横浜地球物理学研究所

YOKOHAMA GEOPHYSICS RESEARCH LABORATORY
地震予知・地震予測の検証など

「熊本地震の場所は言い当てていた」という村井俊治氏の釈明は本当か?

2016年05月09日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
 
電子基準点のデータを使い、『週刊MEGA地震予測』および『nexi地震予測』という有料の地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。 フジテレビ『Mr.サンデー』や小学館『週刊ポスト』誌において繰り返し紹介され、通信大手のNTTドコモが本格的に協力を開始するなど、かなり注目されている方です。

ですが、前回の記事(こちら)でご紹介しましたように、村井俊治氏は、2016年4月の熊本地震を、全く予測できませんでした。

ところが村井俊治氏は、「熊本地震の時期は予測できなかったが、場所は指摘していた」と繰り返し釈明しています。つまり、以前から熊本で地震があると指摘していたが、時期の予測がちょっとズレただけだ、と主張しているのです。


  
        (※村井俊治氏のツイッターより)

  
        (※『週刊ポスト』4月26日配信の記事から抜粋)


…こうした村井俊治氏の釈明は、信じて良いものなのでしょうか。以下に検証してみます。


 ■

以下に、熊本地震が発生する前、今年2016年の2月17日に村井俊治氏らが発表していた、実際の地震予測を示します。色と数字は警戒度(レベル)を表し、数字が高いほど、震度5以上の地震が発生する可能性が高いという予測です。

     
     (村井俊治氏らJESEAによる有料地震予測サービスnexi地震予測のサンプルより)


…いかがでしょうか。確かに九州にも地震予測が出されてはいます。ですが、九州以外にも、実は日本の大部分に予測を出していたことが分かります。しかも、九州の予測が「レベル2」(下から2番目)であるのに対し、九州以外の地域はもっと警戒度が高い「レベル3」「レベル4」の地震予測が一杯出ています。

村井俊治氏は「熊本地震が発生する直前まで九州にも予測を出していたのだから、場所は言い当てていた」と主張していますが、その実態は、「熊本以外にも、日本の大部分に予測を乱発しており、しかも熊本以外に出していた予測のほうが警戒度が高かった」のです。

そのうえ、警戒度の高い予測を出していた地域(九州以外の地域)には、どこにも震度5弱以上の地震が全く起きませんでした。上図の予測図で言えば、空振り(ハズレ)が9、的中が0です。地震予測としては、「これ以上ないというくらいのデタラメ」であったことが分かります。

こんな全く的外れだった自らの地震予測をもって、「場所は言い当てていた」と主張するのは、あまりにも苦しい釈明であるどころか、かなりみっともない言い訳としか言いようがありません。


 ■

私は、地震予測をしてみて、それが外れること自体を、批判したい訳ではないのです。色々な可能性を検討し、チャレンジしてみること自体は、何ら責められるべきではなく、むしろ応援したい試みです。それに、一度の予測失敗を取り上げて、出鱈目だと断定しようというものでもありません。

ですが、自分の地震予測を過大に評価し、「場所は当てていた」などと、嘘だと言って良いくらいの誇張を言って、それを宣伝文句に使い、有料の地震予測サービスを継続するような態度は、かなり控えめに言っても、「読むに堪えない暴言を浴びても文句は言えない態度」だと思います。

ぜひ村井俊治氏らJESEAの皆様には、真摯な態度で研究および事業を見直して頂くよう、強く希望します。
コメント (10)
この記事をはてなブックマークに追加

村井俊治・東大名誉教授は、2016年熊本地震(最大震度7)を、全く予測できませんでした

2016年04月15日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
 
電子基準点のデータを使い、有料メルマガ『週刊MEGA地震予測』で地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。 2016/3/6放送のフジテレビ『Mr.サンデー』において紹介され、通信大手のNTTドコモが本格的に協力を開始するなど、最も注目されている地震予測研究と言えるかも知れません。

それでは、この村井俊治氏らのメルマガ『週刊MEGA地震予測』は、2016/4/14に熊本で発生した熊本地震(M6.5・最大震度7)(※4/16に本震と思われるM7.3)を、予測できていたのでしょうか。直前に発行されたメルマガの内容を、以下に検証してみましょう。


 ■

熊本地震の発生直前に発行されたメルマガ『週刊MEGA地震予測』(4/13発行)に記載された地震予測は、以下のとおりです。

レベル4(震度5以上の地震が発生する可能性が極めて高い)
・南関東地方(相模湾、駿河湾・東京湾に面する地域、伊豆諸島、小笠原諸島)


レベル3(震度5以上の地震が発生する可能性が高い)
・北信越地方、岐阜県
・南海、東南海地方
・東北、関東の太平洋岸
・奥羽山脈周辺
・釧路、根室、えりも周辺


レベル2(震度5以上の地震が発生する可能性がある)
・鳥取県、島根県周辺
・南西諸島


レベル1・何らかの異常変動があり今後の推移を監視する
・山形、福島、茨城のL字型エリア
・北海道道南、青森県



…それでは、これらのエリアを、以下に地図に書き込んでみましょう(国土地理院地図より作成)。





…いかがでしょうか。あわせて10か所、日本の半分以上をカバーする広大なエリアに地震予測を発していますが、震度7が発生した熊本は、完全なノーマークです。これ以上ないというくらい、見事なまでの予測失敗と言えます。


 ■

今回の地震は、彼らが有料メルマガ『週刊MEGA地震予測』を始めて以来、初めて震度7を観測し死者など多大の被害が出る地震でした。それをこのように予測し損なったわけで、さすがに言い訳はできないでしょう。

彼らが予測を失敗したのは、今回だけではありません。これまでの予測もほとんど出鱈目レベルであり、そもそも電子基準点データの扱い方が完全に間違っていることも、本ブログでは繰り返し説明しています。よろしければご参照ください。


村井俊治氏(JESEA)の地震予測を検証します(2015年1月〜5月)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/b51f1ea8bcc23fc4109748dd16474e1b

村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(3)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/51b8dd178cae1a58be6cb9a3bf70c304


「週刊MEGA地震予測」の内容は、全く信頼できません
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/98691b7b417e3670144d0d61fe544e41

村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(2)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/47e78b9471e8cbc740b0c0efa0ef710a



村井俊治氏を信じる人は、「地震が起きない場所にも予測を出しているくらいなのだから、予測が出ていない地域は安全だろう」と思ってしまうかもしれません。今回のように予測が出ていない場所に地震が起き、油断して被害に遭ってしまうことも考えられます。出鱈目な地震予測は、詐欺的な行為であるというだけでなく、明らかに有害なものであると言えます。

自身の地震予測が出鱈目の精度しかないことを率直に認め、研究を直ちにやめるか、少なくとも真摯な態度でいちからやり直して頂きたいと、彼らには強く希望します。

 
コメント (65)
この記事をはてなブックマークに追加

2016年4月14日 21時26分頃 熊本県熊本地方を震源地とする地震

2016年04月14日 | 地震情報
 
2016年4月14日(木)21時26分頃、熊本県熊本地方を震源地とする地震(速報値M6.4、後にM6.5に修正)が発生しました。

震源の深さは約10km、熊本県益城町宮園で震度7を観測しています(計測震度は6.6のようです)。

 ■

発震機構は、おおむね東西に圧力軸、南北に張力軸を持つ、横ずれ断層型のようです。


    (気象庁HPの図より作成)


発震機構、震源の位置、規模から推定して、布田川・日奈久断層帯の益城町〜美里町あたりが右横ずれを起こしたものと考えられます(上図右側の断層の動き)。

速報の震源はおおむね御船町のあたりで、セントロイドは甲佐町〜美里町付近。M6.4ですと断層は10km以上にわたってズレを呈する規模ですので、益城町から美里町付近まで断層が動いた可能性もあります。


 ■

なお、布田川・日奈久断層帯につきましては、以前に動きが気になる断層帯として取り上げた記事(2014年12月)もありますので、ご参照ください。



 ■

浅めの地震は余震が多いことが普通です。今回の地震も、大きな余震があることが予想されます。
コメント (12)
この記事をはてなブックマークに追加

2016年4月1日 11時39分頃 三重県南東沖を震源地とする地震

2016年04月01日 | 地震情報
2016年4月1日(金)11時39分頃、三重県南東沖を震源地とする地震(速報値M6.7)が発生しました。

震源の深さは約10km、和歌山県古座川町高池で震度4(震度計測値は3.6のようです)を観測しています。

 ■

発震機構は、おおむね北西−南東に圧力軸を持つ逆断層型のようです。


    (気象庁HPの図より作成)


圧力軸の方向もフィリピン海プレートの沈み込み方向とおおむね一致しますし、深さから見ても、典型的なフィリピン海プレートの沈み込み面での海溝型地震だと思われます。

 ■

三重県南東沖を震源とする地震としては、2004/9/5に発生した地震M7.1があります(新宮市などで震度5弱)。このときの震源は、今日の地震よりもう少し沖の、ほぼ南海トラフの真下の深さ40km弱で、プレートの内部での地震と考えられています。従って、今回の地震とは、メカニズムが異なることになります。

他に三重県南東沖で起きた浅めの地震としては、1966/1/11のM5.9(深さ5km)、1968/5/9のM5.6(深さ20km)があるようですが、近隣の遠州灘や和歌山県南方沖もあわせて、この辺りでのフィリピン海プレートの「沈み込み面」での地震としては、昭和東南海地震(1944)や昭和南海地震(1946)以来、今回の地震が最大の規模と言って良さそうです。

また、浅めの地震ですので、余震があるかも知れません。
コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

早川正士氏ら地震解析ラボの地震予測の検証(2015年11月)

2016年03月10日 | 地震予知研究(早川正士氏・地震解析ラボ)
 
VLF/LF電離層擾乱に基づいて有料地震予測サービスを行っている、「地震解析ラボ」(所長:早川正士・電通大名誉教授)という団体があります(運営会社はインフォメーションシステムズ株式会社)。

当サイトでは以前より、地震解析ラボの地震予測を検証し、有意な予測能力は全くみられないと指摘してきました。しかしながら、彼らは依然として有料地震予測サービスを継続しており、メディアでもしばしば「精度が高い」などと紹介されているようです。そこで今回は、地震解析ラボが昨年発表した予測の一部を、また検証してみることにします。


 ■

以下に、現時点で地震解析ラボが公開している中で最新の地震予測である、2015年11月30日に発表された予測を示します(地震解析ラボのサイトで公開されています)。6ヶ所の予測エリアが、いずれも青色で示されており、「M5.0±」(M4.7〜M5.3)の規模の地震予測であることを意味しています。予測期間は、発表日である11月30日から12月10日までとなっています。



    



…ところが、この期間には、M4.7以上の地震が、国内では1件も発生しなかったのです! したがって、的中率は0%です。これでは面白くありませんので、おおまけにまけて、下限をM4.5まで下げて差し上げますと、この期間には以下の2件の地震が発生しています。


 ・2015/12/02 07:48:06.3 宮城県沖 38°40.7′N 142°16.2′E 深さ39km M4.6 最大震度3
 ・2015/12/02 13:41:19.7 宮城県沖 38°20.6′N 141°51.0′E 深さ63km M4.6 最大震度3



この2つの地震の震源を、上に示した図にプロット(赤丸)してみましょう。



    



…もう、目も当てられません。いかにも地震が起きそうな6ヶ所に地震予測を出しながら、その間を縫う様に実際の地震が起きています。


 ■

ご覧のとおり、地震解析ラボの地震予測は、最新の2015年の予測を見ても全然向上しておらず、デタラメのままであるようです。こうしたハズレの山は顧みられることがなく、メディアでも黙殺され、無かったことにされます。そして、たまに的中した予測だけが宣伝され、さも予測精度が高いかのように錯覚させられる訳です。ぜひ、皆様はご注意いただきたいと思います。

彼らをはじめ、地震学界の一部では、「地震の前兆で電離層が乱れるのではないか」「電磁波を観測すれば地震の前兆が分かるのではないか」と論じられています。ですが、こうした早川正士氏の地震予測実績、さらには森谷武男氏や串田嘉男氏ら同様の研究者の全く芳しくない実績をみますと、そうした言説は「デタラメであろう」とバッサリ切って捨てても良い段階なのではないかと思います。
 
コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加