寓風記聞

令和世間話 自然災害 ミサイル 【記事不許複製】

無視される1998年8月日本上空を通過したテポドン1号―『東北の方で良かった』?

2017-05-06 09:49:51 | 北朝鮮問題
今日の朝のNHKニュースは、北朝鮮が今年3月に発射したミサイルの着弾点が、これまでで最もわが国の領土に近かった、という内容であった。

着弾点としてはそうなのかも知れないが、1998年8月に発射されたテポドン1号は一段目を秋田沖で切り離し、東北地方の上空を飛翔し、太平洋、三陸沖に着弾したのだから、着弾点の断定に至っていないという情報は別として、日本のマスコミがなぜこの事実を全く報道しなくなったのか不思議だ。

秋田県大館市、岩手県葛巻町、普代村の上空を飛んだ、というニュースに戦慄したものだったが、当時の小渕政権は北朝鮮に対して抗議の声を一切あげなかった。大気圏外だったから? 否、対応が緩慢で抗議するタイミングを失したのではないのか。

この時、『われわれ東北地方の住民は日本国民ではないのか』と静かな憤りを覚えたものだ。

先日の、山本復興大臣の『東北の方でよかった』という発言は、『人口密集地では被害はさらに甚大なものとなる』と発言すればよかったものを、と思う。その国語力の無さ、判断力のなさは失笑すら招いている。

しかしながら、端無くも日常の思いが口をついて出たわけで、この発言の背後にある、東北地方を僻遠の地と見下す山本大臣の心が透けて見えるのである。

19年前にすでに北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したことを知らずに北朝鮮の技術力を見下す態度と、東北地方を見下す態度に共通するものを感じる。
良くも悪くも、今の北朝鮮にはエネルギーを感じる。一方、わが国はといえば、動けば鈍、慢心の割には皮肉や批判ばかり多い印象を受ける。

現在の北朝鮮は、70数年前に国際社会から追い詰められた日本の姿そのもの。
松岡洋右全権代表が国際連盟総会場を退場する映像を最近はテレビで見ることも少なくなった。

因みに、わが国が国際連盟に加入したのは原敬首相時代であり、事務次長は新渡戸稲造であった。ともに東北は岩手の出身であった。



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