横浜地球物理学研究所

YOKOHAMA GEOPHYSICS RESEARCH LABORATORY
地震予知・地震予測の検証など

2016年11月22日(火) 5:59頃 福島県沖を震源とする地震

2016年11月22日 | 地震情報
2016年11月22日(火) 5:59頃 福島県沖を震源とする地震(暫定値M7.4、深さ25km)が発生しました。

白河市、いわき市、高萩市などで震度5弱を観測しています。


  (気象庁地震情報)

発震機構は、北西←→南東の張力軸の正断層型のようです。約2時間半前の3:26にも、ほぼ同じ位置で同じ機構の、前震と思われるM4.6(最大震度2)がありました。


  (気象庁HPの図より作成)


岩手から茨城にかけての太平洋側は、2011年の巨大地震後の大きな余効変動もまだ続いているところで、それに伴う余震のひとつと言って良さそうです。

また、この地震で、福島県と宮城県に津波警報が出ました。気象庁から津波の観測波形が発表されています。おおむね引き波が最初に来たようです。仙台港で1.4m、相馬で0.9mの津波が観測されたとのことです。


  気象庁報道発表資料(H28.11.22 8:00)


浅い地震ですので、余震も多く続くことが予想されます。
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話題の地震予知研究者達は、鳥取県中部の地震を予測していたか?

2016年10月24日 | 地震予知研究(その他)
 
2016年10月21日(金)14:07頃、鳥取県中部を震源とする地震(速報M6.6)が発生し、倉吉市葵町、湯梨浜町龍島、北栄町土下で震度6弱を観測しました。巷で話題の地震予測研究者や、有料地震予測サービスなどは、この地震を事前に予測できていたのでしょうか。以下にみてみましょう。

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まず、電子基準点の動きで地震を予測する、村井俊治・東京大学名誉教授らの地震科学探査機構(JESEA)はどうでしょうか。

鳥取県中部の地震M6.6の直前・10月19日に発行された、彼らの有料地震予測メルマガ『週刊MEGA地震予測』で発表された地震予測を、以下に示します(※右側の地図は、この予測領域を日本地図に描いてみたものです)。

   


…「鳥取県・島根県周辺」に、地震予測がでています。ですが、それ以外にも7カ所、日本のほとんど全国を網羅するように予測がでているのです。これでは、鳥取の地震を「ピタリ」と当てたとは到底いえず、むしろ下手な鉄砲が当たっただけのように見えます。

村井俊治氏らJESEAは、2014年の長野県北部の地震(神城断層地震)や、2016年の熊本地震を、いずれも見逃し(事前に予測できず)してしまい批判を浴びたため、見逃しを恐れるあまりに、極端に予測を乱発する傾向があるようです。上の地図のように日本中を網羅する予測を、もう2年くらいずっと出し続けているのです。これでは、地震「予測」としては、ほとんど用を為していないように思います。


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次に、電波の伝播異常などで地震を予測している、地震解析ラボはどうでしょうか。携帯電話用の無料アプリで概要を知ることができるのですが、鳥取県中部の地震M6.6の直前・10月20日に発表された彼らの地震予測は、以下のとおりです。

   


鳥取は完全にノーマークです。鳥取に近いのは伊予灘~日向灘にかけての予測ですが、予測規模はいずれも「M4.0以上(M6.0未満)」で、鳥取県で発生した地震の規模M6.6とは大きく違います。

なお地震解析ラボは、熊本地震の直前にも、ほとんど全く同じ伊予灘~日向灘に地震予測を出していて、熊本地震を予測したのだと主張しました。ほぼ同じ予測で、今度は鳥取を予測したと主張するのは、さすがに許されないでしょう。


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それでは、長尾年恭・東大名誉教授ら地下気象研究所(DuMA)の、「地下天気図」(地震活動の消長で地震を予測する)による地震予測はどうでしょうか。

彼らが発行する有料ニュースレターのサマリーをひととおり見ましても、鳥取に対する言及はないようです。公開されているもののうちでは、鳥取に最も近い領域に言及した地震予測は、以下のものだと思われます(2016年7月25日に発行されたニュースレターより)。

   

岡山南部~香川県に注意を呼び掛けている領域(青色)がありますが、鳥取からは大きく離れていますので、鳥取での地震を予測できたとは言えなさそうです。


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木村政昭・琉球大名誉教授による地震予測でも、以下のとおり、鳥取周辺は全くのノーマークでした(木村政昭ホームページより。ただし木村氏の場合は、M6台の地震は予測範囲外かもしれません)。

   


そのほか、地震解析ラボから分離独立した、早川正士・電気通信大学名誉教授も、鳥取周辺に対する特段の地震予測は何ら発表していません。串田嘉男氏も、事前に鳥取には地震予測を発表していません。

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以上のとおり、鳥取県中部での地震をピタリと言い当てたと言える研究者や有料予測サービスは、見当らないようです。

※ 率直に言うと、M6.6(Mw6.2)程度の今回の地震では、「規模が小さ過ぎて予測できなかった」と言えば良いように思います。ですが、もうすでに、上述した方々のうちの一部が「予測していた」と主張しているようですので、今回の記事を書いてみた次第です。

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2016年10月21日(金)14:07頃 鳥取県中部を震源とする地震

2016年10月21日 | 地震情報
2016年10月21日(金)14:07頃、鳥取県中部を震源とする地震(速報M6.6、深さ10km)が発生しました。

倉吉市葵町、湯梨浜町龍島、北栄町土下で震度6弱を観測しています。


(気象庁地震情報)


2015年10月以来、群発的に地震が続いていた場所で、2時間ほど前の12:12にもM4.2の地震がありました。発震機構は、西北西→←東南東の圧力の横ずれ断層型のようです。


(気象庁HPの図より作成)


震源は、下の図の青矢印付近です(東大地震研「一般共同研究・中国地方の第四紀火山の深部比抵抗構造に関する研究」1977/1~2001/1の震央分布図)。
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この図をみますと、1943年の鳥取地震(M7.2)の震源域の西の端のようにも見えますが、今回の地震の発生前後における鳥取中部の震源分布をみますと北北西ー南南東に震源が並んでおり、鳥取地震の震源断層とはほぼ直行する別の断層が震源断層であることが示唆されます。


(防災科研 http://www.hinet.bosai.go.jp/hypomap/?LANG=ja)

このように、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)と大山をはさんで平行な断層が鳥取県中部にあって、それが2000年の地震と同じ方向(左横ずれ)にずれたことによる地震であったように思われます。
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2016年9月26日 14時20分頃 沖縄本島近海を震源地とする地震

2016年09月26日 | 地震情報
2016年9月26日(月)14時20分頃、沖縄本島近海を震源地とする地震(速報M5.7)が発生しました。

震源の深さは約40km、知名町瀬利覚で震度5弱を観測しています(計測震度は4.9のようです)。


(気象庁地震情報)


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発震機構は、北西→←南東の圧力軸を持つ逆断層型のようです。震源の深さと、圧力軸の方向からみて、沈み込むフィリピン海プレートの上面で起きた、プレート境界型地震かもしれません。


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今回の震源、沖永良部島付近の深さ40~50kmは、最近だけでも2007/4/21のM5.7、2008/7/8のM6.1、2014/10/22のM5.6等、非常にコンスタントに地震が起きる場所です。まったく珍しくない地震と言えるでしょう。

2008/7/8のM6.1では、知名町ではなく与論町で震度5弱を観測しています。
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村井俊治氏らの『MEGA地震予測』は、デタラメだらけ

2016年08月01日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
電子基準点のデータを使い、『週刊MEGA地震予測』および『nexi地震予測』という有料の地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。 2016年8月1日発売の『週刊ポスト』では、南関東に大地震が起きると警告しています。

  MEGA地震予測 南関東が初の最高警戒レベル5へ(週刊ポスト)
  http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160801-00000005-pseven-soci


この記事のなかで、村井俊治氏らは、南関東が危険だと予測する根拠として、以下のように言っています。

(1)6月後半から伊豆半島、伊豆諸島を中心に天城湯ヶ島7.08センチ、三宅8.59センチと、7センチを超える大きな変動が続いている

(2)長期的な隆起・沈降のデータでも伊豆諸島の三宅島が隆起している一方、近くの式根島と神津島は沈降し、その高低差は拡大を続けている。境目には相当な歪みが溜まっている

(3)「水平方向の動き」でも、伊豆諸島の大島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島などがそれぞれ別々の方向に動いており、複数の場所で歪みが蓄積されている


…しかしながら、これらの主張は、まったくのデタラメです。このようなデタラメによる地震予測を信じないようにご注意下さい。以下に説明します。



 ■ ただのノイズを地殻変動だと勘違いしている(偽っている)

上記した(1)で、村井氏は「天城湯ヶ島7.08センチ、三宅8.59センチと、7センチを超える大きな変動」と言っています。では、実際のデータを見てみましょう。天城湯ヶ島の電子基準点の座標値(高さ方向)の変動です(出典:国土地理院)。

  

村井俊治氏は、赤矢印で示した値の上下を「異常」と指摘していますが、まずこんなのはいつものことなのです。青矢印で示しましたが、昨年も同じような(むしろもっと大きな)変動があったことが分かります。昨年、この変動のあとで、南関東で大地震が起きましたか? 起きてませんよね?

このような短期的な高さ方向の変動は、ただのノイズです。GPSに代表されるGNSS測位では、高さ方向は大きな誤差が残ってしまうのです。大気中の水蒸気量などの影響で、数センチの値の乱れは日常茶飯事です。村井氏は、このようなノイズ変動を取り上げて、「地殻変動だ」「地震の前兆だ」と騒いでいるに過ぎません。実に低レベルです。

このグラフで見られる変動が実際に起こったとすると、ある日に地面が急に4センチも沈降し、次の日には8センチも急上昇したことになります。そんな変動があれば、すでに大地震が起きているはずです。地震も何も起こさずにこのような変動が起きたという荒唐無稽な彼らの主張は、信じないようにしましょう。



 ■ 三宅島の地殻変動についても総合的な判断ができていない

また、上記(2)では、村井氏は「三宅島が隆起しているが、隣の式根島と神津島は沈降していて、歪みが溜まっているので大地震が起きる」と言っています。

ですが、これは三宅島に前々から見られている、火山活動に起因する地殻変動の結果にすぎません。詳しくは、三宅島についての気象庁の資料をご覧ください。

「三宅島の火山活動解説資料(平成 28 年6月)」気象庁(PDF)
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/monthly_v-act_doc/tokyo/16m06/320_16m06.pdf

つまり、三宅火山でマグマの移動によると思われる隆起が、ずっと以前から観測されているというだけなのです。当然、相対的に、周囲の観測点とは高さ方向の差が生じます。ですが、だからと言って、そこで歪みが溜まって大地震が起きると主張するのはナンセンスです。ある火山でマグマが上昇してきて隆起がみられることは、よくあります(噴火に至らないケースも多い)。ですが、そんなとき、ほとんどの場合、その火山のまわりで大地震などは起きません。



 ■ 地殻変動についての知識がまったくない

きわめつけは、上記した(3)です。大島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島が、それぞれ別の方向に動いていると主張されています。ですが、国土地理院のサイトで参照できる、この1年間の地殻変動(水平方向)を見ますと、以下のとおり、そんな事実は全くありません

  

実は、地表面はプレート運動にともなって各点が動いているので、絶対的な基準点というものはありません。便宜上、ある点を固定点として、そこからの相対的な運動をみるしかないのです。以上の図は、福井県の越前を固定点にとったものですが、固定点を適当にとれば、任意の各点が別方向に動いているように見せることができるのです。村井氏らは、おそらく国土地理院から取得した数字をそのまま使って、たまたま伊豆諸島の各点がバラバラに動いているように見えたのでしょう。プレート運動による動きをより現実に即して見られるよう、海溝から遠い固定点をとれば、上図のように伊豆諸島の各点は同じ方向に動いています。

いずれにしても、「大島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島が、それぞれ別の方向に動いている」という主張は噴飯ものであり、地殻変動の観測についての知識を、彼らが全く持ち合わせていないことを如実に表しています


 ■

…以上のとおり、村井俊治氏らJESEAによる『週刊MEGA地震予測』は、とても科学的に正しい内容であるとは言えない、ハッキリ言って低レベルの子供騙しのような代物です。このような情報を、真に受けないでください。伊豆半島や伊豆諸島が、特別に危険であると言う事実はありません。もちろん、日本中どの場所にも地震の危険がありますので注意は必要ですが、そうした認識を持ったうえで、伊豆方面にも伊豆諸島にも気にせず出掛けて頂きたいと思います。

最後に、村井氏らの『週刊MEGA地震予測』は、今年4月の熊本地震を全く予測できなかったことも、付け加えておきます。
村井俊治・東大名誉教授は、2016年熊本地震(最大震度7)を、全く予測できませんでした



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