地震、台風、火事、交通事故、…  突然にやって来る災害にどう備えるのか

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あなたの住まいのマンションや職場のビルは 長周期地震動による大揺れの心配は…

2015-12-19 | 地震防災談話室
内閣府の検討会が17日、報告書を発表し、南海トラフ巨大地震による長周期地震動が超高層ビル(高さ60㍍超)を大きく揺らすとして、居住者やビル管理会社に防災対策を呼びかけている。

大きな地震が起きると地震断層から「ガタガタ…」「ユサユサ…」と建物などを小刻みに揺らす周期の短い地震動 (周期0.2~1秒程度)とともに、ゆったりと揺れる周期の長い表面波と呼ばれる地震動(周期2~10秒程度)が出てくる。
すぐに弱まる短周期の地震動に比べて表面波はなかなか減衰せず、関東平野のような柔らかい堆積層では増幅されて揺れ続ける。
超高層ビルや石油タンク、橋梁、高速道路などの長大構造物はこの長周期地震動に共振して大きく揺れるので耐震対策などをしておかないと被害が出る恐れがある。

1964年の新潟地震や83年の日本海中部地震が起きたとき、長周期地震動による石油タンクのスロッシング(液体の共振)が原因で火災になり注目された。
2005年には千葉県北西部で起きたM6.0の地震で高層ビルが揺れて首都圏で約6万4000台のエレベーターが止まり閉じ込め騒ぎも起きた。
11年の東日本大震災のときに、東京都心の超高層ビル群が不気味に揺れ続けるのをご覧になった方も多いと思うが、震源から700km以上離れた大阪では、55階建ての大阪府庁の咲洲庁舎が約10分間にわたり大きく揺れ、最上階では最大3㍍近い揺れ幅となり建物の各所に被害が出た。

検討会の想定では、南海トラフの紀伊半島沖で最大クラス(M9)の地震が起きると、高さ200~300㍍の超高層ビルの最上階では、大阪市住之江区で最大6㍍の揺れ幅に、東京23区では2~3㍍の、また、名古屋市中村区では2㍍の揺れ幅が推定されるという。

 ●長周期地震動による揺れで中高層ビルも倒壊の被害
1985年にメキシコの太平洋沖でM8.1の大地震(ミチョアカン地震)が起きたとき、震源から350km離れた首都メキシコ市内に建っていた超高層ビルや低層ビルには被害はなかったものの、10数階建ての中高層マンションが周期2~3秒前後の長周期地震動に共振して大きく揺れ倒壊、多くの犠牲者が出た。

わが国では、長周期地震動対策として、東京スカイツリーのように建物の固有周期と地震動との共振による大きな揺れを避けるために徹底した耐震対策を取っているところもあるが、多くは、東日本大震災などを契機にして制震・免震装置を新たに取り付けるなど改修を急いでいるのが実情だという。

 ●床を走るソファーや机、コピー機が凶器に

超高層マンションやビルの高層階では建物が大きく揺れだすと人は立っていることも出来なくなる。本箱などの家具やロッカーが倒れるだけでなく、テレビが飛んできたり、ソファーや重いテーブルが動き出し、とくに職場では事務机やコピー機が凶器と化して走り回り危険だ。

超高層ビルにとどまらず、マンションを含めて住まいや職場になっている中高層ビルでは建物の耐震性や地盤について調べ、大きな地震が起きたときにどの程度の揺れが想定されるかを知ったうえで、避難路などの設定や家具、什器の転倒防止と固定化が急がれる。

         

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