Takの秘密の木

誰にもいえない気持ちは、誰もしらない秘密の木の洞に、こっそり語って蓋をするんだって。@2046

観た映画観る映画

2016-03-21 | ドラマ・映画・舞台の感想
観た映画のざっくり感想。

■オデッセイ
SF、特に近未来モノって世代感が顕著に出ちゃう傾向があるから大丈夫かな・・・と、観る前は少し心配していました。
「ブレードランナー」という作品で革新的なサイバーパンク近未来像を描き出し、SF表現の新世紀を切り開いた立役者であるリドリー・スコット監督ですが、いかんせんもうお歳だし・・・と。
歳の行った監督で、最先端のテクノロジーの潮流やIT系に疎い人だと、途端に作品にリアリティがなくなって全体が陳腐になることってわりとある。監督自身が若かった頃のハイテクやSFのイメージを引き摺りそのまま流用してしまって、現代のストーリーに映像表現がそぐわず説得力がなくなる。すべてを噴飯ものにしてしまうパターン。
最近だと「ブラックハット」のマイケル・マン監督とか「アイアンマン3」のシェーン・ブラック監督も微妙にそんな空気が漂ってた。
だったらハイテクとか近未来的世界には手を出さなければいいのに・・・と思ってしまう。
逆に言えば、ジョン・ファヴロー監督はたぶん最先端ガジェットとかが大好きで、常に新しいものをチェックしてる人なんだろうなー・・・と思う。
SFで一世を風靡しただけに、リドリー監督も過去の栄光を引きずっちゃうかもな・・・と勝手に思っていました。
しかし、リドリー監督は、回顧主義でも過去の栄光に縋るタイプでもありませんでした。
彼のセンスは常にアップデートされていて、感性に衰えを覚えさせない、ある意味相変わらず怖ろしいぐらいの美意識の塊だった。
美しい映像としっかり裏付けを感じさせるリアリティ、古臭さは微塵もなく、しかし作り物作り事ではない人間臭さを賛歌する、すばらしい作品に仕上がっていました。
イギリス人らしい抑制の効いた感動演出はほどよくて、心地よい作品でした。

■シャーロック 忌まわしき花嫁
日本の宣伝では説明不足だったと思うけど、完全にドラマのシーズン3を引き継ぐ内容の作品です。
独立した、この作品だけで完結しているスピンオフではありません。
シーズン1~3、さらには原作も読んでいる人でないと、この作品のおもしろさはちゃんと伝わらないかも知れませんね。
ツイッターで「フ女子狙い」とか書かれているのを何度か見かけましたが、別にこの作品が特にそれを狙っているとは私は思いませんでした。
シャーロック・ホームズ物においては通常営業というか・・・。(苦笑)原作も読んでる昔からのファンならわかると思いますが、ライヘンバッハでのあのワトソンの描かれ方は、ホームズ物が好きな人だったら一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
そもそも作者のコナン・ドイルは、「ホームズはライヘンバッハで死んだ」つもりでいた。それを無理に生き返らせたから、落ちたのはモリアーティだけだと後付けにしたのですよね。
無理やりだからご都合主義になるのは当たり前だけど、もしワトソンが助っ人してたら、「モリアーティだけが落ちた」という設定に説得力が出る。
だからああいうシーンを描いたのには、私のようなファンにしてみればニヤニヤするところというか。・・・その可能性は一度は考えるよね、と共感するところとでもいいますか。(笑)
それからライヘンバッハを描くのであれば、その前段である「ポケットの中でピストルを~」のセリフは絶対に出しますよ。(笑)
モリアーティの登場はウケ狙いみたいな感想も散見するんですけど、ライヘンバッハ(『シャーロック』でいえばバーツ屋上でのできごと)を描くのにモリアーティが絡まないとかありえないし。
ホームズ物の映像作品を観ていつも思うのは、年々、原作を読んでいるファンは減ってきているよな・・・と。
だから「原作読んでる前提」がだんだん通じなくなってる雰囲気。
200年も前からあるいわゆるバディ物捜査物ミステリー物の原点といえる作品なんだから、とりあえず読んでおけばいいのに・・・と。
そこで原作未読の人向けにいくつか豆知識を。
マイクロフトは原作では「巨漢」と表現されています。それで動けない(動きたくない?)から「足を使うこと」はシャーロックにやらせている。そして、シャーロック曰く「マイクロフト自身が英国政府みたいな存在」で「自分よりも賢い」と言っています。
多くの映像作品でマイクロフトはシャーロックよりも優秀であるように描かれたり、英国の諜報機関の幹部クラスであったりするのは、原作に出てくる描写を根拠にしているからです。

■ディバイナー 戦禍に光を求めて
(これは個別でじっくり書きたいので別の記事で)

■エヴェレスト 神々の山嶺
ずば抜けてる人の哀しさみたいなものを感じてしまった。
天才は孤独だよね。誰にも理解されない。
だから天才は誰にも期待はしないし、逆に期待するのは酷だと思ってるから突き放す。で、ますます孤独になる。
ずば抜けた身体能力、目的を完遂させるための分析力、誰も彼と同じ視点に立てないのは厳然たる事実なんだと思う。
傲慢とか自己愛とか、そんな見られ方も彼にしてみればもう過去の通過点というか。
孤独を好むわけではなく、周りの人間のためにも孤独にならざるを得ない。岸という男の存在でそれを思い知らされたのかも知れない。
演出も脚本も音楽も映像もぜんぜん好きじゃない。
特に音楽が好きじゃなかった・・・メランコリックなだけでどうも的外れな気がしちゃって。音楽で盛り上がるどころかずっこける場面も結構あった。
脚本も鼻白むセリフが多いし、細やかな感情の動きを描けてるとも思えない。
映像は、せっかくロケしたんだし、お金や機材をもっとかければもっと良かったのかもしれないけど、日本では現時点ではこれが限界なのかな、と。
しかし、それらすべてを差し引いても感じられる原作力というか。・・・
クライマーの世界というのは独特のおもしろさがあるよね、と。
ハインリヒ・ハラーの「チベットの七年」とか読んだことがある人なら、基本的な情報は得られているからおすすめです。
野口さんや栗城さんの話を興味を持って聞いたことがある人にも。
この映画は、ちょっとスピリチュアルな要素が強すぎて引いちゃうところも多々ありますけど、ユニークだと思えれば楽しめるのではないでしょうか。

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2016年03/18:Mr.ホームズ
2016年04/29:キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー
2016年05/28:素敵なサプライズ
2016年05/14:HK
2016年06/01:デッドプール
2016年07/02:フラワーショウ!
2016年08/11:ジャングルブック
2016年10/07:ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ
2016年12/10:ドクター・ストレンジ
2016年12月:海賊とよばれた男

2017年01/27:ドクター・ストレンジ(日本公開)
2017年02/18:ナイスガイズ!
2017年:追憶
2017年05/05:ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー2
2017年06月:ワンダーウーマン
2017年07/07:スパイダーマン/ホームカミング
2017年08/11:スパイダーマン/ホームカミング(日本公開)
2017年秋:関ヶ原
2017年10/06:ブレードランナー2049
2017年11/03:ソー/ラグナロク
2017年11月:ブレードランナー2049(日本公開)

2018年02/16:ブラック・パンサー
2018年05/04:アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
2018年07/06:アントマン・アンド・ザ・ワスプ

2019年03/08:キャプテン・マーベル
2019年05/03:タイトル未定

2020年05/01:タイトル未定
2020年07/10:タイトル未定
2020年11/06:タイトル未定

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