地震、台風、火事、交通事故、…  突然にやって来る災害にどう備えるのか

日々の暮らしの中で、経験と知恵を生かして
自分のいのちは自分で守ろう!

津波や高潮からいのちを守る “逃げるが勝ち”

2013-11-24 | 地震防災談話室
「津波は 逃げるが勝ち」 東日本大震災の津波から逃げ、生き残った人の重い言葉だ。

台風30号による暴風雨と高潮で壊滅的な被害が出たフィリピンのレイテ島では多くの人が死亡、行方不明になった。日本からも国際緊急援助隊や自衛隊なども駆けつけ救援活動に当たっている。
レイテ島の中心都市タクロバンの隣町パロに移住した邦人は、台風直撃の前日に日本人の友人から避難を勧められたが、「台風はいつものことなので大丈夫だろう」と避難せず、自宅が大波に呑まれ首まで水につかったものの奇跡的に助かったという(毎日、11/15)。
同じ毎日新聞(11/18)は、海岸沿いの漁師町ドゥラグでは台風上陸の前日に、町長が集落を回り住民1万7000人を内陸にある学校に強制的に避難させ沿岸部の死者はゼロだったと伝えている。

 ●居住地の近くに安全な津波避難施設を
「津波は逃げれば助かる」といわれるが、近くに安全な高台や高いビルなどの避難場所が無い場合はどこに避難したらよいのだろうか。
沿岸部の低地帯では近くに避難場所が少なく、避難場所が遠いと病人や足の不自由な高齢者、幼い子どもたちにとってはすぐの避難は難しい。要援護者を支援する態勢ができていても支援者の仕事の関係や支援者本人が被災すれば駆けつけることはできない。

東日本大震災の後、救命ボートをかたどった津波避難艇や津波救命いかだ、津波避難塔など様々な避難施設などがつくられている。筆者も高齢者などが身近に自力で避難できる避難施設として、波高に合わせて上下できる避難いかだ(特開2013-107614)を考えてみた。しかし、これらは、岸に押し寄せ荒れ狂う津波の前に、安全性をどこまで担保できるのかとなると不安が残る。1854年の安政南海地震では大阪湾に来襲した津波が川を遡上し次々と船を破壊し船上に避難した多くの人が亡くなっている。沿岸の石油タンクから漏れた油が海面に広がり火災を起こすと火に囲まれ逃げることはできなくなる。

国は、南海地震など巨大地震津波の見直しを行う一方で、津波対策として防潮堤の建設計画や住民の高台移転を進めているが、沿岸に住む人たちが津波に襲われたときに身近に逃げ込める安全な避難場所の設置を忘れないでほしい。





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生き残るために、いま考え、しておくことは

2013-11-11 | 地震防災談話室
ユニホームの袖に「がんばろう東北」の文字を入れた楽天がプロ野球日本一に決まったとき、地元、仙台ではお祝いムードに沸いていた。選手たちの勝利への執念は、東日本大震災の被災地の人々に夢と希望と勇気を与え復興への底力となった。
災害で何もかも失ったとき、被災した人々に必要なものは生き抜く精神力だと思う。
国などの救援活動とともに、震災後に全国から寄せられた支援やいまなお続くボランティア活動は被災地の人々の励みになっていると思う。

災害列島のわが国では震災後も台風や竜巻などの風水害が相次いでおり、温暖化の影響か、先月も、伊豆大島では局地的豪雨による土砂災害に巻き込まれて多くの人が亡くなり、行方不明になっている。
地震津波、噴火、風水害と、災害はわたしたちの身の回りにいつ降りかかってくるかわからない。そのとき生き残るために、いま考え、しておかなければならないことが沢山ある。

  ●“誤表示”は食べ物だけではない
次々と出てきた有名デパートなどの“誤表示”騒動。 誤表示、不当表示、偽装、ずさん管理…と、新聞やテレビ各社の見出しの戸惑いはさておいて、知らぬはだまされたお客ばかりなりで、どのように釈明しても“確信犯”ととられても仕方がない。他業種にも広がっているようで、すべてを出し尽くしての世直しに期待したい。

人々のいのちを守る政治や行政についても、内容が伴わない“誤表示”ではないかと不信に思うことがよくある。
防災対策についてとりあげると、災害などでいのちを失う危険か迫っているときに住民に避難などの適切な情報提供や指示をしないことは、防災関係者としての不作為による“誤表示”にあたると思う。東北地方太平洋沖地震が起きたとき、岩手県釜石沖の津波計に異常な波高が観測されているのを知りながら、沿岸の人たちに情報提供を怠った地震津波の研究者やメディアを含めた関係者たち。適切な情報提供が行われていれば多くの人命が失われずにすんだはずだ。
災害時に交通機関が止まり徒歩帰宅する人たちに、水、トイレの使用、情報提供をしてくれるはずのコンビニなどに断水への対応ができていなと、徒歩帰宅者が期待して飛び込み一番困るのはトイレだ。水洗トイレに代わってマンホールトイレなどを用意しているところも一部にあるがビニール袋を活用するなど“誤表示”といわれないための知恵が必要だ。
地震などの災害が発生して混乱する中で、駅などの集客スポットに集まってきた滞留者の避難誘導は本当にできるのか。けがの手当てはどこでしてもらえるのか。沿岸での津波の避難場所はどこにあるのか。住む家を失った人たちの避難所や帰宅困難者の待機場所の確保はできているのか。それぞれ受け入れ態勢が本当にできているのかどうか、看板倒れに終わっていないかをこの機会にチェックしてみてはどうだろう。

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