イワシ、サバ、寒流魚に多く含まれているEPAは、動物とヒトの炎症およびアテローム性動脈硬化症を減らす、という米国の研究があります。EPAと関連して、アディポネクチンと呼ばれているホルモンは、日本の医師により発見され、それは脂肪組織から血中に分泌され、糖尿病、肥満、アテローム性動脈症、それに、いくつかの肝臓疾患などの一連の代謝性疾患を抑制するのに重要です。日本や米国の研究によれば、EPAはアディポネクチンを増やし、アディポネクチンが中性脂肪値を下げ、骨格筋のインスリン感受性を高めるので、重要な脂肪酸となっています。特に、肥満したヒトでは、血中アディポネクチン値が減少していることがわかりました。
肥満ウサギや肥満したヒトでは、アディポネクチンの分泌をEPAが高め、肥満した脂肪組織の炎症性変化を改善することが、研究により判明されました。また、大規模な無作為ニ重盲験試験において、EPAが冠状動脈疾患のリスクを減らしました。このことから、メタボリック症候群の改善が冠状動脈疾患、糖尿病の改善に結びつくのではないかと考えられ、その研究が各国でされています。
インスリン抵抗性とEPAの作用について
n-3多価不飽和脂肪酸(αーリノレン酸、EPA,DHAなど)には、肥満の予防作用、インスリン感受性の増大作用などの可能性があります。しかし、そのメカニズムははっきりしていません。現在、研究中です。
研究によると、対照と高脂肪食摂取オスウイスターラットが二つのサブグループに分けられ、その一組にEPAエチルエステル1g/kgが、毎日、5週間にわたって経口投与されました。高脂肪食群では、体重と脂肪量の著しい増加がもたらされました。高脂肪食プラスEPA経口摂取ラットは、わずかな体重増加(p=o.o1)と、食事摂取量の減少(p<0.01)、および、レプチン産生の増加(p<0.05)を示しました。
脂肪合成転写因子PPARγ―遺伝子の発現阻害に対し、EPAの投与は二次的(p<0.01)となり、コントロール食を与えられたラットで見られた、アポトーシス(0<0.005)の増大に対しても、二次的となる腹膜後腔脂肪組織重量の減少(p<0.05)をもたらしました。TNFα遺伝子発現は高脂肪食群で著しく増大しました(p<0.05)。一方、EPA投与群では、炎症性サイトカインの上昇を防ぐ事が出来ました(p<0.01)。また、脂肪蓄積を改善するアディポネクチンの血漿値は、EPA投与により増加しました。TNFαとアディポネクチンのこれらの作用は、高脂肪食によりもたらされた、インスリン抵抗性に対するEPAの有効性を説明したことになります。今後、更なる研究が期待されています。
References
Eicosapentaenoic acid actions on adiposity and insulin resistance in control and high-fat-fed: role of apotosis,adiponectin and tumor necrosois factor-alpha.perez-Matute P, University of Navarra, Br J Nutr,2007 Feb ;97(2):389-98.
Omega-3Acid EPA reduces inflammation and atherosclerosis in animal and humans. COLLOIDS for LIFE.com.