横浜地球物理学研究所

YOKOHAMA GEOPHYSICS RESEARCH LABORATORY
地震予知・地震予測の検証など

2016年7月27日 23時47分頃 茨城県北部を震源地とする地震

2016年07月28日 | 地震情報
2016年7月27日(水) 23時47分頃、茨城県北部を震源地とする地震(速報M5.4)が発生しました。

震源の深さは約57km、日立市役所と常陸太田市金井町で震度5弱を観測しています。


(気象庁地震情報)


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発震機構は、おおむね東西に圧力軸を持つ逆断層型のようです。


    (気象庁HPの図より作成)


発震機構と震源位置から推定して、沈み込む太平洋プレートの上面で起きた、プレート境界型地震だと思われます。


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今回の震源、東海村~ひたちなか市あたりの地下50~60kmは、以前より地震が多い場所のようです。2011年の東北地方太平洋沖地震の後に特に数が増えており、今回もその余震活動の一環と考えて良いかも知れません。


(気象庁DB検索結果)

ほぼ同じ位置、同じ深さで、2012年3月1日にはM5.3(東海村で震度5弱)が起きています。
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地震解析ラボは、熊本地震を予測できていたのか?

2016年07月14日 | 地震予知研究(早川正士氏・地震解析ラボ)
 
VLF/LF電離層擾乱に基づいて有料地震予測サービスを行っている、「地震解析ラボ」(所長:早川正士・電通大名誉教授)という団体があります(運営会社はインフォメーションシステムズ株式会社)。

当サイトでは以前より、地震解析ラボの地震予測を検証し、有意な予測能力は全くみられないと指摘してきました。しかしながら、彼らは依然として有料地震予測サービスを継続しており、メディアでもしばしば「精度が高い」などと紹介されているようです。

そこで今回は、地震解析ラボが、2016年4月14日に発生した熊本地震(4月16日に本震とされるM7.3、最大震度7)を事前に予測できていたのか、検証してみましょう。


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地震解析ラボの過去の予測実績は、彼らのサイトで公開されています(こちら)。このなかから、熊本地震の発生直前である、4月11日に地震解析ラボが発表していた地震予測を、以下に抜粋します。


     



…いかがでしょうか。北海道東部から千島列島、関東の太平洋側、伊豆諸島から小笠原諸島、伊予灘から日向灘、そして南西諸島に地震予測が出ています。しかし、熊本県は全域が、予測領域から外れていることが分かります。

熊本に近い場所では、伊予灘~豊後水道~日向灘にかけて、青く示された予測領域(識別番号028)が出されていますが、青は予測規模「M5.0前後」(M4.7~M5.3)を意味しており、熊本地震の規模M7.3とは全くかけ離れています。熊本県も全くカバーしていません。

以上から、かなり甘く判断しても、熊本地震は予測失敗したと言うべきでしょう。


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熊本に近い伊予灘から日向灘にかけて地震予測を出していたのだから、「惜しかった」「かすっていた」と擁護される方もおられるかも知れません。

ですが、地震解析ラボは、伊予灘から日向灘にかけては定期的に地震予測を出しており、熊本地震直前のこの時にだけ予測を出していた訳ではない点に、留意が必要です。

熊本地震発生前の1年間で、地震解析ラボは8回、伊予灘から日向灘に地震予測を出しています。それぞれが1週間の予測期間ですので、単純計算で6.5週間のうち1週間の頻度で、この領域に予測を出し続けていた計算になります。

そして、そもそもこの予測領域は熊本県を全く含んでもいないので、熊本地震当日に地震解析ラボが当該領域に予測を出していた事は、評価に値しないと思います。


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以上のとおり、「地震解析ラボは熊本地震を予測できなかった」と結論して良さそうです。ただ、ほぼ日本中に地震予測を出しながら九州だけが完全にノーマークだった、MEGA地震予測に比べれば、近隣の伊予灘~日向灘に予測を出していただけ、評価のガタ落ちを運よく避けられた感があります。

だからと言って「熊本地震を予測できた」などと誇張した宣伝をせず、真摯な自己検証にもとづいた、誠実な研究と事業運営を、地震解析ラボには望みたいと思います。
 
 
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2016年6月16日 14時21分頃 内浦湾を震源地とする地震

2016年06月16日 | 地震情報
 
2016年6月16日(木)14時21分頃、内浦湾を震源地とする地震(速報値M5.3)が発生しました。

函館市川汲町(旧南茅部町)で震度6弱を観測しています。


(気象庁HP地震情報より)


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発震機構は、西南西→←東北東の圧力軸の逆断層型のようです。震源は、旧南茅部町市街のすぐ沖で、深さ11kmとのことです。


(気象庁HPの図より作成)


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この付近では、過去に大きな被害地震は知られていません。ただし、旧南茅部町付近の一帯からすぐ沖にかけては、小さな浅い地震がこれまでも比較的多くあったようです。

この地震の5時間前、9:05と9:13に、前震とみられる2回の有感地震があったことが興味深いです。


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こうした浅めの地震は余震が多いことが普通で、今後もしばらくは余震が予想されます。
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長尾年恭・東海大教授ら地下気象研究所(DuMA)の地震予知について

2016年06月07日 | 地震予知研究(その他)
 
地震予知の研究で有名な研究者に、長尾年恭・東海大教授という方がおられます。長尾年恭教授らは、地下気象研究所(DuMA)という大学発ベンチャー企業を立ち上げ、有料の地震予知サービスを行っています。

彼らの主な予知手法は「地下天気図」というもので、「地震活動が普段より静穏化している領域は、静穏化が終わった直後に大きな地震が起きる」という仮説に基づいたものです。長尾年恭氏らDuMAは、この「地下天気図」を有料メルマガで配信しています(http://www.mag2.com/m/0001672594.html)。

では、この長尾教授による「地下天気図」、どのくらいの精度で地震を予知できているのでしょうか。以下に、彼らが「地下天気図」を配信し始めてからの地震予知を、検証してみます。


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まずは、今年2016/4/14の熊本地震(本震は4/16のM7.3)の直前である、4/10の「地下天気図」です。青い領域が地震活動が静穏化している領域であり、大きな地震が起きる危険があると言います。

  

…ご覧のとおり、熊本を含む九州は全く異常がありません。これより前に発表された地下天気図でも、熊本に静穏化領域は全くなく、長尾教授らは熊本の「く」の字も言い当てることはできませんでした。つまり、熊本地震は全く予測できなかったということです。また、5/16には茨城県南部を震源とする最大震度5弱の地震が発生しましたが、茨城県もこの図では真っ白であり、予測できていないことが分かります。

(※7/22後記)
長尾教授はテレビなどのメディアに頻繁に登場し、「熊本地震を予知していた」と主張して、以下の「地下天気図」(2015年9月16日のもの)を紹介しています。



…しかし、これはあくまで、九州大学が福岡での地震の危険についてのコメントを出したことを受けて出したものであり、長尾教授が「日本のうち九州で特に危険があることを見つけた」という趣旨で出したものではありません。それに、佐賀と鹿児島には確かに異常が認められるものの、肝心の熊本や大分は明らかに真っ白です。

さらに、このときに長尾教授が出したコメント(2016年3月24日のニュースレター)には、次のようにハッキリ書いてあり、大きな被害を出した熊本地震M7.3を予測できていたとは、到底言えません。

「予想されるマグニチュードは7ではなく、6クラスの地震で、きちんとした建物であれば、倒壊する可能性はほぼありません



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次に、今年2016/1/14に発生した浦河沖の地震(M6.7、6箇所で最大震度5弱)の直前に発行された「地下天気図」はどうでしょうか。

  

…北海道の空知から日高にかけての内陸部に青い領域がみられますが、浦河沖の海域は全く異常が出ていません。これも予測失敗です。


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さらに、2014/11/22に発生した長野県北部の地震(神城断層地震M6.7、最大震度6弱)の直前に発表された、2014/11/10の「地下天気図」を見てみましょう。

  


…長野県は全くノーマーク。神城断層地震も完全に予知失敗です。


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以上のように、長尾年恭教授らDuMAによる「地下天気図」による地震予知は、これまでのところ、大きな地震を言い当てた的中実績が、全くありません。特に、熊本地震や神城断層地震など被害が大きかった大地震を、欠片も予知できていないのですから、この地震予知を信頼すべき理由はないと言えます。ほぼデタラメと言って良いでしょう。

精度もさることながら、彼らの最も大きな問題だと思うのは、こうして大きな地震を予測し損なった直後に発行されたレターで、それを反省・釈明する様子が全くみられないことです。定期的に「地下天気図」を公表し、地震予知を発表しておきながら、予知の失敗に何も触れず、精度の低さを隠蔽しています。このような態度は、たとえば早川正士・電通大名誉教授の「地震解析ラボ」や、村井俊治・東大名誉教授の「地震科学探査機構JESEA」と、全く同じです。本当に残念です。

ぜひ長尾年恭教授らには、自らの予知実績を客観的に検証する、真摯な(研究者としては当たり前であるはずの)態度に改めて頂きますよう、強く希望します。

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「熊本地震の場所は言い当てていた」という村井俊治氏の釈明は本当か?

2016年05月09日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
 
電子基準点のデータを使い、『週刊MEGA地震予測』および『nexi地震予測』という有料の地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。 フジテレビ『Mr.サンデー』や小学館『週刊ポスト』誌において繰り返し紹介され、通信大手のNTTドコモが本格的に協力を開始するなど、かなり注目されている方です。

ですが、前回の記事(こちら)でご紹介しましたように、村井俊治氏は、2016年4月の熊本地震を、全く予測できませんでした。

ところが村井俊治氏は、「熊本地震の時期は予測できなかったが、場所は指摘していた」と繰り返し釈明しています。つまり、以前から熊本で地震があると指摘していたが、時期の予測がちょっとズレただけだ、と主張しているのです。


  
        (※村井俊治氏のツイッターより)

  
        (※『週刊ポスト』4月26日配信の記事から抜粋)


…こうした村井俊治氏の釈明は、信じて良いものなのでしょうか。以下に検証してみます。


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以下に、熊本地震が発生する前、今年2016年の2月17日に村井俊治氏らが発表していた、実際の地震予測を示します。色と数字は警戒度(レベル)を表し、数字が高いほど、震度5以上の地震が発生する可能性が高いという予測です。

     
     (村井俊治氏らJESEAによる有料地震予測サービスnexi地震予測のサンプルより)


…いかがでしょうか。確かに九州にも地震予測が出されてはいます。ですが、九州以外にも、実は日本の大部分に予測を出していたことが分かります。しかも、九州の予測が「レベル2」(下から2番目)であるのに対し、九州以外の地域はもっと警戒度が高い「レベル3」「レベル4」の地震予測が一杯出ています。

村井俊治氏は「熊本地震が発生する直前まで九州にも予測を出していたのだから、場所は言い当てていた」と主張していますが、その実態は、「熊本以外にも、日本の大部分に予測を乱発しており、しかも熊本以外に出していた予測のほうが警戒度が高かった」のです。

そのうえ、警戒度の高い予測を出していた地域(九州以外の地域)には、どこにも震度5弱以上の地震が全く起きませんでした。上図の予測図で言えば、空振り(ハズレ)が9、的中が0です。地震予測としては、「これ以上ないというくらいのデタラメ」であったことが分かります。

こんな全く的外れだった自らの地震予測をもって、「場所は言い当てていた」と主張するのは、あまりにも苦しい釈明であるどころか、かなりみっともない言い訳としか言いようがありません。


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私は、地震予測をしてみて、それが外れること自体を、批判したい訳ではないのです。色々な可能性を検討し、チャレンジしてみること自体は、何ら責められるべきではなく、むしろ応援したい試みです。それに、一度の予測失敗を取り上げて、出鱈目だと断定しようというものでもありません。

ですが、自分の地震予測を過大に評価し、「場所は当てていた」などと、嘘だと言って良いくらいの誇張を言って、それを宣伝文句に使い、有料の地震予測サービスを継続するような態度は、かなり控えめに言っても、「読むに堪えない暴言を浴びても文句は言えない態度」だと思います。

ぜひ村井俊治氏らJESEAの皆様には、真摯な態度で研究および事業を見直して頂くよう、強く希望します。
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