孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

先生、英語化政策対応、大丈夫ですか?

2017年02月12日 | 英語関連
シンガポールやマレーシア、フィリピンなどでタクシーを利用すると、運転手はほぼ100%英語が通じるので便利な感じがする。

日本のタクシー運転手も英語を話すようになれば、英語圏からの観光客へのおもてなし度は随分アップして、評判が良くなるだろう、観光客も増えるだろう、だから英語化推進を、と考えがちだが、それはちょっと違うんじゃないか。

たまには、ぼったくりもあります・・

シンガポールやマレーシアは長いこと英国の植民地であったし、フィリピンはアメリカの植民地であった歴史がある。彼らと日本人を同列に考えてはいけない。

それに、日本人観光客のために東南アジアのタクシー運転手がみんな日本語を話すようになったとして、観光客であるあなたはうれしいですか?ありがたいですか?異国情緒を味わいたいという海外旅行の要素を損なうことにならないですか?

それに、観光客誘致のためとか、押し寄せる外国人観光客に対応するため英語くらい話せるように・・・という理由なら、北京語を覚えるべきじゃないでしょうかねえ?

2020年は東京五輪の年ですが、この年から小学校の5,6年生は正式な教科として英語を習うことになるそうです。テストをして成績がつく事になり、その年には小学校3年生も「英語活動」が始まり、お遊びで英語に慣れるのが目的のようです。

やがて英語は、私立中学の受験科目に加わり、市井の英語教室は小さな子供たちで賑わうことになることは目に見えています。

  中学の英語の先生。大変でしょうな。

そういう政策に伴って教える側も尻を叩かれているようですが、現状は対応できているんでしょうか?



以下、京都新聞より抜粋:


 『京都府教育委員会は9日、京都市を除く中学校の英語科教員で、本年度に英語能力試験TOEICを受験した74人のうち、府教委が目標として課した英検準1級に相当する730点以上を獲得したのは16人で、約2割にとどまることを明らかにした。

最低点は280点で、500点未満も14人いたという。府教委は「英語科教員の資質が問われかねない厳しい状況だ」としている。』

これを知ったちょっと英語に関心のある父兄は、多分大きな失望感を覚えて、こりゃ学校に期待はできないわ・・・と感ずることだろう。

そして、それは子供たちに伝播して、英語教師を見下すことになり、それを敏感に察知するる英語教師たちは恐らくやる気を出すより、やる気をなくしてしまうのではないか。

 『国は、次期学習指導要領で、中学校の英語科の授業は基本的に英語で行うことを盛り込む方向で、2017年度内に中学校教員で英検準1級以上50%という目標を掲げている。

 そのため府教委は、本年度から英検準1級以上を取得していない英語科教員に、英語のコミュニケーション能力を測るTOEICの受験を促し、受験料を負担する事業を約750万円かけて始めた。』

文科省のお役人が、鉛筆舐め舐め目標を設定するのは、いとも簡単なことであるでしょう。しかし、英語教員の力量は昨日今日急に下がったわけではないことは明白です。ゆとり教育で大きな失敗を経験したにもかかわらず、お役人は学習していません。


 『対象となる50歳未満の教員は約150人で、本年度は74人が受験した。まず昨年6月に試験実施したところ、4人しか達成できなかった。』

残念ながら、京都の英語の先生は、「英語を教える力量はない」ということです。

 『その後、8月と10月に集中セミナーを3日間実施。その後1月までに追加で8人が合格した。ただ受験者の平均点は、1回目が578点、2回目が588点で、セミナーや自習を経ても10点しか上がっていない。』(京都新聞  2017年02月10日)

TOEICはかなりこまめに受験者のデータを収集してきていて、その統計よるとこれまでの英語教員の平均スコアは、中学教師が560、高校教師が620という結果でした。

これはいずれも文科省の目標730に達していないばかりか、この程度のスコアでは英語を教えるレベルではない、と公表しています。

この英語化政策の愚策ぶりは、『英語化は愚民化』(施 光恒著 集英社新書)に詳しいので、是非ご一読を!

すでに一部の有名大学では、授業がすべて英語で行われていて、これはどんどん広がることになるそうです。バカバカしいことに、日本の大学で日本の学生たちが日本人の先生に英語で「日本文学」の講義を受けるという光景が生じるようです。

政府のこういう動きを察知して、人材派遣の大手などは、近場の英語圏のアジアの国に、日本人のための英会話学校をつくり、短期・長期英語留学を受け入れて儲けようと企んでいるようです。

  Pの派遣企業

ほくそえんでいる利権屋は、郵政民営化のときの例のあの方、今や派遣会社の会長さんです。


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