地震、台風、火事、交通事故、…  突然にやって来る災害にどう備えるのか

日々の暮らしの中で、経験と知恵を生かして
自分のいのちは自分で守ろう!

電車の全面運休は都市災害

2011-09-25 | 地震防災談話室
台風15号の通過にともなう強風雨の影響で、首都圏では21日午後遅くから夕方にかけてJRをはじめ私鉄各社が相次いで電車の運転を見合わせ、帰宅ラッシュの通勤・通学者の足を直撃するかたちになった。新宿駅や渋谷駅などターミナル駅ではバスやタクシーを待つ人の長い列ができ、あきらめて駅前のカプセルホテルに泊まったり徒歩帰宅する人も出て、運転が再開された夜遅くまで混乱が続いた。

 ●想定外の足止めではなかった
猛烈な雨風で各地に浸水や強風による被害をもたらした台風15号について、気象庁は当初の「強い」台風から「非常に強い」台風に改め、強い勢力のまま西日本から関東にかけ上陸するおそれがあると早くから厳重な警戒を呼びかけていた。このため、学校では児童生徒を早めに帰し、首都圏でもまた電車が止まるのではないかと企業の中には従業員を早めに帰宅させたところもあったという。
台風の接近による電車の運転見合わせなどの判断は鉄道各社によってまちまちでほとんどが止まってから利用者に知らされ、一方、利用者側も台風の強風雨による影響に対する見通しの甘さをつかれたかたちになったようだ。

 ●都市災害として対応を
遠距離の通勤・通学者の多い首都圏では、電車やバスなどの交通機関が全面的に止まるとターミナル駅はつめかけた人たちで大混乱となる。運休時間が長引くと歩いて帰宅する人やマイカーなどで幹線道路は大渋滞となり、都市機能全般への影響は避けられない。学生や会社員は学校やそれぞれの勤め先で一時待機することができるが、買い物やレジャーで出かけてきた人は待機場所探しが大変で、赤ちゃんを連れた家族連れはどこで雨風をしのいだらよいのか。
今回のような事態は、大きな地震や風水害に限らず、停電事故や大きな事件・事故の発生でも起きることが予想され、都市交通が一斉に止まっただけで時間帯によっては大混乱となりまさに都市災害につながる。
東京都は、災害時のこうした帰宅困難者対策として企業に食料の普段の備蓄などを促す条例制定を検討しているというが、足を奪われた多くの外出者が雨風をしのげる待機場所はどこにあるのか。携帯電話などが通じない時の家族との安否確認をどのようにしたらよいのかなど課題は多い。こうしたトラブル発生時には、例えば駅をはじめ商店街や遊園地など、いわゆる集客スポットでの外出者への情報の提供や待機・避難場所の確保などが求められており、地域と行政が一体となっての対応が急がれる。

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マンションなどの高層階で多かった家具の転倒被害

2011-09-09 | 地震防災談話室
3月11日の東日本大震災では震源から遠く離れていた首都東京でも、震度5強から震度3の揺れに見舞われ、マンションなどの高層階で家具類の転倒や落下などの被害が多かったことが東京消防庁のアンケート調査でわかりました。

  ●11階以上の高層マンションでは半分近い世帯で被害

戸建て住宅やマンションなどの一般住宅では、22%の世帯で地震の揺れで食器棚や本箱が倒れて物が落ちたり、テーブルやソファーなどが大きく動いたりし、中でも、11階以上の高層階では47.2%の世帯でこうした被害があったということです。
ビルに入っている事業所については、20%が家具類の転倒・落下、移動があったと回答しています。このうち、転倒・落下は6階から10階での発生割合が高くなっています。重量のあるコピー機などの移動はビルの高層階になるほど割合が高くなっていたということです。
一般住宅では、転倒・落下の被害は1~2階の低層階でも、16.8%で起きており、郊外の世田谷や町田では戸建て住宅で1階は無事だったのに2階で本棚から本が飛び出すなど家具類の転倒・落下の被害が目立ったということです。

  ●揺れ方の違う高層階と低層階
都心では今回の地震ではゆったりとした長い揺れが続き、超高層ビルの中には地上の揺れがおさまった後も10分余り揺れ続けたビルもありました。そして、同じ建物でも高層階と低層階では建物の揺れ方なども異なり被害状況も違うことがわかりました。
東京消防庁はこうした調査結果を踏まえて、地震発生時の身の安全の図り方にしても階層による揺れなどの違いに対応した日ごろからの備えと行動が必要だとしています。そして、検討会を設置し、これまでとは違った高層階特有の揺れの原因解明とこれにどう対処したらよいかの具体的な対策を急ぐことになりました。

ところで、今回は地震の発生が日中で、激しく揺れ出すまでの時間が長かったこともあって家具類の転倒・落下などによるけが人は少なかったということですが、地震のたびに目立つのが、転倒防止をしていない家具類が倒れてけがをする人が多いことです。
家具類の転倒・落下、移動が起きたということは、転倒防止などの対策が遅れているということです。
都市部での高層化が進むなかで、超高層マンションに住んでいる人や高層ビルで働いている人の中には、建物が免震構造や制震構造になっているので揺れに対しても安全で大丈夫と勘違いしている人もいるようです。マンションやビルの管理組合をはじめ、行政や管理会社などが一体となっての、室内の家具などの転倒防止対策の推進が求められています。

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