中東紛争―その百年の相克 著者: 鏡 武; 新品 Y 1,995 |
昨日、イスラエルとヒズボラによる停戦が合意されました。何百人という命と引き換えに・・・
以前から中東紛争に対してはいくつかの疑問があり、この機会に勉強してみようと思い読んでみました。
この本は中東紛争の発生から現在に至るまでの歴史的流れ、その時代、時代の問題点、そして現在の問題点を分かりやすく整理してあるので、たいへん参考になりました。
この本を読んで考えたのは、生存権についてー自らの生存権を守るためには、生存権を脅かす他者は武力によって殲滅してもいいという考え、行動が血で血を洗う闘いになり、多くの人命が失われ、憎悪と暴力の連鎖を繰り返していまったのではないだろうかということです。
武力・圧力は問題の解決にはならず事態を深刻化・拡大化していく事実にどうして為政者たちは気がつかないのか、そのため多くの人命が失われていくにもかかわらず・・・
翻って私たちが住むこの北東アジアでも中東での事態と同じような様相になってきている気がします。
問題の本質を見ず圧力・武力によって解決しようとするのは、より問題を深刻・拡大し、多数の人命を失う危険を伴います。
自分の身内、友人、知り合いが仮に戦いの犠牲になれば、そこからは憎悪しか生まれず、感情的に抜き差しならないものになるでしょう。
朝鮮半島の不安定要因は、イデオロギー対立、制度対立、南北分断、大国の利害関係等々いろいろあるが、より大きいのはアメリカと北朝鮮のお互いにたいする不信感であるとおもわれます。
それは1950年の朝鮮戦争によって武力衝突したことによりお互いが他者を認めにいことよって問題が深刻化している。
もう一度書きますが、武力・圧力は問題の解決にはならない。
それは憎悪と暴力の連鎖しか生まない。
この本を読んであらためてそういうことを考えてしまいました。
残念ながら北朝鮮は建国以来の歴史がほとんどアメリカとの対立関係を軸に描かれています。対立関係が50年を超えてしまったため、アメリカにも北朝鮮にも、お互いの対立・緊張関係を前提とした社会関係が生まれ、それがあることで得をしている人たちがたくさんいます。
そういう人たちにとって、朝米関係の改善は、自らの既得権を崩される事態となります。そのため、機会があるごとに対立関係を再生産する動きが社会のあちこちで生まれてしまいます。
このような歴史の教訓から私たちは何を学べるのでしょうか。おそらく対立によって得をする人を作らないようにする、ということになると思います。北東アジア各国の中に、お互いの対立と不信を糧にして肥え太っていく人々が生まれるとすれば、それは対立関係の固定化と拡大再生産を引き起こすことになるのではないかと思います。
「力強く、かっこいいものには裏がある」ということを、一人一人が身近な人たちに語り継いでいく、というのが着実で効果が上がるのかなと思います。こういう話題には長いものに巻かれる傾向の強いマスコミはあまりあてにならないと思います。そういう意味で「草の根」というのは重要なキーワードになるかもしれませんね。
昨日も五時間ぐらい、朝鮮半島情勢を中心にアメリカ、日本、中国、ロシアの動き、中世から現代までの朝鮮歴史、中国の歴史、日本の歴史、本の感想等々いろんな感心事を話し合います。そしてお互い情報交換したり、刺激しあい、それをもとにまた、ほかの人たちとも話しあいます。微力ですがこういうことの繰り返しが大事だと思っています。私たちは朝鮮半島情勢については今が一番苦しい時ですか、数年のうちによくなっていくだろうと予測しています。
それより、アジアのイスラエルと化していく日本の将来が心配です。