ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「昆虫」が消えていた

2014年11月29日 | 其の他

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ジャポニカ学習帳から昆虫が消えた 教師等『気持ち悪い。』 40年続けたメーカー苦渋の決断」(11月28日、withnews

 

1970年の発売以来、累計12億冊を販売した「ジャポニカ学習帳」。表紙に甲虫等の大きな写真が入っているのが特徴でしたが、2年前から昆虫の写真を使うのを止めていた事が判りました。切っ掛けは、教師や親から寄せられた「気持ち悪い。」という声だったと言います。

 

【ジャポニカ学習帳】

 

文具メーカー「ショウワノート」のジャポニカ学習帳は、来年で発売45周年になるロング・ヒット商品。全て富山県に在る本社工場で作られていて、学年や科目に異なる約50種類が販売されています。商品の形に商標権を認める「立体商標」として認められる等、抜群知名度誇ります。

 

そんなジャポニカ学習帳の特徴の1つが、表紙を飾る写真です。1978年以降、カメラマン山口進さんが撮影した物が使われています。

 

アマゾン編」、「赤道編」といった、様々なテーマが在り、山口さんは世界各地に滞在して数ヶ月掛けて撮影して来ました。

 

ところが、2012年から表紙の写真に昆虫は使われていません。こんな意見が寄せられたのが切っ掛けでした。

 

「娘が昆虫写真がで、ノートを持てないと言っている。」、「授業で使う時、表紙だと閉じる事も出来ないので困る。」。

 

保護者だけでは無く、教師からも同じ様な声が上がったそう。ショウワノートの開発部の担当者は虫に接する機会が減ったという事でしょうか。推測します。

 

こうした声は10年程前から寄せられたと言います。其れ程多くはなかったそうですが、ショウワノートは昆虫写真を使わない事に決めました。

 

学校の授業や、家に帰ってからの宿題。御子さんがノートを使う機会は多いです。若しかしたら、友達と一緒にいる時間より長いかもしれません。学校の先生もノートを集めたり、添削したりと、目に触れる機会は多いと思います。そんな商品だからこそ、1人でも嫌だと感じる人が居るので在れば止め様、という事になりました。

 

多い時は、ジャポニカ学習帳の半分近くを占めていたという昆虫の写真。ショウワノートにとっては苦渋の選択でしたが、改版する徐々に減らし、2年前に完全に姿を消しました。

 

世相反映した対応とはいえ、表紙の珍しい甲虫やが大好きだった人からすれば、寂しく感じられるかもしれません。

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ジャポニカ学習帳とは、実に懐かしい。小学生の頃、同級生の殆どが持っていたと思う。表紙には動植物の写真が使われていたが、矢張り「昆虫の写真」のイメージが非常に強い。

 

昆虫というと、思い出す番組が在る。3年前、ヴァラエティー番組「探偵!ナイトスクープ」の中で、幼稚園の頃の経験がトラウマとなり、昆虫類が大の苦手になったという小学校の男子教師が登場。其の年から教師になったのだが、「受け持っている3年生は2学期から理科の授業で昆虫を扱う事になる為、教えるには昆虫に近付くだけで無く、触らなければいけない。何とか、昆虫嫌いを克服させて欲しい。」というのが彼の依頼だった。

 

生き物で言えば、一番苦手なのは爬虫類。そして、其の次に苦手なのは昆虫だ。だから、昆虫が苦手という人の気持ちは理解出来る。でも、其れだからといって、ジャポニカ学習帳の表紙から「昆虫写真」を全て無くしてしまうというのは、何か違う気がする。

 

「1人でも嫌だと感じる人が居るので在れば止め様。」というショウワノートの開発部担当者のコメントは、一見すると“ユーザーの立場”に立っている様にも思えるが、「世の中に存在している物を、『見るのが嫌だから。』という理由、其れも極めて少数派で在ろう理由だけで“排除”してしまうのは、“過ぎた自主規制”としか思えない。本当に「“1人でも”嫌だと感じる人が居るので在れば止め様。」という事になると、「や動物が嫌い。」という人が出て来たら、どうするのだろうか?

 

上記した様に、自分も昆虫は好きで無い。でも、昆虫の写真(ジャポニカ学習帳のという訳では無いが。)を見て、其の形状や作りに興味を惹かれた事が在る。

 

幼少時、昆虫に出会った事で興味を惹かれた手塚治虫氏。」の様に、何等か切っ掛けで昆虫の世界に魅了される人は少なく無いだろう。若しかしたら、ジャポニカ学習帳の(表紙の)昆虫写真を見て、昆虫学者の道に進んだ人だって居るかもしれない。「嫌な人も居るなら、全てを排除すれば良い。」というのでは、在りた可能性を奪ってしまう事にもなり兼ねないと思うのだが・・・。


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6 コメント

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教育の機会 (雫石鉄也)
2014-11-29 09:17:11
このショウワノートは「学習帳」というネーミングから考えて、教育に関わる企業と理解していいのでしょう。
このたびの昆虫の写真を使わないという選択は、教育にかかわる企業としての矜持を失ったこととと認識されてもいたしかたないですね。もちろん企業ですから顧客を好みを考えることは大切です。でも、教育にかかわる企業としての側面が抜けてます。
昆虫も命ある生命体です。ですから、昆虫の存在を子供たちに知らしめ、決して醜いものではなく、生命として尊重することを教えなくてはなりません。
昆虫が気持ち悪いというのなら、病人、身障者、他民族が気持ち悪いといったなら、それらの存在を認めないですか。そんなことはないですね。これらも人々もみんな同じなんだよと、その子に教えるでしょう。
昆虫は気持ち悪くないんだよ。君が知らないだけだよ。だから勉強しようね。というべきですね。
Unknown (悠々遊)
2014-11-29 12:14:44
結局は「事なかれ」主義なのでしょう。
その行き着く先は・・・真っ白無地の表紙に科目文字だけ。

嫌いなもの>>見たくない>>排除
嫌いな事>>したくない>>放置
嫌いなやつ>>目障り>>排除・・・安倍さ~ん!

排除の理論がまかり通る、生き難い世の中になったものです。
Unknown (ぷりな)
2014-11-29 14:05:13
>「“1人でも”嫌だと感じる人が居るので在れば止め様。」という事になると、「花や動物が嫌い。」という人が出て来たら、どうするのだろうか?
どんな動植物でも誰にも嫌われない品種はないでしょう。犬好きだけど猫は苦手という人もいれば逆の人もいる。昆虫や爬虫類は平気だが鳥類や哺乳類は大嫌いという人もいます。そんなもんいちいち聞いていたらきりがない。子供たちは嫌いならそのシリーズを使わないか、表紙に紙でも貼って使えばよいし、虫が苦手な先生もお手製の表紙を作ってわら半紙に印刷し、これを各自のノートの表紙の真ん中に貼りなさいと指示すればよいのではないかと。経費の点で駄目ならば我慢するしかないですが。

嫌いな人がいるからといって廃止していたら、生物の多様性を知る機会を失わせることにつながります。私も世界にはいろいろな生物がいることを小学生向けの学習ノートの表紙の写真とその裏側に書いてある解説文で知ることができました。また、学習帳メーカーの中にはギネス世界記録を取り上げたシリーズがあり、小学生に読ませるにふさわしい記録が紹介されています。昆虫シリーズでこういうことがあったら、これも「こんなアホな・危険な挑戦を子供に見せるな」という苦情が来れば止めるのでしょうか?もしくはスポーツ選手の記録が取り上げられて、それが自分の嫌いな選手だったら「非紳士的な人物だから載せるな」「不正な記録に決まっているから載せるな」というクレームを、自分が思い込んでいる「非紳士的な立ち居振る舞い」「不正の根拠」とともにメーカーに長文メールで送りつけたりする消費者も出てくるんでしょうかね。昆虫嫌いのクレームを受けての過剰な自主規制が行われたことで生物の多様性を知る機会を失わせ、ひいては人間の多様性や偉業を知る機会を失わせるとしたら、子供が気の毒です。

「何を持ってわいせつ物とするかは、極端に感受性の強い人々を除き、一般的な感覚の人々にとって性的興奮や性的羞恥心を起こすか否かで決められる」というのをどこかで読んだことがありますが、わいせつ物はそうなのに昆虫はダメですか。変な国だ。
>雫石鉄也様 (giants-55)
2014-11-29 15:17:50
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

上で悠々遊様も書かれていますが、結局は“事勿れ主義”というのが、ショウワノート側には強く在った様に感じます。

少し前に読んだ記事なのですが、TVの世界では“自主規制”が可成りのレヴェルで行われていると。「八百屋」や「魚屋」といった表現すらも、「日銭が入る職業を、差別する様なニュアンスが在る。」との理由から自主規制されている等、「何で此の用語を、自主規制したの!?」と思ってしまう例が数多在りました。

「差別ではないか?」という声が数人程度から寄せられただけでも、そういった声を“悪意&意図的”にネット上で取り上げ、「こんな差別が在るぞ!」と煽り立て、面白半分で同調する輩が騒ぎ立ったら・・・そんな過剰意識が企業側&TV局側には在り、結果として過度な自主規制が進んでいるとか。

そういう風潮が在るからこその“事勿れ主義”蔓延なのでしょうが、だからこそ「事勿れ主義を止めて、正しいと思う道を歩み続ける姿勢。」が大事なのではないか?

世の中には、色んな物が存在する。中には気に入らない物も在るでしょう。だからと言って、そういった物を排除しさえすれば良いという考えならば、ヒットラーによる「ユダヤ人迫害」と同根になってしまう。

雫石様が書かれておられる様に、「在るが儘をきちんと知らしめ、世の中には色んな物や人が存在するんだよ。」と教えるのが、本当の教育だと思います。
>悠々遊様 (giants-55)
2014-11-29 15:21:06
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。


雫石鉄也様宛のレスで記させて貰ったのですが、自分も“事勿れ主義”というのが、今回の一件の根底には在ると思います。企業としては仕方無い面も在るのだろうけれど、「都合の良い物許りで周りを固め、不都合な物は存在しなかった事にして排除する。」という風潮が強い今だからこそ、事勿れ主義で臨んで欲しく無い。
>ぷりな様 (giants-55)
2014-11-29 15:28:55
書き込み有難う御座いました。

今回の元記事を読んだ際、自分もぷりな様と同じ様な事を考えました。「どうしても昆虫の写真が嫌という子が居るのならば、例えば表紙に貼って見えなくする可愛らしいシールとかを、製造元は添付すれば良いだけの話では?経費が掛かるというので在れば、教師や親の側でそういった事を考えれば良いだけの事。」と。

こういう風に過度な自主規制が進んでしまうと、「多様性を認める意識」が希薄化してしまうと同時に、「想像力」をも減じさせてしまうのではないかと思っています。


極右サイトや極左サイトの情報“だけ”にしか触れず、尚且つ其の情報を自ら検証する事も無く「事実」と信じ込み、「ネットの御蔭で、自分達は真実を知る事が出来た。」と鼻息荒く語っている御仁が居たりしますが、過度な自主規制はそういった輩の増産に拍車を掛けるだけではないかという懸念が。

極右意識や極左意識を持つ人が居ても構わない。勿論、他者に迷惑を掛けなければという大前提の下ですが。問題なのは、意に沿わないからと徹底的に排除し様とするスタンス。此れは危ういです。

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