人間は論理と意味だけ食って生きてるんじゃない、芝居のあらすじは知っとけ、でもそればっかり気にすんな、「なんかわからんけどすごい」と思うところをつかまえろ、という趣旨のことをお伝えしたい気持ちはやまやまで、
でもそういう「コトバはいったん棚上げ」式のあいまいな経験というか時間をどうしても受け付けないタイプの方も多く、ここで黙り込んでないできちんと説明しなくてはいけないのだ、と焦りつつもどうしても適切な言葉が見つからない、というもどかしさを常に。
「稽古場でいい雰囲気さえ作れたらプロデューサーの仕事は終わったようなもんだ」。仕事は自己主張だと早合点していた青二才の私には衝撃的な至言だったな。ま、相手がプロの芸人さんだからいえることで、会議室や教室ではこうはいかないが。
「おんなじ舞台に出てもらうんならちょっとでも気持ちよく出てほしいじゃん。俺らが代わりに出る訳にいかないんだからさ」ってのも印象的だったな。裏方は自分の唄を唄おうとするな、という戒めだったか。
で身に付いてしまった「この室内はいまどういう雰囲気で、これをどういう雰囲気にもっていくべきか」とつい横目でうかがっているうちに自己主張のチャンスを無駄にしてしまう習性を邪魔に感じることがなくもない
四谷怪談、小道具・仕掛けの進化がすばらすぃ。権助が剥ぐ面の皮、小平の蛇になる指など、いままではなんかごにょごにょごまかしてる感じだったのがハッキリ。お岩の顔、戸板返し、提灯抜けも鮮やか。藤浪小道具、大でき大出来。
戸板返しのお岩のせりふ、女方の出ないだんまり、変テコとはいえ夢の場など、処々で原作を意識している様子なのも賛成。流れ灌頂に雪降りの幕切れは望蜀ですか。
脇も軒並み良かったです(小山三さんは見られて嬉しいがさすがにお疲れのご様子)。しかしこれ、学生諸君にぜひ見てほしかったなあ。残念。
明日26日金「にっぽんの芸能」再放送・女流義太夫 12時からEテレです。地方によっては高校野球のところもあるそうです。tsuruzawakanya.com/schedule#sched…