日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 6月19日】

2006-09-07 03:46:27 | Weblog
 
《安部川》

番号 河川名 全長(km)
備 考
47 安部川 51 うっかり見逃してしまった

 次の「富士川」へと出発する。ここでうっかりして、富士川へ富士川へと思っていたので、うっかりして、安倍川を完全に忘れてしまっていた。通り過ぎてしまっていたのだ、実は帰って整理していて気がついたのだ。残念無念!でも仕方がない。遠く離れているけど、いつかチャンスがあれば、その時チャレンジしよう。

《富士川》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度 備考
46 富士川 128(内約4) 新内房橋の上  富原橋 超難 釜口の瀬はカヌーは無理

 ここ富士川も下流は同じで、水が少ない。上流へ向かうと、道の駅「富士川の楽座」があり、情報が得られる筈と休憩。日本三大急流と呼ばれた暴れ富士川の被害状況や復旧作業などをパネルや写真や映像情報などで見せてくれる。受付嬢に現在のことを教えていただこうと話しかける。
 『川原へ降りれる所は500メートルほど上流に一箇所と、あとあまり無いですね~。上流でラフティングやっていますよ。あれは、瀬戸島から下ってきて、この蓬莱橋の所で上げているから、』と地図の蓬莱橋のところを指差し、『外にはあまり、車が降りれる所は無いですよ!』という事なので、先ずは500mほど上ってみると、ここはOK!何とかいける。が、すぐ上流に大きな堰、こいつは駄目だ!で、蓬莱橋の袂(たもと)のお店で尋ねると、『この下であげてるよ、』と、ばあちゃんに教えていただいて、行ってみると、何とかクリアできそう。良~し、ここへ自転車を置いといてと。

 次は、瀬戸島へ5,4kmの距離、一寸短いけどと、着いた所で丁度、新内房橋があり、そこから見ると、すぐ上流に低い岩盤の瀬、落差7~80センチ程の瀬、左岸側なら大丈夫通れる。橋の下流側に大きな岩の間を轟々と流れ、下の岩にぶっつかって、大波を巻き起こしている、4級の瀬程もありそうだ。橋の上からだから、十分には、見ることは出来ないので、ラフティングしているのを実際に見てみたいものと、待っていると上で準備している。しめしめと、待つことしばし、乗員に色々説明しているようで中々下って来ない。幸いにも、他に黄色のゴムボートが2隻出てきた。よし、こちらから行ってみようと出発地へ行くと、道を間違えて、通り過ぎてしまい、細い道なのでUターンが難しく、大幅な時間のロスをしてしまって、行って見ると、黄色は出てしまっていた。でも、下ろせる場所も確認できたので、また「新内房橋」へ戻ると黄色のボートは下流側の「釜口」をクリアし、下のトロ場に降りてゆったりしている様が見て取れた。まだ、赤いのは降りてこないので、ずっと待ってて、橋の上から見ていたら、一台の車が橋上で、点滅を付けて、駐車し、こちらへ向かって来られた。その方との出会いが非常にありがたい物となったのだが、彼はこのラフティングの会社の理事で、「広域防災水難救助捜索支援機構」にも属されている三尾祐一さんだった。

 橋の上で色々お話をお聴きし、見える瀬、見えない瀬の話など等、そうこうすると赤いボートがスタートし、見ていると、上側の瀬「前釜」は楽に通ってきたが、下の瀬「釜口」では、突っ込んで跳ね上げられ、もんどりうつと言う感じで、ラフティングの最高のシーンを見せてもらった。これはカナディアンでは絶対無理だ。200%無理!では、右横の岩の間をポーテージすればここはクリアーできるな、と判断。
 三尾さん、『会社はまっすぐ行ってトンネル超えたら、すぐ左側に「ナチュラルアクションアウトドアーツアーズ」って会社がありますから、ぜひ寄ってください。マネジャーの佐野信弥と言うのが居ますから、電話しておきます。』と、お言葉を頂き、『実は、私も会社を探していたんです。』と、言うことで意見が一致。『じゃあ、案内します。付いて来てください。』と、会社を訪れる。

 会社で、強烈な瀬「釜口」のラフティングシーンや下流の柱状節理から飛び込んで遊んでいるビデオ等を見せていただき、再度、瀬の話をお聞きし、「折角来てるんだから、何とか行きたい気分とどんなところか見てみたい気分」とで、挑戦することを心に決めた。出発準備をする間にご飯を炊き、昼を済ませて、出た!
 最初の小さな瀬はいつもの可愛い瀬、次の岩盤の瀬「前釜」へ突っ込む時になったら、先ほど橋の上から見ておいた、左岸寄りを通ると言うことをすっかり忘れてしまい、右岸側へ突っ込んだ。強烈な流れに負けて、カヌーが洗岩にちょぼっと引っかかり、横向きになり、ヤバイ!と、思った瞬間、次の岩に当たり、ミシッ!と、音がした、即、その岩に飛び降りて、カヌーをつかみ、何とか流さずに済んだが、中は水がどっさり、重いカヌーを何とか持ち上げ水を出す、ふと気が付くと、あか汲みが流れて行っている。しまった、いつもちゃんとくくっているのに、今日は何としたことか、と、思いつつも、中の水を出さねばならぬ、40センチ四方ほどの岩の上で、水舟を持ち上げ、バウ(船首)の2cmφ程度の穴から、水を出す。最後までは中々出ない、一寸手をゆるめると、またドバーと入ってきて、元の木阿弥。こいつは困ったぞ。でも何とか水を出さねばと体を弓なりにそらして、水を出す。ようやく、ほとんど出たので、少し軽くなり、でもいつまでもここに居るわけにも行かず、帰るに帰られないし、両側は流れがきついので、横へ逃げていくことも出来ない。

 兎に角、行くしかない。心に決めて、エイヤ!で行こう。と思い、水へ降ろすとザザーと水が入り込む。また、初めからやり直しだ。こいつは大変だ。困ったぞ!水が入り込まない内に飛び乗り、パドルを持ち、コースを決める?そんなの絶対に無理だ!じゃが、例え無理でもやらねばならない。それしか方法は無い!
 下の岩まで6mほどしか無いのだから…。では、コースは?よ~し、カヌーを押して狙おう。あの岩をクリアできればたちまちは何とかなる。行け!と、岩の横目掛けて、カヌーを押すと同時に乗り込み、パドルをつかんで、が、間に合わない、岩の横をすり抜け、一段下へズボ~ンと落ち込んだが、深さがあり、無事通り抜けた。ここでも川の流れに、助けられたと言う感じだ。やっれ、やれ!ヤバかったな~!やはり橋の上の高いところから見た、下見はいけないな!と。以前、木曽川でやはり高い位置の道路からの下見で失敗し、穴を開けた経験があるのに…。
釜口も橋上から見るとおとなしそうだが 
 ここで、4級の瀬、釜口の手前のトロ場で、右岸へ着け、  「釜口」をポーテージ、大分苦労したけど、何とかクリアー。下側のトロ場に降りはしたけど、そこからか間口の水の落ち込みの横へ入り込まねばならない。釜口を下側から見ると波の高さがこれまた、橋上から見たのとでは、雲泥の差、ヤバイな~!誠にヤバイで~!でも、進まない訳にはいかない。

 最初、突っ込むが、波力に押し戻され、しばらく考えて、一番後ろまで下がって、勢いを付けて、突っ込もうとチャレンジ。行け!と、まるで滝つぼみたいな波の落ち込みへ突っ込んだ。流れに押され、漕ぎ、波を後ろにした瞬間、追い波がどどっとスターン(船尾)を襲い、水が流れ込んだ、必死で漕ぐ、二度目の波がまたドバーと入り込んだ、ひざから下は浸かっている、必死で逃げ、前の岩を避けようと、横向きになると三度目の波がドバーと飛び込んで来た。ヤバイ!と、思ったけど、まだ、何とか浮かんでいる、必死で、バランスを取りながら、追い波から逃げ出し、何とかトロ場へ、次は浅瀬へと漕ぐ、水で重いから進まない。水の浸入があるのか、止まってるのかも分からない、兎に角、岸へ、岸へ。
 着いた、飛び降り、やれやれだ!一息ついて、横向きにし、大まかに水を出し、次いで、一方を高く持ち上げて、全部排水した。『ふー、それにしても、チョー厳しかったな~!』

 一息ついて、よ~し、次へ行くぞ~と、船出。しばらくトロ場で、向かい風が出てきた。きつい!カヌーは風が苦手、特に向かい風が最も苦手なのだ。
 しばらく漕いでいると、瀬の音がするので、立ち上がって、見るとおだやかな瀬「グレイス」(実はここの名前は付いていないと後で分かったので、社長婦人の優しさにちなんで、私が勝手に「グレイス」と命名)、陸上のKマートに向って下っていくと道路に沿って、右カーブして、ずーっと下っている。気持ちよい瀬だ。400mくらい楽ちん、楽ちん!下りきるとトロ場、そこを進むと、またも大きな水音が聞こえてきた。

 結構しぶきも見えている。立ち上がると大きな波が見える。このまま突っ込むわけには行かない。右岸へ寄せて、下見に行く。側まで行くと、岩は余り出ていない。波は高いけど、波長が難しくはなさそうだ。よ~し、これなら行ける。
デビの流れ
 この「デビ」への入り口は手前の岩を右に見、左の洗岩との間を通過し、後はまっすぐ進めば大丈夫!と、読んだ。釣り師は左岸だし、これも大丈夫!少し遠くから狙った方が正確だからと少し上流まで漕ぎ上り、岩の間目掛けてアタック!
 よしゃー、岩をクリアー!このまままっすぐ行くぞ!行け、行け、行け!コースを調整しながら、最高に良い流れ、びゅンびゅン行く。釣り師も驚いている様子だ。150mを一気に、ざ-っと下りきった。グー!余りに気持良い瀬だったので、パドルを頭上に上げて、喜びを表した。誰も見ていないけど…。

 川底を見ると水はどんどん流れている、早い!この先にはきっと大きな瀬があるに違いない。
 また大きな瀬の音が聞こえてきた。今度はどんな瀬かな~?左岸に着けて、見に行く、今度は岩もあちこちに出ているし、流れは勿論十分にあり過ぎるほど、波も高い、これを行くとすれば、右岸側から入り、途中で、左岸へ寄り、少し下って、また右岸へならば、通れる。が、流れが速いし、波が高いので、左右への移動がこのカナディアンでは恐らく無理だ。残念だが、ここ「ポッキー」はポーテージだ。 左岸が緩やかなところがあるので、ロープでコントロールしながら、下ろすことはできる。OK、それだ!そうしよう。
ポッキーの瀬
 ポッキーを下りると、しばらく、おだやかなトロ場を進む。「富原橋」の下では釣り人がいる。鮎、釣れているのかなぁ?
 流れに乗って、少し下ると、またもや大きな水音が聞こえる。これが!これが!「ドラゴン、だな!」 と思い、左岸に付けて、下見に行く。
これがドラゴンだ~!
何とこれはすごい、部分的な落差はなさそうだけど、また傾斜は比較的素直に下っているのだけど、波がすごい、離れて見ているけど、波高は1m位ありそうだ、その両サイドは大きな石がごろごろと顔を出している。これはヤバイ、絶対無理だ。途中でもし沈でもしようものなら、下まで流されたときには艇はばらばら、体は粉々になりそうだ。200%駄目だ。では、ポーテージはと言うと、両岸とも大きな石がごろごろ、こんな所、カヌー担いで歩くのは大変だ、距離もある。これは駄目だ、止めた方が良い。また、何とか下りきったとしても、次にどんな瀬があるか分からない。ここなら、先程の橋のところへ釣り師がいたのだから、細くても上がれる道はある筈だ。

 時間は1630。これ以上行けない。行くべきでない。では、帰れるか?さてさて、思案のしどころ。と、言っても引き返すしかない。右岸にも釣り師がいるから、右岸から道へは出れる。が、もし川の流れに負けたら、このドラゴンに食われてしまう。もし、食われたら、一巻のおしまいだ。流れに絶対に負けられない。比較的流れの少ない岸寄りを利用し左岸を少しのぼり、それから、右岸目掛けて、頑張ればやれるだろう。よし、行ってみよう!
 左岸寄りを暫く上り、右岸へ向う、中央の流れの強いところを必死で漕ぐ、漕ぐ、漕ぐ、横断成功。思ったほど強烈な流れではなかったので助かった。右岸に着いてみると、大きな石がごろごろだから、キャリアーは使えない。では、担いで行くか?それにも距離もあるし、歩きにくい、これは大変だ。右岸の水際は小石だから、歩きやすい、カヌ-を浮かべ、ロープで引っ張り、小石の浜いっぱいまで歩いて登り、今度はまた、左岸への横断だ、できれば「富原橋」の橋脚の上流側まで行くようにしよう。と、岸を蹴った。ここは少し狭くなっているので、流れも速い。必死で漕ぐ、漕ぐ、漕ぐ、流されながらも、橋脚をくぐり、何とか橋の上流へ到着。良かった横断成功!橋の下は、石もそれほど大きくは無い、距離もそれほどでない、担いで歩くにも大分楽だ。

 一応カヌーを途中まで上げておいて、道路へ上れる道を探す。最初の所は上がれなかった。ねらった二度目のところが正解で、狭い道だけど、担いで登れないことは無い。急なところを過ぎると少し広いところへ出るので、そこからはキャリアーを使おう。足場の悪い70mほど、担いで行き、一休み、その間、軽い物を100m余りを運び、息を整えて、後40mをカヌーを担いで急坂を登る。やれやれ、キャリアーが使えるところまで来れた。後は上の道まで押したり、引っ張ったりしてあげれた。道路の広くなった道端の所へ全てを置いておき、自転車か、車を取りに歩かねばならない。どちらが近いかな?キット「蓬莱橋」が大分近いだろう。

 雨も降っている、びしょ濡れで、破れジーパン、傘もささないで歩いているのだから、車の人たちは怪訝な目で見ているのがこちらにも充分に解る。2km余歩いて、自転車のところにたどり着く。またも雨中をペダルを踏んで、今度は車の所へ。
 と、言ったことで、暴れ富士川の川下りは強烈な印象と川のすごさと快適さを、また、中断する勇気をも勉強することが出来、強い流れにも負けずに漕げる己の力にも自信をつけることも出来た等など非常に楽しい、すばらしい体験であった。でも、ラフティングの場所はやはりラフティングでないと、駄目だ。オープンカヌーには絶対にだめだ。まあ、よくぞ無事だった。

 何はともあれ、富士川のここはすごい。ラフティイングには絶対に楽しい場所だ。あなたもチャンスを作って、ぜひ、挑戦して見てはいかが?すばらしいですよ~!
大変お世話になった方々
 会社の駐車場を泊地にお借りしたいと、お願いしたところ、開いてる部屋があるので、お使いください。と、更衣室を開放、布団まで用意してくださり、シャワーもトイレもどうぞ、と、言うことになり、電源もお借りできることになり、大助かり。
 お言葉に甘えて、遠慮なく使わせていただくことにし、久しぶりに平らで柔かい布団で寝させていただいた。

《㈱ナチュラルアクションさんへ泊》

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