ビタミンCの糖尿病合併症予防効果に関しては、Stone博士、Pauling博士、それにミシガン州立大学などの研究がありますが、新しい研究と当方での調査らを総合し、考察し、紹介したいと考えています。
Hypertension(2002; 40:804-9)によれば、ビタミンCを補給することは、血圧を下げたり、動脈硬化を減らしたりすることにより、糖尿病合併症のいくつかを予防するのに役立つ可能性があります。この新しい研究は、糖尿病患者が還元型ビタミンC(VC)の摂取量を増やすことにより、恩恵を被ることができるという証拠が、増えています。
30名の糖尿病患者(男女)は、500mg/日のVC、もしくはそのプラセボを摂取するよう、無作為に割り当てられました。治療の4週間後、平均血圧は、VC摂取グループで著しく低下しましたが、プラセボグループでは変化は見られませんでした。VC摂取グループの収縮期血圧は、平均9.8mmHg下がり、拡張期血圧は平均4.4mmHg下がりました。血圧のこれらの変化は、血圧降下薬を摂取することから予想される大きさとほとんど同じです。更に、動脈硬化は、VC摂取グループで著しく減りました。
心臓病は、糖尿病で多い合併症です。高血圧と動脈硬化は、両方とも心臓病のリスク因子となっているので、食事療法や補酵素Q10,VB1,乳酸菌、それにR-リポ酸R-(天然型)を摂取するだけでなく、ビタミンCを補給することは、合併症の心臓病の進行を遅らせることが、この研究結果から示唆されます。ところで、糖尿病患者は心臓病予防のため、AGEs(終末糖化産物)の産生を抑制するため、蛋白質の摂取では、大豆製品を中心に魚介類で補うことが大切です。また、飽和脂肪酸を含む動物性脂肪は、できるだけ摂取量を減らすことが、肝要です。
以前の研究では、糖尿病患者は、健常人よりもっと多くのVCが体に必要であることを示しています。VCはグルコースと化学構造が似ており、細胞に入る時、グルコ―スと競合することが、ミシガン州立大学の研究で明らかになっています。糖尿病時、血糖値が上昇する時、通常より多いVCが、その機能を発揮するため必要です。実験動物では、VCの欠乏は動脈硬化をもたらします(アテローム性動脈硬化症)。
研究では、VCが眼や神経のダメージのような糖尿病合併症を防ぐのに役立つに違いないことを、示唆しています。VCは、これらの合併症の進行に与えると信じられている、生化学的反応の次の3つをすべて阻害します。(1)酸素ラジカルの産生、(2)細胞内でのソルビト―ルの蓄積、(3)糖化と呼ばれる組織損傷反応などを、VCは阻害します。これらに関しては、更なる研究が必要です。
進行した糖尿病患者は、腎臓病を併発している可能性が大変高く、それが重度であれば、腎臓がVCを排泄する能力を弱まらせています。重度の腎不全患者では、100mg/日のVCの補給は、それが体に蓄積し、シュー酸塩に転換します。そのことが、心臓や他の組織に損傷を与える可能性があります。したがって、糖尿病患者は、糸球体濾過機能検査、微量アルブミン検査をうけることは、絶対必要です。自分の腎臓の機能を把握することは大切です。たいていの糖尿病患者は、VCの補給は安全ですが、糖尿病・腎臓病専門医に相談して下さい。なお、VCは主に野菜や豆、果物、それにイモ類で補給し、不足分は栄養サプリメントで補うのが栄養バランスの点から賢明と、考えます。また、重症の腎不全になると、医薬品、栄養サプリメントなどを内服できなくなり、いろいろ問題を生じます。
References
Vitamin C may aid people with diabetes: Baster center for natural health, the teaching clinic of Baster University. Robert Root-Bernstein: J. theor. Biol(2002) 216, 345-359
Control your diabetes by vitaminC and vitaminE: Healthy articles, February 7, 2010