防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

道路アスファルトの補修

2010年03月24日 | 維持管理の時代
この時期例年道路工事がたけなわです。自宅のすぐ前でも補修をしておりました。補修工法としては

①打換え工法
  既設舗装の路盤もしくは路盤の一部までを打換える工法で、状況により(路面のたわみが大きい場合、ひび割れの程度が大きい場合など)路床の入れ替え、路床の安定処理を行うこともある。

②表層・基層打ち換え工法
③わだち部オーバレイ工法
  既設舗装のわだち掘れ部のみを過熱アスファルト混合物で舗装する工法で、主に磨耗によってすりへった部分を補うものであり、流動によって生じたわだち掘れには適さない。

④路上表層再生工法
  現位置において、既設アスファルト混合層の加熱、かきほぐしを行い、これに必要に応じて新規アスファルト混合物や再生用添加材料を加えて混合した上で敷均し、締め固めて再生表層を構築する方法

⑤オーバレイ工法
  既設舗装の上に厚さ3センチ以上の加熱アスファルト混合物層を補設する工法で、局部的な不良箇所が含まれる場合、局部打ち換え等を行ってから実施する。

 私が千葉県の地すべり防止区域でみたのは、陥没といってもいい三日月状のひび割れで、打ち換え工法が行われていました。近くには集水井もあったのですが、ライナープレートの最上部から水が出ていたので、地下水位が高いままです。道路の変状ひとつとっても総合的な対策が必要です。

地質リスク学会

2010年02月01日 | 維持管理の時代

全地連のホームページを見たら、地質リスク学会設立というニュースがありました。
http://www.zenchiren.or.jp/ 全国地質調査業協会連合会

まず、ワンクリックすると
http://www.zenchiren.or.jp/pdf/georisk0119.pdf 
本学会は、Web サイト上に構築した"バーチャル学会"として活動を開始します。実務者、
さらには一般の方々も相談したいとき、気軽に立ち寄っていただけるバーチャルサロンと
しての役割を担うことを目指しています。

つぎに、案内されているURLをクリックすると
http://www.georisk.jp/ 地質リスク学会

 日本の公共事業の地質リスクマネジメントは大きな転換期を迎えています。

 「『最小限』の地質調査-標準的な設計-施工時の設計変更」という旧来の地質への対応方法は、多くの建設事業実施が求められていた「右肩上り」の時代には有効でした。ただし、施工時の設計変更による公共工事費の大幅な増加は、決して好ましいことではありません。国民や納税者が、「建設業界は、その機に乗じて過剰な利益を得ているのではないか」、との疑念を抱くようになったからです。

 この疑念を払しょくするための方策を様々な視点から多くの方々と共に、検討を続けてまいりました。その結果、地質リスクを「地質に係わる事業リスクと定義し、具体的には事業コスト損失そのものとその要因の不確実性をさす」と捉えた上で、(1) 地質調査を含む地質リスクマネジメントの価値の計量化、(2) 全てのリスク要因を抽出し、適宜それらの回避・低減などを図っていく新しいリスクマネジメントプロセス手法の構築・実施、(3) 国民・納税者への説明責任を果たすために(1)、(2)を発注者の側に立って実施・支援する地質技術顧問という職能の確立、が必要ではないかとの仮説を得るに至りました。

 今回、この新しい地質リスクマネジメントの仮説の検証・確立・普及を目指して、地質リスク学会を設立いたしました。

 地質リスクのマネジメントとは、自然、並びに、先人、現在地元に住む人々、そして未来の子供たちの「くらしの地層」の上に、構想、調査、計画、設計、施工、維持管理、廃棄という「事業執行の地層」を丁寧に折り重ねていく過程と解釈できるのではないでしょうか。地質リスク学では、事業執行者はもちろん、自然、先人、地元の人々や未来の子どもたちの小さな声をお互いに聴き合い、感じ合い、責任を創り合い、活かし合うことを大切にしていきたいと考えています。

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国民や納税者が、「建設業界は、その機に乗じて過剰な利益を得ているのではないか」、との疑念を抱くようになったからです

過剰な利益を得ていたとは思いませんが、NOと言えばない雰囲気があったんでしょうか。いずれによ事業ベースだと、ちょっと一般化とは違うと思います。


重要なファクターではない?

2010年01月28日 | 維持管理の時代
今日のテレ朝のスーパーモーニングで、「地すべり災害を招くダム」という特集をやってました。前原大臣のコメントとして、「地すべりはダム事業を中止する重要なファクターではないけれども、懸念はされるところで、、、、」というコメントがありました。バイオントダムの例を挙げるまでもなく、地すべりはダムの運命を左右するとても重要なファクターだと思いますが、不確実性をはらむ地盤問題よりも、明日の予算計上という、ちょっと近視眼的なものを感じてしまいます。

奥西先生の鑑定書
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/ikensho/ikensho_okunishi.pdf
八ッ場ダム計画についてはすでに、潜在的な危険斜面22 箇所について調査をしており,それ以上の斜面について調査と対策をするのは過重な負担であるとの意見が出るかもしれないが,これは見当違いである。前述のように八ッ場ダムの湛水域には多くの地すべり指定地・地すべり危険箇所があることは知られており,調査検討すべき斜面の数はその数倍以上にのぼるであろうことは経験上確かであるから,それを覚悟した上でダム着工の決定がなされたはずである(もしそうでなければ論外のことである)。それだけの数の斜面について調査検討し,対策することが過重な負担であると言うのなら,八ッ場ダムのダムサイトはダムを造るべき場所ではなかった,ということに過ぎない。

事業仕分け

2009年11月30日 | 維持管理の時代
連日マスコミをにぎわしている事業仕分け、パフォーマンスなのか、意義深いものなのか、、、
現場を見ずに(いや、診ずに)タイトルだけみてバッサバッサとやっているように見えます。
いちばん気になるのは、この平成も22年目に突入し、平成生まれの大卒も出ようかというこの時代になって、初めてこういう試みがなされていることです。
民間では月一、あるいは週一で工程会議でもやっていると思うのですが、国もそのように出来ないことはないでしょう。あと増やすべきこと、目指すべきものをはっきりしてほしいですね。

ダムに関するふたつにニュース

2009年10月29日 | 維持管理の時代

いまのご時勢ダムに関するニュースがケンケンガクガクですが、報道される範囲ではあまり注目されていない、土砂移動との関連で、興味深いニュースにふたつ気づきました。

治山ダム撤去 自然再生試み注目
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000000910270001
 重機の先につけられた鋼鉄のつめが、ダムのコンクリート壁を崩していく。みなかみ町の赤谷川支流、茂倉沢で26日に始まった治山ダムの撤去作業。山や川に次々とつくられてきた治山ダムを撤去することで自然を再生しようとする全国でもほとんど例のない試みが始まった。
 ダムを撤去することで、それまで遮られていた上流と下流をつなぎ、魚や水生動物が行き来できる環境を取り戻すのがねらい。林野庁関東森林管理局と日本自然保護協会、地元住民らでつくる赤谷プロジェクト地域協議会が協議を重ね、ダムの撤去方法を検討してきた。
 ダムの撤去により山腹が崩れないように、幅28メートルのダムのうち両端は残し、中央部(8・6メートル)だけ撤去することにした。また、今回の試みでは、ダムの下流側に新たにコンクリートの壁(保全工)を設置する。ダムの撤去により急激な土砂の流出が起きた場合に備えることにした。防災と環境の両立に向け、万全の構えを取ることにしたという。撤去作業は1週間ほどで終わる。その後は、河原の土砂の変化や水生生物の状況を定期的に観察し、撤去による影響を調べることにしている。

予想以上の土砂堆積 長野県高瀬ダム 
http://news.livedoor.com/article/detail/1322909/
 長野県大町市を流れる信濃川源流の一つ高瀬川上流にある高瀬ダムの水力発電用ダム湖で、当初試算の約1.7倍のスピードで土砂が堆積(たいせき)し、その被害が拡大している。さらに、今春の歴史的な小雨と6月末の大雨の影響で山の斜面が広い面積にわたって崩壊し、土砂の堆積量はさらに増え続けている。このままでは、発電電力量が減るばかりか、洪水時のダム下流の水害や、登山道の埋没などが危惧(きぐ)されている。
 東京電力では、濁沢と不動沢に堆積した土砂を、トラックで搬出する作業を2002年から行っている。30台を駆使して1日7往復、年間15万立方メートルの土砂を地元の骨材組合などに搬送している。これらの土砂は埋戻し土や、道路の路盤材料として利用されている。志村さんは「夏休みや紅葉の頃は観光客が多いので土砂の搬出はできません。もっと出したいのですが…」と頭を抱えている。


せめて自分の代だけでも - 斜面を守る -

2009年10月14日 | 維持管理の時代

先日千葉の地すべり調査で、住民の方が自宅裏山にフトンカゴ工を設置した理由を離してくださいました。なんでもその方が小さいころ(約40年前)、地すべりが発生したのでフトンカゴ工と排水ボーリングを設置したのだそうです。

この組み合わせはよく見かけるのですが、その方は”念のため”という言葉を使われました。そのときは、斜面にみかんの木やタブノキ、シイ等の照葉樹があって、人も住んでいて管理が行き届いていたため、目だった災害はそれ以降ないとおっしゃっていました。ただ、土地柄地すべりはとても多く、祖父の代から何回か家屋被害を伴う地すべりはどうしてもあるとのことですが。

いまは、人も住んでいないし、かつて家があったところは私の体が入らないくらいの竹やぶになっています。竹やぶの下に家を作ってはいけないとは先日書きました。竹の動きを地すべりの挙動方向を示すセンサーとして代用を試みちた研究もあるくらいです。

高知大学 横山俊治山相学研究室

タケの傾きから地すべり変動を読む
Tilting bamboos indicate moving directions of the unstable landslide at Ichihara, Kobe City
http://yokoshun.goemonburo.com/Works/Proceeding/Proceeding_Murai_JSEGC2005.pdf
1998年9月の高知豪雨では,都市を取り巻く山地の山麓部で多くの地すべり災害が発生し,その災害発生箇所の1/3は竹林であったと報告されている※
。竹林と地すべり現象の因果関係の解明は不明であるが,今後,竹林の地すべりが都市域で発生する地すべり災害の典型となることも懸念されている※。傾動したタケは,こういった場所で発生する地すべりの地盤の傾動を的確に知るための有効な樹木センサーとなるものである。

※日浦啓全・有川 崇・ドゥラ ドゥルガ バハドゥール(2004):都市周辺山麓部の放置竹林の拡大にともなう土砂災害危険性.地すべり,Vol.41,No.4,323-334.


家族を守る斜面の知識 - あなたの家は大丈夫

2009年10月13日 | 維持管理の時代
がついに発売されました。

土木学会のサイト
http://www.jsce.or.jp/publication/detail/detail2386.htm

防災の第一線で活躍する専門家が最新の知見をわかりやすく解説。家族や資産を守るための知恵が詰まってなんと 945円

新書ですが、内容はとても充実しています。ひとつコラムを紹介しますと『千年盛土』というのがあります。千年盛土というのは、箇所だけ1000年にもわたって被害を受けていない盛土のことです(古墳です)。直下型地震である慶長伏見地震でも被災しませんでした。その秘密は?


地すべり防止工事士登録証を持っては行った

2009年10月09日 | 維持管理の時代

私は地すべり防止工事士の資格を持っており、その登録証も持っています。この資格を取ったときにもブログに書きましたが、登録証には『地すべり調査・工事・管理に就く時は、必ずこの登録証を携行すること』と書いてあります。今週は、地すべり危険区域の斜面及び防災施設の維持管理点検に来ていますから、携行しています。

ただ、顔写真つきのこの登録証を持ち歩くのであれば、もっと知名度がほしいところです。さらに言えば工事士ってのが少し引っかかります。ちょっと古風です。日本の棚田など美しい景観の形成に、地すべりは大きく関わっているのですから。
地質調査技士みたいに部門分けも必要なのかも知れません。

嗚呼、また雨が強くなってきました。


八ッ場ダムの戦い

2009年09月13日 | 維持管理の時代
TBS系列で放送される「噂の!東京マガジン」は、今日は八ッ場ダムの特集でした。止まらない無駄な公共事業の象徴として、あえてこのままの状態で放置しておけと極論をいう議員もいたとか。以下、アマゾンのレビューを転載します。

昭和27年初夏、なんの予告もなく突如やってきた建設省の1人の高官が、八ッ場ダムの建設計画を発表し、村全体が水没すると宣言する。一度は立ち消えになりながら、13年後の昭和40年に再び建設の話が持ち上がる。それからはいったん決定されたら止まらないダム行政との長く苦しい戦いである。

上級役人は民間人のいうことには耳を貸す気風はなかった。住民と官庁が同じテーブルに着くことはあっても、それは形式だけで、いつも前もって役所側がその考えや方針を決めてきて、会議はそれを押しつけるのが目的だった。

県庁の役人の人事は順送りでどんどん馬鹿が出てくると。旧態依然たる行政の枠内で国政が県政に下降し、役人に出来ることは、たかだか無難な順送りしかない。彼らは卑小な自分のメンツにこだわって、役人根性を丸出しにして、住民が自ら立ち上がって作った解決策をつぶす。

民間需要の喚起

2009年09月08日 | 維持管理の時代
民主党が政権をとって、マニフェストで掲げた財源を確保するために、公共事業・補正予算の見直しなど鼻息が荒いですね。まあ、その是非はともかくとして、どうころんでも公共事業は先細くなる運命なので、民間需要に本気にならなければいけない時期に来ています。

公共事業と民間需要との対応の仕方は、まるで正反対です。まだ未公表ですが、私の論文の挿入図を提示しておきます。

無駄の省き方

2009年08月30日 | 維持管理の時代

今日は衆議院選挙の投票日です。私は仕事のため期日前投票をしておきました。全党のマニフェストに掲げられているのは、無駄をなくすということです。

しかし、その意図はハコモノであるとか、新幹線・空港など、まずは形から議論が進んでいて、それがなぜ無駄なのか、無駄でない公共事業とはなんなのか、ということはあまり議論されません。

私に言わせれば、無駄を省くというのは現場の実情に応じた投資をすることなんです。特に防災にあたっては、既往最大実績であるとか100年や200年に一度であるとか、”大は小を兼ねる”発想で設計されていることが多い。しかし、その考え方をすべての現場にあてはめるから無駄が生じるのです。


東名高速の崩壊 - ”盛り土” -

2009年08月14日 | 維持管理の時代
報道ステーションを見ておりました。まず”もりつち”と呼んでいたのが意外でした。
豪雨後の地震と複合災害は”想定外”(ネクスコ中日本の人)
両脇に沢、尾根になっているところに盛土になっており、水の侵食が加わった可能性がある
日本工営 秦吉弥さん
Fキャスター (地球規模の気候の変化により)雨の降り方が明らかに変わってきた。専門の方(日本工営の秦さん)がおっしゃっていたように、危険度をまず調査して、弱いところから対策をする、これがひっじょーに重要です

簡単にいうよね~

鹿と土砂災害

2009年07月20日 | 維持管理の時代
だいぶ前に、日本の植生は今が一番良好な状態にある、といった論文を紹介したかと思いますが、渓流調査をしていると、とても不安になってきます。

もともと保水力の低い植林が多い上に、最近では管理されないので鹿やイノシシがさらに木を食い荒らし折れやすくなっているというのです。流木災害は、土砂をあらぬ方向に撒き散らしますから、とても心配な状況です。

天然芝と人工芝

2009年07月19日 | 維持管理の時代
噂の!東京マガジン という番組で、「校庭の人工芝化」について取り上げていました。私は福岡県の背振山系の花崗岩の土砂を敷き詰めた校庭で育ちましたから、こけるたびに石英や黒雲母をひざにたっぷりつけて、石英の白と黒雲母の黒と赤い血のまじったキズが絶えませんでした。

今日の番組では、天然芝はとにかく維持管理に手間ひまがかかるということがデメリットとして紹介されていました。しかし、これからは維持管理の時代ですし、自然は微妙なバランスから成り立っていることを教える意味からも、コストを負担と考えないで、未来への投資と考えることはできないものかと考えました。

地質の勉強会

2009年04月25日 | 維持管理の時代
今日は同業の技術者同士での勉強会があり、私も「防災対策施設の維持管理と今後の取り組み方」という内容で発表しました。地すべり対策施設が荒れ果てていることや、宅地の擁壁の老朽化などについて話しました。

維持管理が進まない一因として、それが防災施設であり、どのような役割を果たすべきものなのかということを説明しなければならないことを述べました。だいたい土石流危険渓流にしても、急傾斜地崩壊危険箇所、地すべり防止区域にしても、その区域と現在地を簡単に表示しているだけですから、なんのことだかわからないのが実状だと思います。

単に模式図だけでなく、アニメーションでもつくって、親近感のある絵でも描いてみましょうか。

地質技術の勘所は(勘所というのも古い言い方ですが、ポイントだと心に響かないですよね)、限られた情報(露頭や転石など)から、地球の歴史を想像し、それに基づいて今後どうなるのかを定性的に予測するところにあるからです。