地震、台風、火事、交通事故、…  突然にやって来る災害にどう備えるのか

日々の暮らしの中で、経験と知恵を生かして
自分のいのちは自分で守ろう!

震災の復興に欠かせない“住民の暮らしを守る地方鉄道”

2015-03-31 | 地震防災談話室
東日本大震災から4年経って、被災地の復興状況を見学がてら訪ね、地域の人たちから津波対策について聞きたいと思った。宮城県から岩手県にかけての津波被害がとくにひどかった地域を中心に太平洋沿岸を数日かけて、路線バスや三陸鉄道を乗り継いで北上するつもりでいた。
現地の観光案内所や役場に交通事情などを尋ねると、走る車窓から沿岸の景色をただ眺めるだけでなく、被災地を何か所か訪ねるとなると路線バスは本数も少なく停留所から離れていて大変との返事。東京からマイカーで来るか、新幹線の最寄り駅からレンターカーの利用をすすめられた。
津波で線路が流されるなどして大きな被害が出た三陸鉄道の北・南リアス線はともに去年4月に全線で運行を再開している。宮城県のJR石巻線もこの3月21日に最後の不通区間(浦宿―女川間)がつながり、終点の女川駅駅舎も洒落た建物に生まれ変わった。
仮設住宅などを訪ねる政治家諸氏や震災直後に支援活動にあたったボランティアの若い人たちが再びやってきて地域の人たちと交流し談笑する様子をテレビで見ていて、復興がかなり進んでいるなと錯覚していた。
彼らの多くは東京や仙台からの直通バスや貸し切りの乗用車などで直接現地入りしており、交通機関一つとっても復興は遅れている。復旧半ばの鉄道や代替バス(BRT)などを乗り継いでの被災地への訪問は時間がかかってまだ大変なことがわかった。

 ●急がれる被災地の地方鉄道の復旧
震災以降、津波の被害で運休になり、放置されたままになっていた岩手県のJR山田線(宮古―釜石間55.4km)は、その運行を県の第三セクター「三陸鉄道」に引き継ぐことでこのほど合意して、ようやく復旧工事が始まったばかりだ。
宮城県のJR仙石線や気仙沼線などは一部で運休や代替バス(BRT)による運行が続いていて本格的復旧は先になるという。
こうした復旧の遅れの理由として、沿線の人口流出による鉄道利用者の減少などがあげられているが、地域の生活の足としてこれまで鉄道を利用していた通学の高校生や病院通いや買い物に出かけるお年寄りには、鉄道の長引く運休は更なる不便を強いることになる。

 ●地方鉄道の活性化を地方創生の柱の一つに
地方鉄道は、沿線で暮らす人たちの心の支えで、人々の生活と地域経済の要である。環境負荷も少なく、定まった時間に多くの人を高速で輸送することができ、バスでは代替できない交通機関である。特に、東日本大震災による津波で多くを失った被災地にとっては、地方鉄道の役割は大きく、その復旧によって震災で疲弊した地域の活性化を果たし、沿線人口の減少や少子高齢化に歯止めをかけるきっかけになると思う。
国は、地方鉄道に対して様々な支援策を講じているが、地域と一体となって、地方鉄道の意義と役割を再認識し、その維持と活性化を地方創生事業の柱の一つとして考えてほしい。

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地震・津波災害への備えは “どんな被害”が起きるのか想定して対策を

2015-03-15 | 地震防災談話室
東日本大震災から4年経った。大津波に襲われた東北の太平洋沿岸は今どうなっているのか。沿岸住民の高台移転や防潮堤建設。仮設住宅での人々の暮らしは…。福島の原発事故で故郷を追われた人たちはいつになったら帰宅することができるのか。遅れている災害復興事業。新聞やテレビが連日、震災関連の特集記事や企画番組を伝えていた。

“災害は忘れたころにやって来る”といわれているが、次の大地震はいつ、列島のどこを襲うのか。予告なしに突然に襲い掛かる激しい地震の揺れや大津波からいのちを守り被害を最小限にとどめるために、建物の耐震補強や家具の転倒防止、津波避難路の確保など災害への備えはできているのか。

 ●家具などの転倒防止は 建物が低層階か高層階かで揺れ方が違うので状況をよく見極めてから
各種調査によると、家庭や職場で地震の激しい揺れで家具やロッカーなどが倒れないようにと転倒防止策を講じている人は、まだ半数にとどまっているという。テレビ番組などを見ていると、首をかしげたくなるような“転倒防止”をしている人がかなりいて大地震が起きたらと不安になる。

大きな地震が起きると戸建て住宅など低層階の建物はガタガタ、ゆさゆさと比較的小刻みな強い揺れに襲われ、一方、高層階のマンションやビルはゆっくりと大きく揺れ、免震構造などの建物では揺れ方が違ってくる。このため、低層階の場合は、家具やロッカーなどの転倒防止とテレビや棚からの物の落下防止策が必要になる。高層階の場合は、家具などの転倒防止のほかに、テーブルやソファーが動き回るので固定して置かないと危険だ。

家具などの転倒防止に使われる「突っ張り棒」は天井がへこむような場合は天井に補助板をしっかりかませる必要がある。また、「突っ張り棒」は家具の手前側ではなく奥の壁際に設置しないとすぐはずれて効果がない。
家具をL金具などでとめるときは壁が石膏ボードやコンクリートの場合は特殊なネジ釘を使うか、或は、壁裏側の木部をさがしてビスでとめ固定しないと外れるので注意がいる。(木部はハンマーでたたくと固い音がするのでわかる)。
食器棚などは茶碗やコップが飛び出すので扉の留め金を忘れないように。
地震の揺れで部屋の状況がどのようになるのかを想定したうえで、防災関係者などの専門家に相談して転倒防止をしてほしい。

 ●津波避難などでの車の利用は事前の十分な検討準備を
東日本大震災では車で避難して渋滞に巻き込まれ避難できずに多くの方が亡くなっている。
渋滞に巻き込まれなくても、地震で道路が損壊したり障害物で塞がれたりすると通れなくなる恐れがある。最悪の事態を考えておく必要がある。
津波の恐れのある沿岸部では、お年寄りや病人、幼い子どものいる家庭では車での避難を考えている人が多いと思うが、身近な避難場所を確保することを事前に地域で協力して探しておいてほしい。そして、地震が起きて津波警報が出てから避難するかどうかを決めるのではなく、地震を感じたら小さな揺れでもすぐに避難することを考えて普段の準備をしておきたい。

地域によっては防災館や移動式起震台で地震の揺れを体験し転倒防止の仕方を学ぶことができる。自治体や消防などの防災機関に尋ねてご家族や職場での体験学習をおすすめする。


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