財団法人 C.W.ニコル・アファンの森財団
このたびは“緑のgoo”を通じて、(財)C.W.ニコル・アファンの森財団にご寄付を頂きまして、ありがとうございました。
皆様からのご支援は、主に「自然環境調査」と「森林整備」の資金の一部として、大事に使用させていただきました。
アファンの森財団は、人が積極的に手を入れることで「豊かな森」を蘇らせ、そんな豊かな森の強みを活かした活動や、可能性を探る取組みを実施しています。
具体的には、以下の大きく3つの事業を行っています。
「森の再生」 ⇒ 森林整備 ・ トラスト(面積の拡大) ・ 自然環境調査
「心の再生」 ⇒ 人の心を育む環境教育
「普及交流」 ⇒ 人材育成 ・ 国際交流 ・ 普及
今回いただきましたご支援は、「森に手を入れる(森林整備)」と「人が手をいれている森に暮らす生き物を調べる(自然環境調査)」のふたつの活動資金の一部として活用させていただきました。11月から5月までの主な活動(作業)内容をご報告いたします。
森林整備
現在のアファンの森は、「北エリア」(これまで整備を進めてきたエリア)と、「南エリア」(未整備の自然環境調査を実施しているエリア)の大きく2つのエリアに分かれています。
森林整備活動は、これまで整備を行なってきた「北エリア」での植樹から伐採までの造林施業が中心となりました。「南エリア」では、整備前の基礎情報収集を優先し環境調査を行なって来たため、ヤブ刈りを始めたところです。
森林整備 > 枝打ち
良質材生産を目的とした枝打ち作業
無節の良質材生産を主目的として北エリアのアファンの森が国有林だった頃に植栽されたスギ林、及び1991年に植栽したヒノキの枝打ち作業を行ないました。今後は必要に応じて間伐を行い立木の健全な成長を促進し、大径材へと仕立てていきます。
(写真:枝打ちの様子)
森林整備 > 植栽
前年度伐採地への植栽
整理伐を行なった場所への植栽を行いました。前年度に主に形質不良木の伐採を行なった「オニグルミ・ミズキ・ハルニレ・コブシ林」に約200本のブナやコナラの苗木を植栽しました。
ブナやコナラは長寿命で保水能力が高く、間伐材はキノコのほだ木等に利用でき、果実は動物の食料になります。ブナは雪にも強くアファンの森の潜在自然植生はブナであったといわれていることも等を考慮しました。また、土壌条件等も適していると判断し選択しました。
(写真:植栽の様子)
森林整備 > ウッドチップ敷き
材の有効活用と土壌の保護
前年度に伐採した材を破砕機により細かく砕き、人の多く入る散策路を中心に敷きました。
現在アファンの森で行われている伐採は、主に形質不良木を対象に行なわれているために、材として活用できるものは限られています。これをウッドチップに加工し、散策路に敷くことにより、人の踏圧からの保護や土壌乾燥防止、そしていずれは森の栄養になるなどの利点があります。
チップ敷きは主に人力で行なうため、作業には多くのボランティアの皆様にご協力いただきました。
(写真:ウッドチップ敷きの様子)
自然環境調査
「管理されている環境」(北エリア)と「管理されていない環境」(南エリア)の違いを生き物の視点から示す「比較対照エリア」として「南エリア」を位置付け、調査を実施しました。
自然環境調査 > 鳥類調査
両エリアで毎月一回、早朝の鳥が活発に活動している時間に、決められたルートをゆっくり歩いて確認された鳥の種類と数を記録する調査を続けてきました。その結果と考察をご紹介します。
北エリアで59種、南エリアで52種(両エリアで68種)の鳥類を確認
2009年は北エリアで52種、南エリアで51種、両エリアで65種でした。この2年間の調査から、南北エリアで確認した鳥類種数に大きな差は見られませんでした。また、この2年間での南北両エリアの合計確認種数は73種となりました。
北エリアで多くの冬鳥を確認
北エリアでは越冬のためにやってくるカシラダカ、マヒワが多く確認されています。 これは、カシラダカのエサとなる草本類の種子が多いこと、また、水辺(弥生池など)周辺にマヒワの好むハンノキの実があることから、北エリアが重要な食料源となっていることが考えられます。
北エリアは「明るい環境」に、南エリアは「暗い環境」になっている
北エリアには「開けた環境を好む鳥類」が生息・繁殖しており、南エリアには「森林環境を好む鳥類」が生息・繁殖しています。北エリアは森の整備が進んで明るく開けた環境になっており、整備を行っていない南エリアは暗い環境になっていることが鳥の様子からもわかります。
アファンの森はまだ30ヘクタールと小さな森ですが、人の手で整備を続けながら豊かな森の可能性を見ながら地道に活動してまいります。
今後も関心を寄せていただければ幸いです。この度のご支援、ありがとうございました。
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