々こういったことをブログで書くのは骨ですが、いずれまた機会があれば記載していきます。


ところで、来年1月にすくすくで講座が予定されています。
決定次第、当ブログでもお知らせします。

1月には2回目の滝乃川学園での講座がありますので、レジュメばかり作って頭と肩が・・・。


では、また来週に。

連携の実態(学校との「連携」を考えられている保護者の方・および様々な学校の先生の方々へ)

2013-11-17 | 療育
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。

早速ですが、今回は「連携について」です。今までのブログでも「連携」について少し記載してきました。
そこで、今回は一歩踏み込んで実際にどのようにして連携を行っているのかについて、より分かりやすいように、実例を基に少し書いてみようと思います。

では、まず連携の資料のごくごく一部をどうぞ。


*この写真、および資料の著作権を私と写真の教え子の保護者は放棄していません。よって、いかなる場合においてもこの写真を使用することを固く禁止します。

こんな感じですね。

これを、私の教え子の学校の先生方の許可を得て、こういった「課題学習の書類」を複数と、「前提となる知識のための資料」、「記録表」、「資料の取り扱い方」などなど、膨大な資料を担当の先生にお渡ししています。

ちなみに、例によって学校の実名は記載できませんよ(前回すくすくで行った講座では実名を出しましたが)。今までの記事でも書いてありましたが、今回の学校は公立ですし、学校へ問い合わせが集中すると学校側に迷惑がかかりますからね。

今回の記事の意義は、やはりお互い(療育機関・親と学校)が資料を用いての連携を行うということは、非常に効果的に連携を行うことができることは勿論、どういった点を配慮していくと良いのかを、このブログをご覧いただいている保護者の方へ広く伝えていくためです。
また、このブログを読まれている福祉機関・教育行政の方に、「連携」についてより理解を深めていただこうと考えたからです。

そして、これまでの臨床で、連携に必要と実感している事項を以下に記載してみます。

①先生の話を聞く
ただ先生にやってほしいことを「ゴリ押し」するのではなく、先生が現時点でどんな指導をしたいか、ないし、どんなことを課題にしたいかを聴くことが大切です。
なぜなら、その2点は、先生の経験により生まれたものだからです。
それを否定してしまってもうまくいきませんよね。

②課題内容、および課題数を設定する。
①のうえで、今度はこちらが行って欲しいこと(課題)を導入していただくことを「お願い」します。
その際には、先生がやりやすそうなもの、現実的な時間、既に子どもが獲得しているものを総合的に考慮したうえで課題を設定します。

③手続を簡潔に
課題を決定したら、今度は、課題の手続きを明確化します。
これは、いろいろ書いても先生方が混乱するばかりです。
また、手続は写真にしておくことも大切です。そのほうが分かりやすいでしょ?伝わってなんぼですからね。
なお、私の臨床経験上、「褒め方」を記すことは大切です。なかなか学校の先生は、一人ひとりを褒めるという、機会そのものがありません。そこで、褒め方もしっかり書いておくことは非常に重要だと思います。

④記録をつけていただく
「何回課題ができたのか」、「その際の子どもの様子はどうであったか」、「正解数はどうであったか」を正確に知る必要があります。

⑤失敗を責めない
失敗は先生の責任と思わずに、記録(2週間程度実施)を基に今後の方針を決定していく必要があります。
課題を見直す時は、これも以前から記載していることでもありますが、「目標が高すぎる」「興味とかけ離れている」「手続きが一貫していない」などが挙げられます。
そこで、「目標の細分化」「褒め方」「課題の直後の活動(強化子)」「指導手続き(教示方法)の見直し」を行うのです。そのためには、記録はもちろん、先生と保護者の信頼関係も大切です。
つまり、先生も仲間です。

*建設的に課題設定を行うこと
当然ですが、課題は目標までの細分化された1つでしかありません。
そのことから、例えば何らかの課題を行い、「できるようになりました」と報告を先生から受けたら、次はどうするのでしょうか?「それは先生の勝手でしょ?」と言うならば、そもそも連携の意味がありませんし、逆効果になります。
それは子どもにとっても同じです。簡単すぎる課題設定は、子どもが不適応を起こす要因の1つです。
つまり、ある課題ができたら、次はどうするのか、これが重要になります。

*冷静でいること
「冷静」でいること、これは何よりも大切です。
そもそも、連携は難しいです。連携は、様々な人の強い思いがあってはじめて形を成します。例えば今回の例は、学校、療育者、親の、それぞれ属性が異なる3者が十分に協力しての連携です。
だからこそ、教え子の親にも、先生に対しての話などに対しては十分に気をつけるよう、その方法について具体的、かつ細かく、口を酸っぱくして説明します。
つまり、それだけ冷静でいることは重要であり、それが困難であると連携は上手くいきずらいのです。


と、まあ連携についての最低限必要な事項はこの辺でしょうか。
実際に先生に渡した文章もさることながら、保護者の方に話したことはこの10倍以上かもしれません。

つまり、連携とは、本格的に進めていけば進めていくだけ、特にこういった課題学習、つまり建設的なものほど困難なものとなります。

しかし、皆が力をあわせれば、その先にはより良い子どもの成長があります。そして、それは正に臨床冥利に尽きます。


本来は、教育行政とは異なった第3者の介入のシステム化や、その他によって、全体的な質の向上が実現すれば、保護者にも負担は減るでしょう。
しかし、現状では、1つ1つの学校、先生へ保護者と臨床家が協力して連携の要請をしていくことが、私が現在できる最大限です。

前々回の記事(滝乃川学園にて職員研修講座の講師を務めます)でも記載したように、それでも現状のこの分野は良いほうに変化し続けているように感じます。
様々な機関が変化していますし、実際に私自身も教育委員会主催で、学校でプログラムを実践したりしましたし。

保護者の方にとっては、ブログでは中々伝わりにくいでしょうが、このブログの記事が少しでも今後の学校とのやり取りの参考になって(この資料は個人個人によってデザインが異なるので、直接は困難ですが、留意点はきっと参考になると思います)、また、学校の先生方にとっては、仮に一人であっても、連携の実例を知り、腰を上げていただけたら幸いです。

今回は(も?)一切笑いなしですが、ご勘弁を(笑)。


では、また来週に。

新人研修

2013-11-11 | 日記
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。

早速ですが、私が顧問を担当しているNPO法人すくすくの話です。
今週、NPO法人すくすくで、新人研修の最終日の養成を行ってきます。

NPO法人すくすくでは、指導員には、研修期間である1カ月の間に研修を設け、NPO法人すくすくの代表や管理責任者から講義を受け、レポートを書き、先輩の指導員の行動を観察させ、またレポートを書いてもらいます。

そして、それを繰り返した後に、私の講座があります。
その講座を受けた後、研修終了テストがあります。

私の行う講座の内容は、もちろんABAについて。プラスして、厳しい苦言をいくつか・・・(笑)
ブログで記載することは困難なので控えますが、まあ一言でいえば、「自分が受けたい指導」であることでしょうかね。

「自分が受けたい指導」それを一言で記載することは非常に困難だと思いますが、「自分が・・・」というものの、個々の指導員の「ブレ」をゼロにするためにも、ABAを理解してもらうことも当然重要である故、ABAについての講座も欠かせないわけです。

指導するうえで「でも」「だって」なんて言っていても無意味でしょう?
子どもの要求通りに何でも叶えても、そうでない場面では不適応を起こすでしょう?それって長期的に見てどうなんですかね?
一人ひとりの指導計画は、サラで言えるようになるまで毎日確認しないとね。
上司が褒めることを動機にせずに、子どもの成長を動機にしましょうね。

なんてことを、ABAの基礎の説明と並行して話したりします。

こういった講座は、指導員が持つ資格には関係ないです。
なぜなら、例えばすくすくには、心理士や大学院生なんかもいますが、イコールABAを理解しているわけでは無いですからね(専攻とかにもよりますが)。
だって、心理士がABAを専門にしているのであれば、地域の療育センターや教育行政でもABAは受けられるわけですからね。

そのことから、すくすくでは資格があろうがなかろうが、必ず研修はもちろん、定期養成も受けてもらうのです。

と言うことで、新しい指導員の今後にとっても重要な、新人研修最後の講座を行ってきます。


余談ですが、自分の教え子と全力で鬼ごっこをしていたら、急な下り坂で躓いて、そのままダイブ・・・(泣)
右半身打撲、ひどい筋肉痛に加えて、かなりひどい擦り傷を手足に追い、手足を曲げたり身体を動かしても痛みが・・・。
しかし、そこにいた子どもに爆笑され・・・私も爆笑・・・。しかし、そのあと教え子からの暖かい手紙が。
子どもなんだからそんなこと気にしなさんな!と言いつつも、そこに成長を感じ、ちょっと嬉しかったりして(笑)。

でも、手紙をもらったことは嬉しいけれど、手紙が「書ける」ことだけが重要ではないですよね?

逆の立場での説明として、土日ほとんど家にいないお父さんが、土日必ず遊ぶお父さんに勝つこともできますからね(これ重要!)。
ちなみに、この内容もABAで説明がつきます。


余談が長くなりそうなので、今回はこの辺で(笑)では、また来週。

滝乃川学園にて職員研修講座の講師を務めます

2013-11-03 | 滝乃川学園
当ブログをご覧いただきありがとうございます。尾串光康です。

早速ですが、表題通り、滝乃川学園にて、職員研修講座の講師を務めてきます。
ここの施設は規模が大きく、子どもから大人までが利用できる事業があるそうで、今回は、児童部の入所の職員を中心としての講座になるそうです。

また、この研修は連続となっており、2回に渡って講師を行うことになります。
一般の方を対象にはしておりませんので、詳しい日時などの記載は控えますが、12月と1月を予定しています。

この施設は、様々な事業を行っているらしいですが、児童からの入所を行っており、つまり、その施設で長期にわたって生活を営んでいる子ども達がいるということです。


今までには、民間の学童や教育委員会からの依頼でプログラムの実践なども行ったこともありました。
ちなみに、ひまわりの会を設立してはじめの公的機関からの依頼は、中央区の教育委員会からの依頼でプログラムを実践したことでした(区の記事にも記載されたそうです。しかし、私自身はその記事は見ていませんが・・・)。
しかし、入所施設関係は初めてになります。

年内に、別の場所の入所施設で生活している子どもの保護者の依頼で、その子どもに療育を行う予定でいるのですが、それも保護者の方からの直接の依頼で、施設側からの依頼とは、それが講座であっても私自身嬉しく思っています。

その理由は、1つは子どもが生活を営んでいる場所の大人がより望ましい関わり方を行っていくことで、子どもがより良く成長していくという点です。
そして、同時に子どもの成長を実感できる物差しを持つことで、働きかける大人自身がより動機を持って子どもとかかわれるという点もあります。
そのために、ペアレントトレーニングがあるわけですし。

もう一つの理由は、これは私ごとですが、子ども関係の仕事をするきっかけとなったのが、高校生時代に児童養護施設にボランティアに行ったことがきっかけだったことです。
昔は、まだ「アスペルガー」、「高機能自閉症」というカテゴリーが日本ではほとんど存在していなかったと言っても過言ではない時代で、それ故児童養護施設にそれらの子どもたちが沢山いました。
そこでの支援不足を、この目で見て、そのあと高校生時代の恩師から説明を受け、衝撃を受けたことが、子ども関係の仕事を行おうと決めたきっかけでした。

その意味で、今回の講座は、今の私の立場として専門的知見の普及を目的としてだけではなく、私自身も非常に動機が高く、様々な意味で楽しみにしています。

入所施設でABA、いや、本当に素晴らしいですね。
現状でも規模が大きい施設であるにもかかわらず、専門的見地を取り入れようとする試みは非常に好ましくあります。
そのお手伝いができるという意味でも光栄で、良い講義に向けて準備を着々と進めています。

私が代表を務めているひまわりの会でも12月いっぱいまで講座としてのペアレントトレーニングを行っているので、その途中でここでの講座があり・・・何よりも体調管理に専念しなければ・・・。


それでは、また来週。