地震、台風、火事、交通事故、…  突然にやって来る災害にどう備えるのか

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都下直下地震発生! 倒壊した建物に閉じ込められた人たちの救出は誰がするのか

2017-03-13 | 地震防災談話室
東日本大震災から6年たったが、日本列島では、昨年も4月の熊本地震(M6.5、M7.3)に続いて、10月の鳥取地震(M6.6)、11月には津波を伴う福島県沖地震(M7.4)が起きた。先月28日にも同じ福島県沖を震源とする震度5弱の地震が起きるなど、このところ各地で震度5~6級の地震が相次いでいる。

「都政新報」(3月10日)の「5万7千人の生き埋め者を生存救出できるのか」の記事が目についた。東京都政策企画局(防災)計画担当課長の上村淳司氏の寄稿によるもので、都の被害想定によると首都直下地震(冬の夕方、東京湾北部M7.3)の発生による建物倒壊で約5万7000人が閉じ込められ生き埋めになるという。生存救出のタイムリミットは一般に72時間といわれ、ガレキに挟まれ瀕死の重傷者などもいて救出は一刻を争うことになる。
氏の救出シミュレーションによると、一人の救出に6時間かかり、情報収集から救出者の医療機関等への搬送などを含めると15人のマンパワーが必要になる。災害発生直後に消防や警察が駆け付けるためには14万人のマンパワーがなければ5万7000人の救出救助は困難になるという。
国は自衛隊のほか、全国からの警察・消防の応援部隊の投入などを計画しているが、余震が続き、災害現場は建物倒壊や道路損壊、火災が発生し、車や逃げ惑う避難者らで混乱している中で、迅速な救出救助活動がどこまでできるかは疑問が残る。

地震災害では、延焼火災などもあり生き埋め者の生存率は急激に下がるといわれ迅速な救出救助が必要になる。
氏は、自治体職員は災害発生と同時に各自治体の地域防災計画や災害対応マニュアルによる業務が待ち構えているが、これらを一時脇へ置いてでも救出救助活動に加わり「人命救助」を最優先に行動すべきではないかと訴えている。

 ●自治体職員の率先行動と住民共助を
阪神・淡路大震災(1995年、M7.3)では、発災直後の地域の被害情報が収集できずに県知事による自衛隊の派遣要請が遅れ救助活動に手間取るなどして、6400人余りの犠牲者を出した。
長野県北部地震(2014年11月、M6.7)に襲われた白馬村と小谷村周辺では、住宅99棟が全半壊しけが人が出たが死者はいなかった。建物の下敷きになり、また、落下物に挟まれて身動きできない人を近所の人や建設会社のフォークリフトで屋根を持ち上げて救助したという。

救助活動に欠かせないのは、閉じ込められた人がどこにいるかの被害情報の共有である。
災害発生時に住民の救助・救援拠点になる自治体にとって一番に求められるのは地域住民の安否などの被害情報の収集である。地域の被害情報は警察や消防、自治会などからの通報のほか、住民からの電話や携帯メールによる救助要請など住民参加型の情報連絡を待つことになる。しかし、道路や通信回線の不通のほか、住民が被災して被害情報を連絡できない場合もあり、住民からの網羅的な被害情報の収集には限界がある。
自治体によっては、職員による徒歩やオフロードバイクによる巡回目視調査や赤外線暗視カメラ搭載のドローンを飛ばすなど様々な試みが計画されているが、ここでは自治体職員と地域住民が一体になっての対応が求められることになる。

建物倒壊現場のガレキの中で被災者の救出活動に当たっている警察や消防、地元の消防団に混じってショベルローダーでガレキ撤去を行っているのを見たことがある。東日本大震災の時に、重機メーカーがショベルローダーの提供を申し出たことがあった。最近の土木建設機械にはGPSが搭載されていてその所在はいつでもわかり、災害現場での救助活動に協力できるという。自治体からの声掛けで強力な助っ人になれる。
交通機関がストップして会社などに待機している帰宅困難者はマンパワーとしての協力が期待できる。私たち地域住民も、近隣での救助活動に備えて、ヘルメットや軍手、ヘッドランプ、バールなどを用意し、自家用車用ジャッキを使えるように日頃から訓練をしておきたい。

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