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医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病合併症の予防とビタミンCの効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-07-29 22:29:57 | 健康・病気

ビタミンCの糖尿病合併症予防効果に関しては、Stone博士、Pauling博士、それにミシガン州立大学などの研究がありますが、新しい研究と当方での調査らを総合し、考察し、紹介したいと考えています。

Hypertension(2002; 40:804-9)によれば、ビタミンCを補給することは、血圧を下げたり、動脈硬化を減らしたりすることにより、糖尿病合併症のいくつかを予防するのに役立つ可能性があります。この新しい研究は、糖尿病患者が還元型ビタミンC(VC)の摂取量を増やすことにより、恩恵を被ることができるという証拠が、増えています。

30名の糖尿病患者(男女)は、500mg/日のVC、もしくはそのプラセボを摂取するよう、無作為に割り当てられました。治療の4週間後、平均血圧は、VC摂取グループで著しく低下しましたが、プラセボグループでは変化は見られませんでした。VC摂取グループの収縮期血圧は、平均9.8mmHg下がり、拡張期血圧は平均4.4mmHg下がりました。血圧のこれらの変化は、血圧降下薬を摂取することから予想される大きさとほとんど同じです。更に、動脈硬化は、VC摂取グループで著しく減りました。

心臓病は、糖尿病で多い合併症です。高血圧と動脈硬化は、両方とも心臓病のリスク因子となっているので、食事療法や補酵素Q10,VB1,乳酸菌、それにR-リポ酸R-(天然型)を摂取するだけでなく、ビタミンCを補給することは、合併症の心臓病の進行を遅らせることが、この研究結果から示唆されます。ところで、糖尿病患者は心臓病予防のため、AGEs(終末糖化産物)の産生を抑制するため、蛋白質の摂取では、大豆製品を中心に魚介類で補うことが大切です。また、飽和脂肪酸を含む動物性脂肪は、できるだけ摂取量を減らすことが、肝要です。

以前の研究では、糖尿病患者は、健常人よりもっと多くのVCが体に必要であることを示しています。VCはグルコースと化学構造が似ており、細胞に入る時、グルコ―スと競合することが、ミシガン州立大学の研究で明らかになっています。糖尿病時、血糖値が上昇する時、通常より多いVCが、その機能を発揮するため必要です。実験動物では、VCの欠乏は動脈硬化をもたらします(アテローム性動脈硬化症)。

研究では、VCが眼や神経のダメージのような糖尿病合併症を防ぐのに役立つに違いないことを、示唆しています。VCは、これらの合併症の進行に与えると信じられている、生化学的反応の次の3つをすべて阻害します。(1)酸素ラジカルの産生、(2)細胞内でのソルビト―ルの蓄積、(3)糖化と呼ばれる組織損傷反応などを、VCは阻害します。これらに関しては、更なる研究が必要です。

進行した糖尿病患者は、腎臓病を併発している可能性が大変高く、それが重度であれば、腎臓がVCを排泄する能力を弱まらせています。重度の腎不全患者では、100mg/日のVCの補給は、それが体に蓄積し、シュー酸塩に転換します。そのことが、心臓や他の組織に損傷を与える可能性があります。したがって、糖尿病患者は、糸球体濾過機能検査、微量アルブミン検査をうけることは、絶対必要です。自分の腎臓の機能を把握することは大切です。たいていの糖尿病患者は、VCの補給は安全ですが、糖尿病・腎臓病専門医に相談して下さい。なお、VCは主に野菜や豆、果物、それにイモ類で補給し、不足分は栄養サプリメントで補うのが栄養バランスの点から賢明と、考えます。また、重症の腎不全になると、医薬品、栄養サプリメントなどを内服できなくなり、いろいろ問題を生じます。

References

Vitamin C may aid people with diabetes: Baster center for natural health, the teaching clinic of Baster University. Robert Root-Bernstein: J. theor. Biol(2002) 216, 345-359

Control your diabetes by vitaminC and vitaminE: Healthy articles, February 7, 2010

 

 

 

 

 


ビタミンC点滴によるガン治療の最近の効果(成功例)について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会

2013-07-27 16:46:46 | 健康・病気

ガンのビタミンC点滴療法については、実証的研究が続けられるに従って、guality of lifeの改善、延命効果、患者さんが体が楽になった、などの情報から世界中で人気が出ています。

ドイツでの最新のコホ―ト研究では、一つより多い症例では、ビタミンC(VC)の大量点滴により、乳がん患者のquality of lifeを明らかに改善したことを、証明しました。また、日本国や韓国、それにニュ―ジランドなどでも、ガン患者のquality of life の改善が多数報告されています。このような結果から、世界中の多くのガン患者が、毎年、このビタミンC大量点滴療法で治療することを選ぶ理由となっています。なお、ニュ―ジランドでは、オタゴ大学のVissers博士が中心になって、ガンのビタミンC点滴療法の研究を行っています。また、マイタケからの抽出成分のD-フラクションとビタミンC点滴療法の併用療法では、ガン患者のquality of life(生活の質)などの改善など寛解効果が認められたという、研究報告もあります。

ガンの点滴療法の現在の状況は、ビタミンCナトリウムの大量点滴により、組織のH2O2を産生させる濃度に安全に達することができることは、現時点で確認されています。なお、酸化ストレスによりガン細胞を選択的に殺すのはH2O2です。実験的研究では、ビタミンCナトリウムの大量点滴は、広く、いろんなガン細胞群に対し、ガン細胞毒性となっていることが確認されています。VCの大量点滴は、いろんな、一般的なガンに対する化学療法剤の抗ガン活性を、VCを併用することにより高めています。

実験的モデルのラットでは、VCの点滴は、ヒトでたやすく達成可能な投与量では、肝臓、卵巣、膵臓などのガンとグリア芽細胞腫の増殖率を著しく減少さすことを、示しています。現在、リンパ種、直腸癌、乳がん、子宮体ガン、子宮頸部がん、前立腺ガン、膵臓癌、そして、その他のガン患者に対し、単独もしくは抗ガン剤と併用して、VC点滴をテストしている、6件の臨床試験が行われています。

臨床試験では、VCの点滴がガンを小さくすることは示されていませんが、このことで、腫瘍医がVC点滴を拒む理由ではありません。ガンが縮小しなくても、大きくならず、おとなしくしていれば、ガンと共存しながら天寿を全うできるからです。quality of life の改善は、ガン治療の重要な目標であり、臨床試験では、VCの点滴が、quality of life の改善に十分効果があることを、示しています。したがって、今までの抗ガン剤のテストは、ガンの縮小のみに的をしぼって行われましたが、これでは不十分だし、それがすべてではありません。quality of life、延命効果、患者の寛解度(CEA値、PSA値など腫瘍マーカーの改善)などを中心に臨床テストの指標の変更が、国際的な見解となっています。

ドイツでの2011年の研究では、標準的治療法単独と比較して、VCの点滴と標準的治療法を併用して実施した乳ガン患者で効果を比較しました。併用グループは、食欲不振、疲労感、うつ症状、睡眠障害、めまい、それに出血素因などの不快な症状と化学/放射線療法による重大な副作用を、著しく軽減(約50%)しました。なお、実験動物の研究では、arsenic trioxide、それにgemcitabineとepigallocatechin-3-gallateなどとVCの併用投与は、抗ガン効果を高めていますが、bortezomibとVCの併用投与は、bortezomib単独投与より、ガンの増殖がより大きいというマウスでの研究が有りますが、再試験を期待しています。

ニュージランドの科学者のSir Paul Callaghamは、彼の結腸がんを、VCの点滴で治療することを選びました。そして、彼のCEA値(結腸ガンマーカー)は、6回点滴後、下がり始めました。VC点滴療法は、すでにニュージランドで広く実施され、毎年、10,000回のVC点滴が行われています。日本国でも点滴回数が飛躍的に増加しています。米国での最近の調査では、2008年には、8800人より多いガン患者が、VC点滴で治療し、10万本の点滴バイアル(瓶)が利用されました。


2008年、VC製造メーカーはVC点滴バイアルを855,000本販売したと、報告しています。このことは、21,000名がVC点滴を受けたことを示しています。日本国では医師らが連携して、標準的治療法にVC点滴療法を併用している事例が増加しています。ところで、モーテル博士のジャンクペーパーがポーリング博士のVC療法の足を引っ張ったことは事実ですが、しかし、ポーリング博士の名誉が回復し、VCがガン患者に福音をもたらしていることは喜ばしいことだと、考えています。また、30年近く前に、ポーリング博士に彼の論文の件で手紙を出して、ありがたい返事をいただいて感激した思い出があります。その手紙も大切に保管しています。ポーリング博士、人類の健康に尽力され、大変感謝します。御冥福をお祈りしています。

References

Ethan Evers: Treat cancer with IV vitaminC-Recent ,clinical success, Natural News, Tuesday ,January 17,2012

藤井毅彦:ガンを予防し、治すビタミンC療法 、 日本ビタミンC研究会、 1982年

藤井毅彦:ガンと栄養、日本ビタミンC研究会、1980年

High- Dose VitaminC: U.S.National Cancer Institute, May.28, 2013

藤井毅彦:ガンを治すビタミンC療法、日本ビタミンC研究会、1981年

 

 

 

 

 


糖尿病による腎臓障害とカルノシン、R-リポ酸、ビタミンEの効果について 栄養医学ブログ  日本ビタミンC研究会

2013-07-25 19:57:12 | 健康・病気

新しい研究では、糖尿病が進行による腎不全の増加を、カルノシン(carnosine)がその腎臓障害の進行を抑えることが分かりました。更に研究が増えることが必要ですが、明るい希望が湧いてきました。

メタボリック症候群は、腎臓や血管の合併症の進行リスクを増大さすリスク因子となっています。L-カルノシン(L-carnosine, L-car)とそのD型であるD-カルノシン(D-carnosine, D-car)の投与による効果が、高脂血症、高血圧、終末糖化産物(AGEs)量の上昇、終末脂質化産物(ALEs)の産生、それに腎症の進行について試験されました。カルノシンは、β―アラニンとヒスチジンよりなるジぺプタイドで、筋肉や脳組織に多く含まれています。

糖尿病でない、Zucker肥満ラットを用いて、L-carもしくはD-carが24週にわたって、それらを(体重30mg/kgあたり)飲料水に入れ、ラットに与えました。投与の終わりに、血漿トリグリセライド、総コレステロール、グルコース、インスリン、クレアチニン、それに尿中総タンパク質、アルブミン、クレアチニン値が、いくつかの酸化/カルボニルストレスの誘発(induce)に加えて、血漿、尿中、それに腎臓組織で調べられました。

腎組織の尿パラメータと電子顕微鏡で証明された様に、L-carとD-carは両方とも、脂質異常症、高血圧、腎障害らの進行を抑えることにより、Zuker肥満ラットでの肥満が関係した病気を著しく減らしました。こられの生物学的作用のいくらかは、直接カルボニル基を抑制するメカニズムにより解決できると、研究者らは考えています。

次に、糖尿病などによる慢性腎臓病に対するビタミンE、Rーリポ酸の効果については、炎症と酸化ストレスのバイオマーカーを低下させることによると考えられます。

酸化ストレスと急性期炎症は、慢性腎臓病(CKD)と終末期腎臓病(ESRD)の患者群で認められ、いろんな証拠によると、アテローム性動脈硬化症の進行に関与しています。C-反応性蛋白質(CRP)やinterleukin-6のような炎症マーカーは、これらの二つの患者群では、心臓血管系疾患や死に対する、予言者になります。尿毒症は、反応性アルデヒドグループと酸化チオ―ルグループを含む、酸化した溶質が排泄されないことを特徴としています。

血液透析を始めても、酸化ストレスや炎症のバイオマーカーを改善しないことが、最近分かりました。血液透析単独では、アテローム性動脈硬化による尿毒性代謝状態をコントロールするには不適切であることが示唆されます。α、β、γ、∂トコフェロールを混合したビタミンEサプリメント(666国際単位/日、4ケ月間)とRーリポ酸(600mg/日、4ケ月間)を、ステージ3と4の慢性腎臓病患者に投与し、急性期炎症と酸化ストレスのバイオマーカーを低下させると考えますが、研究が増え、エビデンスが確立されることを期待しています。なお、Rーリポ酸単独の効果については、エビデンスが確立していますが、ビタミンEについては更なる研究が必要です。

References

Carnosine restrains the development of kidney injury: Life enhancement

The carbonyl scavenger carnosine ameliorates dyslipidemia and renal function in Zuker obese rats: Aldini G, Orioli M, et al. J Cell Mol Med 2011 Jun 1

Tocopherols and alpha lipoic acid  treatment chronic kidney disease: Clinical Trials. gov

 

 

 

 

 

 

 


糖尿病腎症でのAGEsとビタミンB1の効果について  栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-07-23 23:26:48 | 健康・病気

糖尿病の合併症には、AGEs(終末糖化産物)が大きく影響していることが、最近の研究で明らかになりました。そこで、AGEsの産生を抑えることが、糖尿病に対する戦略になりつつあります。外国の研究では、ラットのオスを人為的に糖尿病にし、それから24週にわたってビタミンB1(VB1)もしくはビタミンB1誘導体(benfotiamine)のどちらかを7mgないし70mg/kg/日、投与しました。血漿、尿中、それに組織中のサンプルが集められ、蛋白質が分析されました。最初は、糖尿病ラットの糸球体、網膜、坐骨の神経のAGEsとfructosyl-lysineの2倍から4倍の増加と血漿タンパク質の増加が見られました。また、坐骨神経の蛋白質の損傷が見られ、血漿糖化遊離化合物(adducts)は、2倍にまで増加しました。

しかしながら、AGEsの増加は、VB1とVB1誘導体(benfotiamine)療法により抑制され、fructosyl-lysineの増加は、観察されませんでした。血漿糖化遊離化合物の損傷は、VB1により無くなりました。糖化、酸化、ニトロ化による遊離化合物は、糖尿病では7倍から27倍まで増加しました。これらの増加は、VB1(thiamine)とbenfotiamine療法により抑制されました。

AGEsは、実験的糖尿病では、尿中排泄率の著しい増加の原因となる細小血管での合併症の進行部位に蓄積することが、わかりました。VB1とVB1の誘導体を投与することは、糖化蛋白質、酸化化合物、ニトロ化化合物の組織での蓄積と尿中への排泄の増加を防ぎます。これらのことから、VB1とVB1の誘導体の大量療法は、初期の糖尿病腎症を抑制するのに役立つことが、推測されます。更なる、研究が必要と考えられますが、期待しています。

高血糖症は、糖尿病腎症の進行をもたらす、生化学的機能不全の引き金となっています。なお、糖尿病腎症は、心臓血管系疾患とそれによる死亡の高リスク因子です。高グルコース濃度は、triosephosphateの増加の原因となっており、triosephosphateはグルコースの合成と分解に関係しています。VB1とbenfotiamineは、実験的糖尿病ではtriosephosphateの蓄積を阻害します。それによって、腎臓の糸球体濾過機能を高め、微量アルブミン尿症の進行を強力に阻害します。このことは、高血糖症において、タンパク質の糖化と酸化ストレス、生化学的機能不全を減少させました。同時に、benfotiamineは、血漿グルコース濃度と糖化ヘモグロビン値の上昇なしに、高濾過機能亢進を阻害しました。これらのことから、VB1とVB1誘導体の大量摂取は、糖尿病腎症の予防に有益なことがわかりました。VB1、benfotiamine、アルファーリポ酸それにカルノシン(carnosine)など抗AGEsサプリメントは、腎臓を健康にする作用により、その機能を改善できます。更に、追試が行われることを期待しています。当方での少数調査では、これらのサプリメントに加えて、VC、補酵素Q10、ニンニクなどを摂取している初期の糖尿病腎症患者でも、臨床データ、頻尿、睡眠障害、息苦しさの改善が認められました。更に、調査する予定です。

References

AGEs-reducing nutrients could save your kidneys: Life enhancement

Tocopherols and alpha-lipoic acid treatment chronic kidney disease: Clinical Trials.gov

 

 

 


糖尿病による腎不全でのアルブミン尿症対策について  栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-07-22 23:16:34 | 健康・病気

t糖尿病で恐ろしことは、それが腎障害をもたらし、それが体のいろんな器官に障害をもたらすことです。従って、腎障害対策を早めに実施することは、糖尿病による死亡率を抑えることに繋がります。腎臓の機能不全は、あらゆる原因による死のリスクを増大させます。人が、心臓病、ガン、脳卒中発作、慢性呼吸器系疾患、事故、糖尿病、アルツハイマー病、インフルエンザ、肺炎などの疾患で死なないとしても、腎臓病で死亡する可能性があります。

米国では、心臓病と脳卒中発作による死亡率は、下降傾向にありますが、腎臓病による死亡率は増加傾向にあります。このことは、日本には当てはまるかどうかは明確な疫学調査はありませんが、糖尿病や肥満、それに高血圧の増加から、腎臓病が増えていると、考えられます。

糖尿病やその他の疾患による腎機能不全では、いろんな原因と心臓血管系疾患による死亡リスクが予測されます。腎機能不全対策では、糸球体濾過率(GFR)とアルブミン尿症を検査してみることです。アルブミンは、主な血漿タンパク質で、その主な機能は、血液のコロイド状浸透圧を調整することです。それにより、血漿と組織液の間の水分交換を適切にします。また、GFRの低下とアルブミン尿症の悪化は、心臓病による死亡だけでなく、あらゆる原因による死亡に結び付いています。

では、これらの病態の改善はどうすればいいのでしようか。食塩やカリウムなどを減らした腎不全の食事療法と共に、高単位のビタミンB1を摂取することは、二型糖尿病による腎不全では、尿中へのアルブミンの排泄を減らし、初期の糖尿病や糖尿病予備軍に有益であることが、研究により証明されています。次回はこれらの詳細について考えていきたいと、思います。

References

AGE-reducing nutrients could save your kidneys: Life enhancement

Tocopherols and alpha lipoic acid treatment chronic kidney disease: Clinical Trials.gov