NPO法人 雲を耕す会
多大なご支援をいただき、感謝申し上げます。雲を耕す会は天竜美林の再生を目指し、間伐を進めています。森林資源として見直されるまで、息の長い活動を展開していきたいと思っています。
1 天竜美林の再生
戦後さかんに植林された杉、檜が50年を経て、国産材の衰退とともに、見向きもされなくなりました。天竜川水域の林業も、かつての活況は影をひそめてします。 最近、国産材と騒がれるようになりましたが、間伐されてこなかった山では林業も成り立たず、伐る人がいないので山に木はあっても丸太は出てきません。一見、国産材復活に見えて、山の状況は悪循環のままです。
山が荒廃したままでは、自然災害の発生の恐れもあります。水源の確保も心配です。この危機的状況を救うべく、森林整備に取り掛かりました。
3年ほど前から、10haの林業地の間伐を始め、平成22年からは、新たに15ヘクタールの間伐を行っています。地域の関心も高まり、雲を耕す会への期待も大きくなってきました。
現在間伐を進める中山の森
2 J-VERの取得
幅広く間伐を続けているということで、環境省主導の「J-VER=ジェー・バー」の取得の見通しが立ちました。「J-VER」というのは、間伐した区域の5年間の二酸化炭素吸収量を公式に証明してもらい、その数量を「カーボン・クレジット」という形で“流通”させることがねらいです。
具体的には、地元の企業などに間伐を支援してもらえる可能性が出て来ました。企業としても、「クレジット」という形で証明された二酸化炭素吸収量があれば、支援がしやすくなります。温暖化対策として二酸化炭素の排出削減が叫ばれる昨今、社会貢献を目指す企業にとって、「J-VER」に熱い視線が向けられています。
かつての天竜美林地域は、低炭素社会に向けて、大きく前進しようとしています。
CO2吸収量のモニタリング風景
3 里山づくり
引佐町渋川の鬱蒼とした山を皆伐し、ドングリの森にしようとしています。23年春には地元の子どもたちも参加して、コナラの植林をする予定です。 またニホンミツバチの繁殖、シイタケの栽培も手掛けています。冬の間、巣箱を作りをして、春の営巣に備えています。
生物の多様性は森の活性化とセットです。
もともと遠州地方は、照葉樹林に覆われ、そこに人々の生活が加わり、多様な生き物と共生する里山の風景が広がっていました。宮崎駿の「トトロの森」を思い出させます。
植林を前に皆伐・整備中の渋川の森
100年前どこにも見られた里山を、100年後の子どもたちに手渡していきたいと思っています。国際森林年を迎えた本年、さらに活発な取り組みが展開されるでしょう。
4 地産地消
浜松の森林面積は10万ha、こんなに森林資源に恵まれているのに、誰も手をつけようとしていません。地元の木を伐って、昔ながらのやり方で家を建てる、山を活性化させるには、これにつきます。10万haのうちの30ha、わたしたちの取り組みは微々たるものですが、初めの一歩がなければ、二歩目はありません。
かたつぶりそろそろ登れ富士の山 一茶
樹は大地に根を張り、空に向かって枝を広げる。樹は天と地をつないでいると実感します。雲を耕すことは自然の循環に則る人々の営為です。
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