ビタミンCパルミチン酸エステルは、医学や食品学分野、その他の分野に用いられ、注目されています。この脂溶性ビタミンCは野菜油やポテトチップスなどの保存期間を長引かせるため、食品産業で利用されています。このユ二ークなビタミンC誘導体は、水溶性にも脂溶性にもなり、その分子の一方の端は水溶性で、もう一方の端は脂溶性です。この両方の性質で、ビタミンCパルミチン酸エステルは細胞膜に取り込まれます。ヒト赤血球細胞の細胞膜にそれが取りこまれますと、酸化からその細胞膜を守り、また、フリーラジカルによる酸化からαートコフェロール(ビタミンE)を守ることがわかりました。しかし、細胞膜に及ぼすビタミンCパルミチン酸エステルの保護作用は、試験管でのテストでのみ証明されました。したがって、更なる研究が必要と考えられます。また、それを経口的に摂取することは、細胞膜への強い取り込みをもたらさない、と報告されています。なぜなら、ビタミンCパルミチン酸エステルのほとんどが吸収される前に、ヒト消化管で加水分解されるようです(パルミチン酸塩とビタミンCに分解されます)。ビタミンCパルミチン酸エステルの加水分解によって遊離したビタミンCは、ビタミンCの単独摂取と同じくらい生物活性を有するようです。経口摂取では、ビタミンCパルミチン酸エステルは、栄養サプリメントのビタミンC含有量を増やし、その脂溶性抗酸化物質を守るのに役立つ可能性が有ります。コラーゲン合成を促進したり、また、抗酸化物質としてのビタミンCパルミチン酸エステルの役割は、化粧品や皮膚科での使用を喚起します。ビタミンCパルミチン酸エステルは、水溶性のビタミンCより安定性があり、ビタミンCエステル(C Ester)として販売され、エスタ―C(ester C)と混同されないように注意が必要です。
ビタミンCパルミチン酸エステルは、夏の太陽による皮膚の炎症を減らし、その紫外線のフリーラジカルによる損傷から角化細胞を守ります。紫外線は最も強い発がん性を有し、黒色腫と扁平細胞ガンの発症の元となっています。また、紫外線は、白内障をもたらすフリーラジカルによる損傷の一因となっています。
ビタミンCパルミチン酸エステルは脂肪の過酸化反応の阻害に於いて、水溶性ビタミンCより有効で、酸敗によりできる物質の産生を防ぎます。脳、心臓、中枢神経、および皮膚では、この反応がたえず行われています。したがって、ビタミンCパルミチン酸エステルのこの部位への利用が期待されています。これからも研究が行われ、新しい知見が集まることを期待しています。
References
Source naturals ascorbyl palmitate
The bioavaliability of different forms of Vitamin C: Oregon State University , Linus Pauling Institute