地震、台風、火事、交通事故、…  突然にやって来る災害にどう備えるのか

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減災事始め つながらない携帯電話

2012-10-29 | 地震防災談話室
情報化時代の身近な情報伝達手段として便利な携帯電話も、市街地を少し離れると携帯電話会社によっては基地局の設置が遅れていて、「圏外」のマークが出てつながらないケースがまだかなりある。
今月13日に、オフロードバイク大会(エンデューロレース)観戦のため東京都の三宅島に出かけたとき、携帯電話が島の街中でもつながらず、筆者の携帯の該当基地局がないことがわかった。公衆電話で連絡をと案内地図をたよりに港まで出かけてみたが公衆電話ボックスは閉鎖されていた。一時間程歩いたところで道路わきに公衆電話を見つけたものの、今度は長い間使われていなかったためか番号のボタンが腐食していて戻らず使用不能。以前に八ヶ岳山麓でも友人のドコモとauは通じるが、筆者のソフトバンクの携帯が「圏外」で悔しい思いをしたことがある。

総務省によると、携帯電話は、国内ではスマートフォンの後押しもあってPHSを含め、すでに1億3000万台を超え、通話エリアは99.9%に達しているという。通話エリアは、市区町村役場付近で利用可能であれば当該市区町村でカバーされているとみなすとの説明で、実際には郊外に出れば「圏外」でつながらない不感地帯が広がっている。
人口の少ない中山間地域には、国も補助金を出して普及に努めているというが、携帯電話サービスが一社も提供されていない地域がまだある。
通話エリアにある都市部でも、ビルの中や地下街、電車内などで通話ができるようになった一方で、超高層マンションの高層階や建物が密集しているビル街、船舶内などで電波の「干渉」や「遮蔽」が原因で通信ができない状態が起きている。
携帯電話はいまや外出時の普段の連絡のほか、事件・事故が発生した際や災害時の緊急連絡、救急要請など国民の安心・安全を守るために欠かせない。つながらない携帯電話の解消について、もう一歩踏み込んでの対策が必要である。

 ●災害時の連絡手段は
東日本大震災のあと、国と東京都は首都直下地震が発生した際の帰宅困難者対策として、外出している市民や事業者に対して、混乱と危険防止のため安全が確認されるまで徒歩帰宅などむやみに移動をしないように「一斉帰宅の抑制」を求めている。通勤・通学者や買い物客などの外出者に対して職場や、学校などの公共施設にしばらく留まるよう呼びかけ、受け入れ側の事業者には、3日分の食料や飲料水などの備蓄を求めている。
足止めされる外出者にとっての一番の気がかりは家族などの安否確認で、災害時に固定電話や携帯電話が停電や断線、輻輳、通信規制などで通話ができなくなると不安を増幅することになる。
頼りになる公衆電話も最近では街中で見つけるのが大変で、去年の震災の際に、都心の公衆電話の前には長い列ができなかなか利用できなかった。
通話によらない安否確認手段として、「災害用伝言ダイヤル171」や「携帯電話の災害用伝言板」、「web171」、「災害用音声お届けサービス」などがあるが、停電などで電話機やパソコンなどが使えないと利用できない。

国は、通信事業者に、災害時の通信機能が確保できるよう携帯電話基地局の無停電化や大ゾーン基地局の構築などを要請しているが時間がかかりそうだ。
帰宅困難者の一時待機場所として対応してもらえる事業所などでは衛星携帯電話を利用しているところもあり、これらの有効活用とともに、災害時だけに使える「特設公衆電話」の設置なども考えられる。
1995年の阪神・淡路大震災のとき、NHK文字放送の安否情報画面を外国で受信した方が名簿をパソコンに取り込んでネット配信し海外の人たちから感謝されたと聞いたことがある。こうした放送と通信の活用も場合によっては可能になる。

 ●連絡方法を決めておく
災害に備えての家族や勤め先との連絡方法をあらかじめ決めておくことは必要だ。
外出先で被災したとき、携帯電話が通じるのか、近くに公衆電話があるのかなどの状況によって家族や勤め先などへの連絡方法も違ってくる。都心から隣県の自宅に通信規制で電話がかからなくても九州や北海道の親戚、知人と通話ができるときは、親戚、知人に伝言を頼むこともできる。こうしたケースも踏まえて、互いの安否確認をどのようにしてとったらよいのかを最悪の事態を想定していくつか決めておくとよい。


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減災事始め 電車で高架や地下走行中に被災したら

2012-10-12 | 地震防災談話室
首都圏では鉄道の複々線化や新線開通などで高架化や地下鉄化が進んでいる。これら高架区間を走行中に地震などで電車が止まり、沿線火災が発生して危険が迫ったとき、また、地下鉄の線路が津波などで浸水してきたら、乗客はどこにどのようにして避難したらよいのだろうか。
車内の乗客は、事故や事件、災害など異常事態が発生して電車が止まると、乗務員の指示に従い行動することになっている。しかし、現実には、去年の東日本大震災の際に乗客が長時間、車内に待たされたり、ちょっとした事故などで電車が止まっても乗客に対してなかなか車掌さんの説明がなく車内でいらいらしたことのある方は多いと思う。
安全確認のために車内放送が多少遅れるのは我慢するとしても、大地震などが起きて電車が止まり火災や浸水の危険が迫っているときに、逃げ場のない高架の途中や地下鉄では、乗務員の不手際などにより避難指示が遅れると乗客の命取りになりかねない。
高架の線路からは、途中、地上に下りる避難路がないため、最寄りの駅までたどり着かないと安全な場所に避難することはできない。地下鉄も線路を歩きホームから階段を上がらないと地上には出ることはできない。
最近の、予想される地震・津波の見直しで、首都圏では、横浜の市営地下鉄のように浸水する恐れのある駅名を明らかにして乗客の避難誘導訓練に取り組んでいるところがあるもののこうした動きはまだ一部にとどまっている。

 ●車内からの脱出に座席の長椅子を利用
先月、神奈川県横須賀市で京急電車が豪雨で崩れた土砂にのりあげる事故が起きた際に、乗客も協力して座席の長椅子をはずしてハシゴの代わりに使ってドアーから外に脱出しているのをテレビで見た。
関東運輸局にたずねたところ、JRの車両のように脱出用ハシゴを車内に用意しているところもあるが、電車の長椅子は脱出用ハシゴとして簡単にはずして使えるようになっている。異常事態で車内から線路に降りて避難するときは、乗務員の指示に従って、「走行する列車」や「高圧電流が流れている架線」などの危険がないかどうか安全をよく確かめてから行動してほしいと注意していた。
普段通いなれた乗客でも途中で電車が止まるとどちらの駅が近いかわからない。沿線や駅周辺の被害情報も乗客の避難行動には欠かせない。乗客の携帯電話なども使えなくなると、乗務員による周辺情報に頼るしかない。鉄道各社には、駅や沿線状況についての踏み込んだ情報収集をお願いしたい。

 ●懐中電灯と手袋を用意
災害時には停電を覚悟しなければならない。線路には危険な架線が切れて垂れ下がっているかも知れないし、障害物もあり最寄りの駅まで歩くのは大変だ。懐中電灯と手袋は用意しておきたい。懐中電灯は呼子付の小さいものもある。
筆者はヘッドランプと軍手を常時、バックに入れて持ち歩いている。ヘッドランプはLED電球なので小型で長持ちしハンドフリーなので助かる。
電車に乗っていて自分が被災したらどんな状況に置かれるかをイメージして、自分流の「減災用品」を準備してみてはいかがだろうか。

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