功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『はいすくーる仁義』

2012-12-02 20:57:03 | 日本映画とVシネマ
「はいすくーる仁義」
製作:1991年

●昔から香港では、功夫と笑いをミックスしたコメディ・アクションが盛んに作られてきました。コメディ功夫片というジャンルを確立した『酔拳』、オールスター喜劇の『五福星』、そして全世界を笑いの渦に巻き込んだ『少林サッカー』などなど…多くの傑作・話題作が存在します。
ところが、日本では香港のように格闘技をメインにしたコメディ映画というものはあまり作られていません。たいていの格闘映画はシリアスで真面目なものが多く、笑いは二の次三の次。アクション映画自体が下火となっている現在、この手の作品は絶滅の危機に瀕しているのです。
とはいえ、格闘コメディ・アクションは(散発的ではありますが)昔から脈々と作られ続けています。本作はそんな数少ないものの1つで、週刊ヤングジャンプで連載された同名漫画を筧利夫主演で実写化した作品です。

 武闘派ヤクザである筧は、学園ドラマに感化された暴力団組長・三木のり平に「日本一の教師になれ!」という無茶苦茶な命令を押し付けられてしまう。かくして都内の学校に赴任した彼は、同僚の白島靖代に惚れたり、ライバルの団優太と張り合ったりしていくが…。
…という感じの話なんですが、本作は学園ドラマや任侠ものではなく、全編に渡ってギャグが繰り広げられるナンセンス・コメディ的な作品に仕上がっていました。さすがに一昔前の映画だけあって、劇中のキャラクターやギャグ描写は時代を感じさせるものがあり、正直言って今見るとかなり辛いものがあります(爆

 ですが、劇中における格闘シーンはそこそこ見応えのあるアクションになっています。筧の動きは悪くないし(彼は実際に少林寺拳法の有段者)、終盤のVS我王銀次では、短いながらも体を張った格闘戦が行われていました。製作協力に倉田プロ、技斗が同プロに所属していた多賀谷渉なので、この出来には納得です。
ただ残念なのは、アクションの比重がギャグに傾きすぎている点です。特に顕著なのが後半のVS雇われヤクザ戦で、普通に撮っていれば迫力がありそうな場面なのに、なぜかクラシック音楽を流して映像をスロー処理するという前衛的な演出で台無しになっていました(しかもこのシーンがやたら長い)。
このほかにも中盤のVS団優太など、笑いに走りすぎたために迫力が相殺されたシーンが多数存在します。せめて『ビーバップ・ハイスクール』シリーズのように、ギャグ描写を体当たりのスタントで演じたりしていれば違った結果になったかもしれませんが…。

 製作時期を考えても厳しい内容だと言わざるを得ない作品ですが、日本における格闘コメディ・アクションの系譜を受け継ぐ存在であるのも事実。とても若々しい筧や、女子生徒に扮しているデビュー間もない宍戸留美(!)などの見どころもあるので、本作で当時の雰囲気を懐かしむのも一興かもしれませんね。
ちなみに本作は続編が2本・外伝が1本存在するのですが、こちらも技斗を多賀谷氏が引き続き担当しているようなので、いずれ視聴してみたいと思います。個人的にはギャグ無しっぽい外伝に注目…かな?

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