Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

腫瘍マーカーの動きだけではわからない

2011-04-28 | 医療・病気・いのち
進行がんの方に対して抗がん剤治療を行う場合
高値を示す腫瘍マーカーがあれば
そのマーカーを治療効果の指標の一つとすることが多い

しかし癌細胞集団のすべての細胞が
そのマーカーとなる物質を出しているとは限らないので
値が下がったということは
そのマーカーを出している細胞集団が減ったということにしかならないのだ

ある腫瘍マーカーが正常上限の20倍以上となっていたMさん
化学療法により次第にその値が下がり
ついに正常値内におさまってきた
自覚症状もほとんどなくなっていた

ところがある日救急外来に腹痛で訪れそのまま入院に
腸閉塞の状態で食事がとれなくなっていた

CTなどを取ると
明らかな腫瘤は認めないのだが
腹水の増加などをふくめその所見はやや悪くなっている

おそらくマーカーとなる物質を出さない細胞集団が増殖してきているのだろう
ただちに別の薬剤に変更することとした

マーカーの動きを一緒に見て喜んでいたのだが
この事実と向き合った後
当然ながらMさんの表情は晴れない
ご本人はひょっとして手術ができるくらいになるのではないかと思っていた節があるので
落胆は大きい

何とか次の手が効果を見せてくれるといいのだが
その場合も手術まで持って行ける可能性は…