医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ビタミンCパルミチン酸エステルの栄養医学について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-11-28 18:20:32 | 健康・病気

ビタミンCパルミチン酸エステルは、医学や食品学分野、その他の分野に用いられ、注目されています。この脂溶性ビタミンCは野菜油やポテトチップスなどの保存期間を長引かせるため、食品産業で利用されています。このユ二ークなビタミンC誘導体は、水溶性にも脂溶性にもなり、その分子の一方の端は水溶性で、もう一方の端は脂溶性です。この両方の性質で、ビタミンCパルミチン酸エステルは細胞膜に取り込まれます。ヒト赤血球細胞の細胞膜にそれが取りこまれますと、酸化からその細胞膜を守り、また、フリーラジカルによる酸化からαートコフェロール(ビタミンE)を守ることがわかりました。しかし、細胞膜に及ぼすビタミンCパルミチン酸エステルの保護作用は、試験管でのテストでのみ証明されました。したがって、更なる研究が必要と考えられます。また、それを経口的に摂取することは、細胞膜への強い取り込みをもたらさない、と報告されています。なぜなら、ビタミンCパルミチン酸エステルのほとんどが吸収される前に、ヒト消化管で加水分解されるようです(パルミチン酸塩とビタミンCに分解されます)。ビタミンCパルミチン酸エステルの加水分解によって遊離したビタミンCは、ビタミンCの単独摂取と同じくらい生物活性を有するようです。経口摂取では、ビタミンCパルミチン酸エステルは、栄養サプリメントのビタミンC含有量を増やし、その脂溶性抗酸化物質を守るのに役立つ可能性が有ります。コラーゲン合成を促進したり、また、抗酸化物質としてのビタミンCパルミチン酸エステルの役割は、化粧品や皮膚科での使用を喚起します。ビタミンCパルミチン酸エステルは、水溶性のビタミンCより安定性があり、ビタミンCエステル(C Ester)として販売され、エスタ―C(ester C)と混同されないように注意が必要です。

ビタミンCパルミチン酸エステルは、夏の太陽による皮膚の炎症を減らし、その紫外線のフリーラジカルによる損傷から角化細胞を守ります。紫外線は最も強い発がん性を有し、黒色腫と扁平細胞ガンの発症の元となっています。また、紫外線は、白内障をもたらすフリーラジカルによる損傷の一因となっています。

ビタミンCパルミチン酸エステルは脂肪の過酸化反応の阻害に於いて、水溶性ビタミンCより有効で、酸敗によりできる物質の産生を防ぎます。脳、心臓、中枢神経、および皮膚では、この反応がたえず行われています。したがって、ビタミンCパルミチン酸エステルのこの部位への利用が期待されています。これからも研究が行われ、新しい知見が集まることを期待しています。

References

Source naturals ascorbyl palmitate

The bioavaliability of different forms of Vitamin C: Oregon State University , Linus Pauling Institute


ガン対策とビタミンCパルミチン酸エステル、リジンについて 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-11-27 19:12:18 | 健康・病気

Rath博士らの研究によると、リジンは体のガン細胞の移動をコントロールできる強力な栄養素で、このことは、リジンが、コラーゲンを消化する酵素の能力をブロックすることに因ります。リジンとビタミンC、それに抗酸化栄養素のあるものは、コラーゲンの消化やガン細胞の侵入をストップできます。なお、リジンの阻害作用は、ビタミンC(VC)とプロリンを併用することにより強められる、とRath博士らは述べています。これらの治療法では、乳ガンでは56%,結腸ガンでは60%,黒色腫ではほとんどすべてでガン細胞の侵襲が阻害された、と報告されています。

Rath博士らの研究によると、ガン細胞と正常細胞の生長に及ぼす、天然のビタミンC誘導体であるL-アスコルビン酸パルミチン酸エステルの効果が調べられ、このビタミンC化合物は、皮膚ガン細胞と肝臓ガンを、約70~80%ほど生長阻害し、正常細胞には影響しないことが分かりました。

肺ガン患者の症例では、実際にガン患者が、ビタミンCパルミチン酸エステルの摂取により生還しました。この患者は、肺ガンで、左側の肺のX腺で陰影が認められました。10ケ月間、ガン細胞の動態を追跡した後、ガン細胞が消えました。

ところで、ガン細胞は何百万もの酵素分子(蛋白質)を産生し、分泌します、その酵素分子はハサミのようにガン細胞の周辺のコラーゲンや組織を切断します。肝臓のガン細胞は血管壁の小さい穴を切るのに、これらの酵素を利用します。そして、肺のような他の器官に移動できる血流に入ります。同じメカニズムを使って、そこに住み込み、新しいガン増殖を始めます。この転移はガンでの最も危険なステージで、ガン死の90%が転移によるものです。このコラーゲンを消化する酵素をブロックするのにリジンが有効だと、Rath博士は提案しています。

また、ビタミンCパルミチン酸エステル(商品名Cエスタ―)は、ビタミンCに比べて、VCの4倍量で30倍の皮膚腫瘍の抑制効果があると、ノースカロライナ大学の研究者は報告しています。

ガンの予防では、野菜や果物を多く摂取し、肉、脂肪分を減らし、補完的に栄養サプリメントを摂取することは、ガンに対する防衛メカニズムを強化します。ガンの増殖では、抗酸化栄養物質は健康な細胞を破壊することなく、異常なガン細胞が出す酵素(蛋白質)を消去するのに有益です。ガンの転移では、ビタミンCやビタミンCパルミチン酸エステル、リジンそれに抗酸化栄養素を併用して用いることは、ガンの侵襲を抑制するのに有効で、安全な予防・治療法である、と報告されています。なお、リジン、プロリンについては更なる研究が必要と考えられます。

References

Cancer Research Report :Dr. Rath Health Foundation

Source naturals ascorbyl palmitate

 

 

Benefits of vitamin C ester:LIVESTRONG. COM

ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法: 藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1982年

 

 


HIV、ガン対策とビタミンCパルミチン酸エステルについて 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-11-26 18:19:35 | 健康・病気

ガン対策としてのビタミンC一族のラインナップは、ビタミンC,ビタミンCナトリウム(点滴液に用いられる)、ビタミンCカルシウム,それに、ビタミンCパルミチン酸エステルの形で併用されて、米国ではガンの予防・治療に用いられています。今回は、ビタミンCに比べて血中濃度を高く、長いこと維持できる、と報告されているビタミンCパルミチン酸エステル(ascorbyl  palmitate、脂溶性)について考えていきたいと思います。

オレゴン州立大学の研究によれば、ビタミンCパルミチン酸エステルは、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル(ビタミンC誘導体)として知られているビタミンCの脂溶性タイプで、飽和脂肪酸を含みます。これは、経口的にも、局部的にも用いられ、おそらく消化管で分解されます。ビタミンCパルミチン酸エステルは、皮膚の保湿性や皮膚を滑らかにする性質があるため、化粧品や皮膚科領域でも用いられており、また、抗酸化物質としての可能性があることがわかりました。

エイズに関しては、HIV-1(エイズ)の高い突然変異率とその性的感染のリスクにより恐れられています。"エイズ研究とヒトレトロウイルス(RNAを遺伝子として持ち、DNAの情報を変えて細胞内で増殖するウイルス、HIVのウイルスでもある)の関係では、2009年12月のいろんな有効な物質の研究が特徴的です。その研究者らはSargussum fusiformeからパルミチン酸を分離し、Sarqussum fusiformeを試験しました。そして、ビタミンCパルミチン酸エステルのパルミチン酸が、実際に細胞内に入るのに重要なCD4受容体側に結び付いている事を、その研究者らは発見しました。この作用は、細胞にHIV-1が入るのを効果的にブロックし、それで感染を防ぎます。ビタミンCパルミチン酸エステルはHIV感染に対する補助的療法となる可能性が有る、と報告されていますが、更なる研究が必要と考えられます。

ガンに関しては、ビタミンCパルミチン酸エステルは、ビタミンCと同様、ガンを予防するのに有効である抗酸化能を有する可能性が考えられます。"Oncology Research 、1999年"によると、黒色腫のガン細胞に対しビタミンCパルミチン酸エステルの作用が研究され、ガン細胞の転移を急速に阻害し、30~40分後50%阻害が、60~90分後80%阻害が、それぞれ観察された、と報告されています。この阻害は、ビタミンCパルミチン酸エステルの抗酸化能によると考えられます。更なる研究を期待しています。

生体利用性に関しては、ビタミンCパルミチン酸エステルは分子の一方の端が脂溶性で、もう一方の端が水溶性です。このことは、細胞にもっと吸収されやすくなります。そして、酸化ストレスによるダメージから細胞を守る事が出来るので、細胞に対し代わる代わる有効性を発揮する、と報告されています。最後に、多くの研究がなされ、ビタミンCパルミチン酸エステル(商品名Cエスタ―)がガン予防・治療の希望の星になることを期待しています。なお、このビタミンC誘導体は安全性が高いと報告されています。

なお、商品名エスタ―C(ビタミンC+ビタミンCカルシウム+シトラスバイオフラボノイドを含有)の大量摂取の場合は、胃腸障害とか腎臓障害を起こす可能性があるので、摂取量を減らすとか、食後に多めの水とともに経口摂取するとか工夫が必要で、腎臓の悪いヒトは摂取を控えることが大切である、と研究・報告されています。なお、ビタミンCカルシウムは、その分子にカルシウムを含むので、大量投与は適さないと考えられます。カルシウムの所要量は600mg/日で、ナトリウムと違い許容量の範囲が狭いようです。ビタミンCカルシウム、3000mgあたり約522mgのカルシウムを含むので、これ以上摂取するとカルシウムの所要量を超えるので、大量摂取の場合、ビタミンCを大量摂取して、ビタミンCカルシウムは、3g以内の摂取が副作用防止のために必要と考えられます。しかし、ビタミンCはカルシウムと協働してガンの抑制に働いているので、ビタミンCカルシウムは必要と考えられます。事実、Hoffer博士もガン患者にビタミンCカルシウムを用いて効果を確認しています。これらに関しては、栄養医学・栄養サプリメントに詳しい医師・薬剤師に相談下さい。

References

Benefits of vitamin C ester:LIVESTRONG. COM

Side effects of ESTER C:LIVESTRONG . COM

ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法: 藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1982年


不眠症対策とビタミンDについて その二  栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-11-24 15:55:27 | 健康・病気

多くの人々が悩んでいる不眠症は、ビタミンDやビタミンB12、必須ミネラルのMg(バナナに含まれている)のような栄養素の欠乏によって発病し、それを食事や栄養サプリメントで補うことは、簡単であることを多くの人々は知りません。

日本人の中の何百万人の人々は、入眠もしくは睡眠の維持においてトラブルを抱えています。ある人々では、その原因は、いろんなストレス、恐怖(戦時中の日本人パイロットなど)、大量のカフェインの摂取、いろんな疾患、もしくはテレビ、ビデオゲーム、パソコン、スマホなどによりもたらされた過剰な刺激が原因となる可能性があります。また、その他の人々にとっては、その原因はビタミン、必須ミネラル、アミノ酸などの一部の欠乏である可能性があります。

不眠症は、人々のquality of lifeに強い影響を与え、短気、多動、傾眠、うつ症状、攻撃性、気分の変動、記憶障害、注意散漫、忘れやすさ、それに勉強や仕事への集中障害などの原因になる可能性が有ります。

ビタミンDは、体内で必須ミネラルが正しく吸収されたり、代謝されるカギとなっています。そして、細胞の生長機能を調整し、血糖調整機能を高め、その上、健康な組織の強化と免疫システムの調整を促進します。さらに、不眠症に加えるに、ビタミンDの欠乏は、糖尿病、ガン、心臓病、クル病、他の骨障害、骨粗鬆症、それにうつ症状などの原因の要因となっています。

不眠症の検査のために、血液検査でビタミンD値を調べることは有益です。成人は、ビタミンDが3,000~5,000国際単位/日、必要という研究がいくらか有ります。前回のこのブログに書いたように、太陽に、ある時間浴びること重要です。浴び過ぎても肌によくありません。食事のみで推奨量のビタミンDを摂取できませんが、魚、ホウレン草、ブロッコリ、果物、それに強化ミルクなどを摂取すれば、かなりのビタミンDを摂取できます。また、、1,000~2,000国際単位/日のビタミンDの栄養サプリメントを併用摂取するのも一法です。環境を穏やかにして、規則正しい生活を維持し、リラックスできる方法を取り入れてください。なお、ニ型糖尿病による隠れ腎不全でも不眠症が見られますが、これには補酵素Q10,アルファリポ酸、VB1、ニンニクなどの摂取が必要と、考えられます。

次に、カリフォルニア大学のCedric Garland博士らの研究では、成人がビタミンDを4000~8000国際単位/日、毎日摂取することは、血中ビタミンD代謝産物値を維持するのに必要で、いろんな疾患、乳がん、結腸ガン、多発性硬化症、それに一型糖尿病などのリスクを約半分まで減らすのに必要であることを、発見しました。一方、Circulation誌に載ったユタ大学の研究によると、サプリメントなどによるビタミンDの、長期の過剰摂取は、不整脈の心房細動を発症する可能性があるとの報告もあります。いずれにしても、ビタミンDは扱いが難しいので、副作用に注意することが肝要です。なお、2,000IU/日が安全摂取上限量と言われています。最後に、更なる研究が重ねられることを、期待しています。

References

Vitamin D Deficiency and Insomnia : Suite 101

 

Vitamin D and Insomnia :Mind Alive Blog, March 24,2010


不眠症対策とビタミンDについて その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-11-21 17:36:05 | 健康・病気

現代人は、いろんな原因で不眠に悩んでいます。その原因を除くことが、治療に結び付くと考えられ、トリプトファンやビタミンB群などが治療に用いられていますが、今回は、新しく、ビタミンDの効果とその用い方について考えていきたいと思います。

近年、ビタミンDがヒトの体にいかに重要で、ガンや心臓病のような命に関わる疾患をどのようにして防ぐかを、研究者らは理解し始めています。毎日、20分太陽にあたることが白人にとって必要であることを、研究は示しています。日本人は、1時間/日、太陽にあたると、ビタミンDの一日の必要量を賄えます。

太陽にあたる以外にビタミンDの摂取方法は、食品とビタミンD栄養サプリメントです。いずれにしろ、ビタミンDを十分摂取しない場合は、不眠症が、その結果起こる症状の一つになる可能性があります。

ビタミンD欠乏と不眠症の関係は、栄養サプリメントでビタミンDを十分摂取した場合(5,000国際単位/日)夜間の不眠症が起こりにくく、それが少ない場合、不眠症になる人が多いという研究から、報告されました。しかし、20,000国際単位/日の摂取では、2週間して、逆に不眠症が再発したという報告もあります。したがって、適正量を摂取することが重要です。なお、脂溶性ビタミンなので、5,000国際単位/日が安全な上限と考えられます。成人は、600国際単位/日が最少必要量です。

副鼻腔炎やインフルエンザと闘うため、娘と一緒に、8~9ケ月間以上、20,000国際単位/日ほどの大量のビタミンDを摂取し、不眠症になった男性が報告されています。ビタミンDは2,000国際単位/日程度の量では、不眠症に効果的だけれども、20,000国際単位/日の大量では、逆に不眠症になるようです。しかし、重篤な副作用がなかったことは素晴らしいことです。なお、ビタミンAやビタミンDは脂溶性なので肝臓に蓄積され、大量摂取では個人差はありますが、副作用が出ます。なお、甲状腺機能低下症の患者では、2,000国際単位/日では、不眠症に効果がないという報告があります。そのメカニズムはわかっていませんが、甲状腺が正常なヒトには、有効と考えられます。

これまでの研究が再調査され、ビタミンD欠乏が、不眠症の原因の一因であることが明確に証明されることを期待しています。そして、更なる研究を期待しています。

References

Vitamin D causing Insomnia: Sophisticated Edge

Vitamin D and Insomnia:Mind Alive Blog, March 24, 2010