Takの秘密の木

誰にもいえない気持ちは、誰もしらない秘密の木の洞に、こっそり語って蓋をするんだって。@2046

るろうに剣心 伝説の最期編

2014-09-25 | ドラマ・映画・舞台の感想
「イヴ・サンローラン」を先に観たけど感想がなかなかまとまんないのでまずはこっちを。
ネタバレ含まれますので、ご留意願います。

前作、前々作の感想は以下に。
るろうに剣心
るろうに剣心 京都大火編

「死んでもいいや」と思ってる人間より、「生きるのは俺だ」と思ってる人間の方が強い。

これって、原作に描かれていることなのかな?
それとも大友監督の考え?
"死を怖れないから無双になれる"わけではなく、勝ち負けも関係なく"これからも生きるのは自分だ"と思う方が、最後の最後の瞬間でも、こちら側(現世)に踏みとどまることができる、というか。・・・結果として、勝負に勝てる。
シンプルなんだけど、そういう執着って意外と持てないもので、自分を大切にするのは結構難しい。
特に剣心はあまりにも他生を踏み潰してきた罪の意識があるから、いつ自分の生が尽きても当然、その時がいつ来てもいいと思っている節がある。
我が身を省みないで無茶苦茶やれるから、普通の人間には歯が立たないほど強かった。
だけど、そういう視点でいる限りは、結局、自分の方が不幸だ、自分の方が捨て身だ、自分の方が罪業を負っているというラインで競い合うことになって、いずれにしろ終着点はデッドエンドしかない。
(変な話、これってへんたい仮面でヘンタイ度で強さを競ってたのと同じ論理だよね?・笑)
一歩離れてみると、不幸な程強い、罪業を背負ってる程勝てるなんていうのはおかしな論理で。・・・
勝敗すら忘れて、Last Man Standing、最後にそこに立っているのは己だと思い描く方が、実際のところは今生に留まれるのかもしれない。
それは生への執着、というものでもなくて、生きるべき正統性への確信とでもいうのかな。・・・

「るろうに剣心」という作品を通じて、大友監督が本当に描きたかったことはそれなのかなー・・・と。
たぶん、大河の龍馬伝では描ききれずに心残りだったところなんじゃないかな?
「侍たちに敬礼!」も、幕末の志士たちのその後の生き様、江戸が終わり時代が変わる中での侍たちの魂の行方を、描きたかったのかもしれないですね。

最後にNHK出身らしい大友監督の実のあるところが充分に出たところで・・・全体としては、剣劇エンターテイメントを極めてて、質の高い娯楽作品に仕上がっているのではないでしょうか。
役者さんたちもとても美しく映っているし、佐藤健さんにとっては間違いなくはまり役の代表作となったでしょうね。
江口さんがげっそり痩せてるのは、役作りで意識的にそうしたのかな?1作目ではそうでもなかったけど、この2、3作目は原作の絵に似たシャープな雰囲気が醸し出されてて素敵でした。
小澤さんの伊藤博文も、老獪な曲者で従来の博文のイメージとは違う解釈でとてもおもしろかったし、伊勢谷さん、福山さんの殺陣もすばらしかった。
藤原さんのドラマチックな舞台演技、神木さんのリアルな演技は、あの役柄にぴったりでしょう。

前作「京都大火編」は興収50億を超えたとか?
大ヒットしているのにはちゃんと理由があります。
日本の時代劇の新しい1ページは、映画館で観てみて損はないと思います。

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