らんかみち

童話から老話まで

童話的酒の肴レシピ

2006年12月16日 | 酒、食
 いい加減な料理が登場する童話を書いて教室に提出すると、たいていは強烈なバッシングを食らう。そりゃそうだろう、だって回りは主婦という料理のプロばかりなのだから。
 しかもお師匠さまは、漫才ネタや料理ネタの童話作品を出版されているので、「普通の料理を物語に書くのは能が無さ過ぎる。同じ書くなら、読者が食べたくてたまらないようなものにすべきだ」と、料理レシピとも、料理自慢ともつかないご指導が始まることになる。
 
 確かにぼくは本格的な料理なんて作れないけど、酒の肴くらいならいくつかのバリエーションを持っている。ぼくが長い独身生活の末に完成を見たレシピは、全ての酒飲みに好まれるものではないかも知れないが、場末の飲み屋辺りにたむろした、今は亡きアル中たちへのオマージュとして、ここに公開することに踏み切る。
 
☆ニュー・コンビーフ 赤鬼風
材料:ニュー・コンビーフ つまり本物のコンビーフではなく、その他の畜肉の塩漬け1缶、玉子1個、きざみネギなどのトッピング、七味。
作り方:まずニュー・コンビーフを皿にほぐして丸くなるように伸ばし、そのまま電子レンジで1~2分ほど加熱した後、取り出して中心に玉子を割り乗せ、再びレンジで30秒~1分ほど加熱する。
注意:玉子をチンする時間が長すぎると破裂するし、肉もカリカリになる。
*赤い肉を丸く伸ばしたのが赤鬼の顔、真ん中にある玉子がその目に見えるのでこの名を冠した。
 お好みでネギなどをトッピングし、玉子をグチャグチャニつぶしながら、七味などで味を引き締めて食べると、一人酒のわびしさも倍加する、実に切ない一品。

☆ツナ盗りタルト
材料:小さなツナ缶(カツオ缶でも代用可)玉子3個、ネギ。
作り方:普通のネギ入り玉子焼きに、うなぎなどを巻き込む要領で、ツナを巻き込んでいく。
注意:ツナ缶の種類には、塩の入ったものとそうでないものがあり、サラダ油に漬かったのと、水に漬かっているものがあるので、それらによって塩加減や油の加減をすること。
*単に真ん中に巻き込むだけではツナに火が通らず、分散させて焼くと焦げ付きやすい。
 作るのに非常に高い技術が要求され、美しく焼き上げることに躍起になってしまうのが難点。一見ダシ巻きのようでいて、実は中にツナが隠されているので「ツナ盗り」と命名した。

☆オイルサーディンのカンカン炒り
材料:片口鰯の油漬け1缶、ニンニク1個
作り方:オイルサーディンの缶を少しだけ空け、半分ほど油を捨てる。その後缶を空け、スライスしたにんにくを、整列した鰯のすき間に差し込んでいく。そこに捨てた油とほぼ同量のうすくち醤油を注ぎ、そのままガスコンロで加熱する。
注意:火にかけるとすぐに沸騰し始めるが、かなり長時間熱しないと、にんにくや鰯に火が通らない。醤油が焦げ付く寸前まで加熱するのがポイント。
*にんにく、鰯、醤油の相性が非常に良く、ビールはもちろん日本酒にも合う。缶詰を直接加熱することの是非は、この際問うてはならない。カンカンのまま炒りつけるように煮るので、そのまんまの名を与えた。

 まあ、だまされたと思って作り、だまされてください。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿