東日本大震災から4年経って、被災地の復興状況を見学がてら訪ね、地域の人たちから津波対策について聞きたいと思った。宮城県から岩手県にかけての津波被害がとくにひどかった地域を中心に太平洋沿岸を数日かけて、路線バスや三陸鉄道を乗り継いで北上するつもりでいた。
現地の観光案内所や役場に交通事情などを尋ねると、走る車窓から沿岸の景色をただ眺めるだけでなく、被災地を何か所か訪ねるとなると路線バスは本数も少なく停留所から離れていて大変との返事。東京からマイカーで来るか、新幹線の最寄り駅からレンターカーの利用をすすめられた。
津波で線路が流されるなどして大きな被害が出た三陸鉄道の北・南リアス線はともに去年4月に全線で運行を再開している。宮城県のJR石巻線もこの3月21日に最後の不通区間(浦宿―女川間)がつながり、終点の女川駅駅舎も洒落た建物に生まれ変わった。
仮設住宅などを訪ねる政治家諸氏や震災直後に支援活動にあたったボランティアの若い人たちが再びやってきて地域の人たちと交流し談笑する様子をテレビで見ていて、復興がかなり進んでいるなと錯覚していた。
彼らの多くは東京や仙台からの直通バスや貸し切りの乗用車などで直接現地入りしており、交通機関一つとっても復興は遅れている。復旧半ばの鉄道や代替バス(BRT)などを乗り継いでの被災地への訪問は時間がかかってまだ大変なことがわかった。
●急がれる被災地の地方鉄道の復旧
震災以降、津波の被害で運休になり、放置されたままになっていた岩手県のJR山田線(宮古―釜石間55.4km)は、その運行を県の第三セクター「三陸鉄道」に引き継ぐことでこのほど合意して、ようやく復旧工事が始まったばかりだ。
宮城県のJR仙石線や気仙沼線などは一部で運休や代替バス(BRT)による運行が続いていて本格的復旧は先になるという。
こうした復旧の遅れの理由として、沿線の人口流出による鉄道利用者の減少などがあげられているが、地域の生活の足としてこれまで鉄道を利用していた通学の高校生や病院通いや買い物に出かけるお年寄りには、鉄道の長引く運休は更なる不便を強いることになる。
●地方鉄道の活性化を地方創生の柱の一つに
地方鉄道は、沿線で暮らす人たちの心の支えで、人々の生活と地域経済の要である。環境負荷も少なく、定まった時間に多くの人を高速で輸送することができ、バスでは代替できない交通機関である。特に、東日本大震災による津波で多くを失った被災地にとっては、地方鉄道の役割は大きく、その復旧によって震災で疲弊した地域の活性化を果たし、沿線人口の減少や少子高齢化に歯止めをかけるきっかけになると思う。
国は、地方鉄道に対して様々な支援策を講じているが、地域と一体となって、地方鉄道の意義と役割を再認識し、その維持と活性化を地方創生事業の柱の一つとして考えてほしい。
copyright reserved地域減災システム研究所2015
現地の観光案内所や役場に交通事情などを尋ねると、走る車窓から沿岸の景色をただ眺めるだけでなく、被災地を何か所か訪ねるとなると路線バスは本数も少なく停留所から離れていて大変との返事。東京からマイカーで来るか、新幹線の最寄り駅からレンターカーの利用をすすめられた。
津波で線路が流されるなどして大きな被害が出た三陸鉄道の北・南リアス線はともに去年4月に全線で運行を再開している。宮城県のJR石巻線もこの3月21日に最後の不通区間(浦宿―女川間)がつながり、終点の女川駅駅舎も洒落た建物に生まれ変わった。
仮設住宅などを訪ねる政治家諸氏や震災直後に支援活動にあたったボランティアの若い人たちが再びやってきて地域の人たちと交流し談笑する様子をテレビで見ていて、復興がかなり進んでいるなと錯覚していた。
彼らの多くは東京や仙台からの直通バスや貸し切りの乗用車などで直接現地入りしており、交通機関一つとっても復興は遅れている。復旧半ばの鉄道や代替バス(BRT)などを乗り継いでの被災地への訪問は時間がかかってまだ大変なことがわかった。
●急がれる被災地の地方鉄道の復旧
震災以降、津波の被害で運休になり、放置されたままになっていた岩手県のJR山田線(宮古―釜石間55.4km)は、その運行を県の第三セクター「三陸鉄道」に引き継ぐことでこのほど合意して、ようやく復旧工事が始まったばかりだ。
宮城県のJR仙石線や気仙沼線などは一部で運休や代替バス(BRT)による運行が続いていて本格的復旧は先になるという。
こうした復旧の遅れの理由として、沿線の人口流出による鉄道利用者の減少などがあげられているが、地域の生活の足としてこれまで鉄道を利用していた通学の高校生や病院通いや買い物に出かけるお年寄りには、鉄道の長引く運休は更なる不便を強いることになる。
●地方鉄道の活性化を地方創生の柱の一つに
地方鉄道は、沿線で暮らす人たちの心の支えで、人々の生活と地域経済の要である。環境負荷も少なく、定まった時間に多くの人を高速で輸送することができ、バスでは代替できない交通機関である。特に、東日本大震災による津波で多くを失った被災地にとっては、地方鉄道の役割は大きく、その復旧によって震災で疲弊した地域の活性化を果たし、沿線人口の減少や少子高齢化に歯止めをかけるきっかけになると思う。
国は、地方鉄道に対して様々な支援策を講じているが、地域と一体となって、地方鉄道の意義と役割を再認識し、その維持と活性化を地方創生事業の柱の一つとして考えてほしい。
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