ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

大阪秋の陣

2011年11月28日 | 政治関連

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橋下氏、大阪市長知事側近松井氏」(11月27日、共同通信

 

27日投開票の大阪市長選は「大阪維新の会」代表の前大阪府知事橋下徹氏(42歳)が、無所属の現職平松邦夫市長(63歳)との一騎打ち制し初当選した。同日選となった知事選も、維新の会幹事長の元府議松井一郎氏(47歳)が新人6人を破り初当選。松井氏は橋下氏の側近で同会が府と市のトップを独占した。両選挙に勝利した事で、維新の会が公約掲げた「大阪都構想」に弾みが付くのは確実。

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投票締め切りの午後8時から程無く、府知事&市長共に「当選確実」のテロップがテレビ画面に映し出された。「大阪秋の陣」は、大阪維新の会の圧勝と言って良い結果だ。

 

橋下氏が立候補した大阪市長選の投票率は60.92%という事で、同投票率が60%を超えるのは40年振りの事とか。良くも悪くも注目度が高い橋下氏の参戦、「投票率が上がるだろう。」とは予想していたものの、此処高いとは。又、大阪府知事選の投票率も52.88%と、前回(2008年)の同投票率の48.95%を超えたという事で、其れだけ大阪府民は現状に対して、強い閉塞感を持っている。」という証左なのかもしれない。

 

橋下氏が立候補を決める前だったか、其れとも決めた直後だったか、「彼の出自を巡る醜聞」が歩調を合わせたかの如く、ドッと週刊誌で報じられた。「彼が誰の子だろうが、彼の従兄弟が何をしようが、彼自身に関する事で無ければ、そんなのはどうでも良い。大事なのは“今の彼自身”に付いてなのだから。」というのが自分の考えなので、此の手のネガティヴ・キャンペーンは不快にしか感じられなかったし、此の点に関して“だけ”は橋下氏を応援したいと思った。

 

多重行政の解消。」や「怠惰な勤務態度の公務員は辞めさせる。」等、橋下氏の主張には共感を覚える点が無い訳では無いが、「大阪都構想」も含めて彼の主張や方法論には危うさを感じる面が少なくなく、総じて言えば「最悪の極みだった『小泉劇場』の再演ではないか?」という懸念を持っている。

 

ワンフレーズ・ポリティクスや派手なパフォーマンスの多用然る事乍ら、「常に『仮想敵』を作り上げ、其れに対して猛攻撃を加える事で、国民の高い支持を取り付ける。」という点は、小泉手法と何等変わらない。(今回、橋下氏の応援に駆け付けたのは石原慎太郎都知事東国原英夫宮崎県知事中田宏横浜市長といった面々。「自身にとって不都合な報道は全て、『反対勢力による謀略だ!』と叫ぶ所が、“御友達”の共通点。」という感じがする。自身の不徳が招いたとしか思えない女性問題や金銭問題すらも、反対勢力の謀略と言い張るに到っては、最早醜悪さしか感じられない。特に中田氏の場合、最初の頃は高く評価していただけに、状況が悪くなった際、全てを放り出して逃げたのは大幻滅。

 

「無駄を徹底的に省けば良い。極限迄『無駄と思われる事柄』を省いて行けば、やがては国民から『其処迄省かれると、生活に破綻来してしまう。税金を上げても構わないので、元に戻して欲しい。』という声が必ず上がる。そうなったらチャンスだ。増税をしても、文句は言われないだろうから。」と、「聖域無き構造改革」を掲げた小泉首相は当時、そう側近に語っていたとか。此の考え方自体は間違っていないと思うが、問題は彼が「聖域を維持した構造改革」を行った事。身内で在る政治家や公務員、そして一部の金持ちに関する事柄は「聖域」扱いとして既得権益を維持させ、其の他の国民にだけ過剰重荷を背負わせただけだったから。挙句に「絶対に構造改革しなければいけないの『政治家の世襲』を、平然と息子に世襲させる事で肯定した。」に到っては、彼を“稀代ペテン師”と思わざるを得ない。

 

話を橋下氏に戻すが、彼が本当に「聖域無き構造改革」を行えるかどうか疑問で在る。「差別問題を悪用し、不当な利益を得ている連中を、意図的に見逃している。」という週刊誌報道が事実ならば言語道断だし、真に改革を行うならば、身内たる政治家から先ずは行うべきだ。

 

「何でもかんでも仮想敵を作り上げ、そして其れを攻撃する。」というスタイルを改め、そして本当に「聖域の無い構造改革」を推進出来るかどうかを、大阪府民はじっくり監視しなければいけないだろう。「今の大阪府が最悪な状態に在る。」と主張するので在れば、そういった大阪府にしてしまった責任は大阪府民“にも”在るのだし、今回の選択の責任を大阪府民が負わなくてはいけないのは事実なのだから。


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10 コメント

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文化不毛の地 (雫石鉄也)
2011-11-28 09:30:28
これで大阪は文化不毛の地になりますね。
ムダを省くことは確かに大切ですが、文化はムダから生まれます。
文化はハラの足しにはなりませんからね。
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>雫石鉄也様 (giants-55)
2011-11-28 12:07:49
書き込み有り難う御座いました。今回は此方にレスを付けさせて貰います。

「国栄えて文化滅ぶ。」で在っても、又、逆に「文化栄えて国滅ぶ。」で在ってもいけないと思うんです。両立する境界線を見付けのが為政者の役割なのに、近年は「AとBとの何方を選べ!」的な「二者択一論」で迫る為政者の何と多い事か。

橋下氏は「意図的に過激な言動をし、落とし所を用意している節が見られる。」等、非常に強かな面を有している様には思うけれど、そういった面も徐々に悪い方向に変容している気もして、非常に危うさを感じています。

橋下氏に過大な評価をし、彼の為す事を盲目的に許した結果、大阪府が今よりも悪い状態にならない事を望んでいますが・・・。
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あのオッサンどうしてるかな (spade)
2011-11-28 13:14:19
前に会社で大阪のある会社経営者兼知識人という人と交流を持ったことがあります。「細雪」の世界で育った団塊世代(おそらく真の上方文化を知る最後の世代)。世間話をしていて偶然共通の知人の青森の人の話になり、自分が「あの人大阪知事にちょっと顔が似てますね」と言ったら、えらい勢いで怒られたんです。どうやら「彼」が大嫌いらしい。しかしなんでこんなことでこんなに怒られないかんの、と不快でしたけどね^^;。
その方、地元の学校に来賓として呼ばれたり、会社に平松前市長他が訪問、某皇族と学会つながりで交友関係有、という大阪のエスタブリッシュメントでした。今どういう気分なんだろうな(苦虫かんでるんだろうな)。
一方でこの社長のような恵まれた人ではない大阪の人がなんらかの閉塞感や「東京」に対する怨嗟を抱えていることは理解できます。「名古屋」や「中韓」に対しても何か鬱屈した感情を持っていそうだし。
ただ、giantsさんご指摘の自治体(東京以外)は何が良いことがあったのだろうか。横浜の人は「ナカタ」という名前聞きたくもないという人多いようですよ。あと愛知県河村連合をお忘れではないですか?これは大阪より先んじていますが、今後どうなるのかな?(河村さんのほうが喋りがやわらかくて狸という印象を持っています)
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>spade様 (giants-55)
2011-11-28 20:24:13
書き込み有り難う御座いました。

橋下徹氏に関して否定的な記事となりましたが、「1人の人間としての彼」に付いて言えば、実は嫌いなタイプでは無いんです。過激で、時にはエキセントリックとも思える様な言動をするけれど、其の言動で巻き起こるで在ろう影響を、結構冷静に考えている節が在るし、何処ぞの都知事の様に「小憎たらしさ」をそんなに感じない。キャラクターで得をしていると言えましょうか。

唯、其れは飽く迄も「1人の人間としての彼」に付いてで在って、「為政者としての彼」に付いて言えば「具体案や推し進め方に疑問を感じる、イメージ先行型。」という懸念を持っています。

河村のおっちゃんも、「1人の人間としては」結構好きなタイプ。ボンボンには無い、叩き上げの強さを感じるし。唯、ベクトルの方向で言えば、橋下氏とは同じかもしれませんね。

中田氏は当初評価していただけに、子供でも言わない様な稚拙な言い訳をした挙句、全てを放り出した事が腹立たしくてなりません。そんな好い加減な御仁が偉そうにヴィジョンを語った所で、とても信を置く事が出来ない。
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新革新首長時代か (AK)
2011-11-29 14:55:25
私はgiants-55さんと感覚が異なるかもしれませんが、昔の「革新首長ブーム」時代を思い出しています。橋下氏は革新派ではないとされていますが、今や「無党派」とされる人にとっては旧社会党系も共産党も充分に「既得権益層」になっています。今の時代の「革新主義」は橋下政党や河村政党のようなものなのかもしれません。
昔の革新首長ブーム時代はちょうど私の思春期と重なったので何か高揚感のような物を強く感じました。しかし結局は「負けてしまった」のです。現実路線に。今でも革新首長が強いエリアは東京西部などありますが、その選挙は我々世代から70歳代に支えられた物で、テレビで選挙運動の様子を見ますと古色蒼然としたものを感じます(皆で腕組んでフォーク大合唱など、こちらが思わず体のあちこちかゆくなるような感覚を覚える)。

現在の橋下ブーム、河村ブームがどうなっていくのかわかりません。変な話ですが平成の大合併がそうであったように、破綻寸前の自治体を国の援助下から切り離せるのなら、と大阪切り離しに国が乗って来る可能性もあるでしょう。その後の大阪がどうなるか、は一言で言うと「大阪から転出者、企業脱出が相次ぐかもしれない」という暗い予測も出来るかもしれません。現実に大阪の地盤沈下というのは工場が海外や輸出に便の良い北関東等の沿岸部、九州北部等に移転していったことが挙げられます。この流れをどうしていくのか。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%A9%E6%96%B0%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BD%93

今回の橋下バッシングと同じことが旧「革新首長」時代にもありました。今後どうなっていくかこれも注視します。

>中田

会社のお客さんの横浜の人によると意外なところから中田ブームはほころんでいたのだそうです。それは「中田さんの前の高秀さんの時代は『横浜の焼却炉は高性能だからプラスティックの分別をしないでよい』と言われていたのに、中田になってやたらとプラの分別をうるさく言われた。川崎は相変わらずなので、市境の市民の中には川崎に捨てに行く人がいて問題になることがあった。決定打は燃えるゴミの収集日が3回から2回に減らされ、夏場困った。中田が次出たら絶対入れないという主婦が結構いた。その辺も敏感に感じていたのかも」と。目からうろこでした。
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>AK様 (giants-55)
2011-11-30 00:05:11
書き込み有り難う御座いました。

「革新ブーム」と「保守ブーム」っていうのは、互い違いに遣って来る感じは在りますよね。特に日本の場合は世論が極端な方向に振れ、其の反動で次は全く反対方向に触れるという事の繰り返しですし。

記憶を遡ると自分の場合、美濃部亮吉・東京都知事や飛鳥田一雄・横浜市長といった辺りが所謂「革新首長」の最初という感じです。其の後にも一定間隔で「革新ブーム」が起こりましたが、最初だけ盛り上がって、後は尻窄みという繰り返し。まあ此れは「保守ブーム」にも同じ事が言える訳ですが、「極端な方向に振れるけれど、振れ切ったら次は逆方向に思いっ切り触れる。」という我が国の国民の“バランス感覚”が為せる業なのかもしれません。
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飛鳥田氏 (AK)
2011-11-30 13:25:13
飛鳥田市政は保守の側からも一定の評価を受けたのか、敵だった産経の元記者が褒めています。
http://oshimas.iza.ne.jp/blog/entry/1152557/

この頃の革新ブームは「内ゲバ」が破綻させた部分も大きいです。革新首長を推す側の左派も急進的、過激な若者からすると飛鳥田、美濃部すら「ブルジョワの手先」でした。
現在の保守の状態も内ゲバと感じています。

個人的に橋下政党の雰囲気は「青年会議所や商工会議所青年部、青年団の威勢のいい連中が飛び出して作ったような雰囲気」だなあと、自分の30代を懐かしく思う反面、「こういう雰囲気を持続させられるかなあ」と思うのです。街おこしのようなものでもヨソモノや冷静な大人を巻き込んでクールダウンさせた街が勝っていますから(富士宮やきそばの本を読んでみてください)。

平松氏を評価した発言を橋下氏がしていましたが、その点では安心材料。ただし、有権者の空気がこれからどうなっていくか。都構想そうそう甘いものではない。国(官僚)も狸。
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>AK様 (giants-55)
2011-11-30 16:36:18
書き込み有り難う御座いました。

産経新聞元記者の方の記事を拝読させて貰いましたが、昔は「立場が全く異なる相手からも、其れ形に評価される人物。」というのが居ましたよね。今は全体的に小粒化した人物が増えてしまい(マスメディアの報道の姿勢にも、問題在りと思っていますが。)、そういう意味では、詰まらない世の中になった物です。

「世の中が変わるかも。」と期待した“政変”が、自分の人生の中でも何度か在りました。しかし結局は、旧態依然としたシステムの中に取り込まれてしまった。歴史小説を多く著している作家・童門冬二氏(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%A5%E9%96%80%E5%86%AC%E4%BA%8C)だったと記憶しているのですが、非常に面白い指摘をしていました。曰く「日本では『外圧を伴った改革』でしか、真の改革は達成されていない。そういった改革は今迄に3度だけで、最初は『大化の改新(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%8C%96%E3%81%AE%E6%94%B9%E6%96%B0)』、2度目は『明治維新(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%B2%BB%E7%B6%AD%E6%96%B0)』、そして3度目は『敗戦(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%82%E6%88%A6%E3%81%AE%E6%97%A5)』で在る。」と。日本の「何事も外圧頼み。」というスタンスは、昔から変わっていないのでしょうね。

自民党の不正を声高に叫んでいた民主党が天下を取ったら、同じ様な不正がポロポロと出て来た。民主党の代わりを託そうとしたみんなの党も、私的な支出を政治資金で賄っていた事実が出て来る等、真に国民と向き合っている政治家が本当に居るのかどうか、極めて疑問な昨今。情けない限りです。
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オールド革新対無産世代? (spade)
2011-12-02 13:19:44
そういえばどっちも次点は団塊ど真ん中の63歳ですね。コメントで書いた町の有力者親爺も63だったかな?
正直、橋下氏と平松氏の違いは「都構想」だけであとはだいたい一緒と思うんですが、世代間対立のような物も作用したかも。知事の人が49で、この人の歳ぐらいから年金受給年齢が引き上げられるなんていう話し、団塊が食いつぶした後の砂漠を生きねばならぬ世代の絶望は結構強いと感じている昨今。橋下氏は42ということで、ちょうど団塊の子供が生まれ始めた時代じゃないかなあ。一般には今の30代とされていますが、中卒高卒で社会に出るのが圧倒的多数だった時代なので20歳で出産と考えると1966年ぐらいからと…。実際大卒者の少ない地方だと実感として1960年代後半生まれの人の親は団塊世代ということが多いと感じる。団塊ジュニアと言われる世代だと親の年齢が団塊ではない1950年ぐらいの人が多いと。知事の人は49ということで60年代前半だけれど、この年代の人ぐらいから住宅取得や子供の学費を1930年代生まれの親のたくわえに頼っているケースが非常に多いと思う。
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>spade様 (giants-55)
2011-12-02 15:28:02
書き込み有り難う御座いました。

「世代間対立」というのも在りそうですが、「イメージ戦略の違いから来る対立」という感じもしますね。橋下新市長を見ていると、どうしても小泉元首相がオーバーラップしてしまう。勇ましく、且つ斬新な言動をする一方で、実態は「身内に対して大甘。」という旧来の政治家と何等変わらなかった小泉元首相。橋下元市長に対して、後世の歴史家はどういう評価を下すのだろうか?
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