阿佐ヶ谷の古本屋「元我堂」ナンダ店長日記

下町とモダンが混在する町、阿佐ヶ谷。そこに妙に佇む一軒の古本屋「元我堂」を水曜店主ナンダが見たままに。そのままに。

出かける前にサビーナに会った

2005-11-30 16:13:50 | てくてくと吐き出すところ
自宅で仕事いろいろの日だったので
合間に『ガッジョ・ディーロ』のビデオを観た。

シーンも台詞も憶えているぐらい何度も何度も観てるけど
どうしてこんなに好きなのか、と考えてみたら
体温がものすごく伝わってくる映画だからじゃないかと
思った。

体温どころか息づかいや皮膚の感触でさえも伝わってくるわけで。
人間ってそういえば生き物なんだよな、って思わせてくれるわけで。
泣いて笑って恋をして、怒って悲しんで喜んでそれで成長していく生き物。

内容もとても深いのだけど、それ以上に感情がどかんとおしよせてくる。
その感覚。
ジプシーの生活と共にある生きた音楽も最高。

それにしてもサビーナの大胆な台詞と恋する眼差しがたまらないったら。
ああ…もう…。くら。
情熱的で柔肌で、音楽を文字通り”感じて”踊る、強く美しい顔をしたサビーナ。

ふおー。


お。こんな時間。
サビーナは元我堂より森の方がきっと似合うだろうから
元我堂へはナンダが行っときます。

ラピュタ阿佐ヶ谷にようこそ

2005-11-23 20:11:38 | 阿佐ヶ谷の小ネタ
今日はうれしい水ようび。
うれしいうれしい映画のサービスデー。

これは行かなきゃ、と、ずっと前から行きたいと思っていた、
ラピュタ阿佐ヶ谷の”昭和の銀幕に輝くヒロイン 芦川いづみスペシャル”を観に行く。
しかも今日のは、裕次郎さんも出演している『堂々たる人生』という作品。1961年公開。

なんとも楽しい映画だった。
すっきりさっぱり爽快な90分。
昔観た日活アクションの映画も最高だったけど、
この頃の青春映画の小気味良さはなんなんでしょ。
脚本も演技も素直で嫌味がなくて気持が良い。
人間関係もごちゃごちゃしてない。すぱん!とね。



裕次郎さんのやんちゃな語り口と
長門裕之さんの意外とハマってる三枚目キャラと
芦川いづみさんの可憐な雰囲気が新鮮で心地よかった。
そういえば、最近日常語で「まあっ!」って使わないなーと思った。
素敵な響きなのに。
「まー。」ではなくて、目をまんまるくして「まあっ!」っていうの。

ちょうど今は、昼の間に”ミステリ劇場へようこそ”というシリーズも上映していて、こちらもものすごく観たいのばかり。
うー。

ラピュタ阿佐ヶ谷に住みたい。

結び目

2005-11-21 21:46:44 | 本や文章、本屋について
「これまでもずっと含まれていたし、これからもずっと含まれている。
 ここからすべてが始まるし、ここですべてが終わるんだ。
 ここがあんたの場所なんだよ。
 それは変わらない。あんたはここに繋がっている。ここがみんなに繋がっている。
 ここがあんたの結び目なんだよ。」

      ―『ダンス・ダンス・ダンス(上)』村上春樹

たとえばある出来事を「結び目」と呼ぶのはとても的確なような気がする。
たいていのことは、単にそれだけのこと、という風に捉えることもできる。

結び目が、ゆるかったりきつかったり、大きかったり小さかったりはするだろうけれど。
*
まだ読んだことのない、村上春樹の作品があるということは、楽しみが人よりひとつ多い、
ということかもしれない。私にとっては。
だから一気に読まない。読めない。
たまに、こんにちは。と手に取る。
この人の文章を目で追うのは、単純に、とてもたのしい遊戯のようなのだ。




天使が見た夢

2005-11-17 20:08:01 | てくてくと吐き出すところ
というフランス映画を学生の時に観た。
今でもよく憶えてる、シネスイッチ銀座の狭い階段。
タイトルから想像していたものと内容が大きく違っていて
びっくりした、エリック・ゾンカ。
暗いよっ。暗くて泣きそうだよ。って思ったこと。

でもエロディのベリーショートがかわいくて
(役柄もクールでかっこいいんだけど)
さっそく真似して髪をばっつりと切ったことを思い出した。
汚いカーキ色のセーターを古着屋で買ってみたことも思い出した。
しかしまあ、決定的なものがちがうので、
どうやってもエロディにはなれなかったよー。
*
今朝方、天使でもなんでもないナンダが見た夢はこんなこと。

***

音羽館の、ひょろりとしたメガネのおにーさん(ベージュのエプロンをしている)
と一緒に古本を運んでいる。

どうも音羽館の店員になっているらしいナンダ。

わーとはしゃぐでもなく淡々と作業しているところを見ると、
結構な年数が経っているのかしら。

音羽館は屋上まで倉庫だった!
「ちょっと、屋上に運んでおいて」というメガネのおにーさん先輩の指示に従い
本の束を持ってトントントンと階段を上って屋上へ行くと、
そこは倉庫兼、古本遊郭だった!

古本遊郭?
おっさんの周りにきらびやかな女郎4、5人。
みんな手に手にお酒を持ったり、あーんしてあげたり、
古本を運んできて渡してあげたり。

それって別に…。

ーおわり。

***

こんな夢。

なんだかリアリティあるんだかないんだか。

でも女郎役でなかったのがちょっと不服。ま、べつにいいんだけど。
今度音羽館に行くとき緊張するなー。

やったことリスト

2005-11-16 22:13:28 | 元我堂店番日記
”やることリスト”というものを作るのがどうも苦手であるということに
20数年間を生きてきて今更ながらに気が付いた。
デキる社会人なら必須!のあれ。それ。

だいたい私の場合
”やることリスト”を作っているうちに他の”やること”に気付いてしまい、
それをそのままリストに入れればいいのに、
うっかりそっちを実際に取りかかり始めたりして
そんなことをしているうちに
最初の”やることリスト”の内容はすでに
”ほんと今すぐやらなきゃ相当まずいよリスト”に変わってしまっていて
ええーっ、そうなの?今なの?どれぐらいまずいの、ええーそんなに!と
頭の中でしょっぱい自分と向き合って、うわあああ。うおおお。
という霧の中のネズミ状態によくなるんだがしかし。

いやー。デキる方がいいですよ、やっぱり。
両手合わせて10本指あるんだし。
スチャラダパーの歌は、口ずさむことはあっても
深く同意するようにはなりたくないんだボーズごめん。
いい人なんだけど好きとは違うのごめん。

そこでとりあえずほんとに目の前の、
本日の店番としてやったことリストを作ってみた。
良いところだけ書いてるかもしれない。ふひひ。

1.元我堂の店先の掃き掃除&棚の拭き掃除
2.値付け&品出し
3.面出し本替え
4.注文を受けていたお客様へのご連絡
5.色々なフリペが折れ曲がらないように、裏側に台紙を切って置く
5.吉祥寺で購入した新たなブックスタンドを3つ設置
6.パッタイを食べる
7.ねこの写真を見せていただく
8.お客さんがひいたのでこのブログ書いている
9.突然の「ぴきっ…ミシっ…!」という、店がきしむ音に驚く

…店番と関係ない事柄も混じったけど。

■面出し本はできるだけ毎日変わっているように。
その日によってお店の雰囲気からして違う、って具合にしたい。
だけれどもどうしても好きな本が何度も登場してしまうのね。
(いつまでも売れないということ?複雑。)
その日に面出しした本がちょうど売れるとにんまり。

■今日はプリッキーヌのパッタイ(テイクアウト)が夕ご飯。
朝暘の看板の黄色い明かりがなんとなくチクン。
しかしこのパッタイはプリッキーヌのランチメニューなんだけど
夜でもテイクアウトで買えるのがいいねえ。500円で大盛り。バナナの皮にくるんでくれるのだよ。
たけのこかと思ってむぎゅーっとかじったらレモンだった。
この辛いパッタイの合間に、若武者で喉を潤すのがまた、くーっとした感じですんごくおいしい。
若武者というのは緑茶なんだけど。

以上が本日の主だったやったこと。
それとお客さんと空気を共有など。

テルミン

2005-11-15 19:45:27 | てくてくと吐き出すところ
ドキュメンタリー映画の「テルミン」を観た。



ずっとビデオで買って置いたままだったテルミン。
響きがなんとも可愛らしいテルミン。
でもこれって発明した博士の名前がそのまま楽器になったんだよテルミン。
磁場が強いようだけど身体に悪影響はないのかテルミン。
ああっ!このホラー映画でよく聴く効果音がそうだったのねテルミン。



とにかくテルミン(というこれは電子楽器ね)は生み出され、愛されて、その音色が人々を魅了し続けている。
何よりもテルミン博士自身の人生のBGMとしてテルミンの奏でる音は最高だと思う。
不協和音あり、ノスタルジックな震えの調べあり。

クラシック映画でよく流れる、ほら、キャンドルのぼおっとした光の中で
男女が愛を語らう場面とかの…。
の曲は憂いを含んでいて、テルミンの存在感を際立たせていた。
ああ、美し。


本日の品出し(絶版文庫いろいろ)

2005-11-09 21:46:43 | 元我堂店番日記
今日は絶版文庫を中心に仕入れを。
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『昭和夢草紙』滝田ゆう
新潮文庫 昭和58年 初版・絶版 800円
■下町の粋人、滝田ゆうが絵と文で綴る、今は昔の「夢のお話」101話
 解説:田中小実昌

『くまぐす外伝』平野威馬雄
ちくま文庫 平成3年 初版・絶版 1000円
■博物学の巨人、南方熊楠の全貌が力強く描かれる
 解説:水木しげる

『風貌』土門拳
講談社文庫 昭和52年 初版・絶版 
■鬼才・土門拳が「日本の顔」と会い、撮り、記した古典的名著
湯川秀樹、幸田露伴、井伏鱒二、川端康成、梅原龍三郎、高村光太郎ほか

『続・風貌』土門拳
講談社文庫 昭和60年 4刷
■鈴木大拙、土井晩翠、谷桃子、イサム・野口、吉田一穂ほか

『続・風貌』土門拳
講談社文庫 昭和60年 3刷
■谷崎潤一郎、仁科芳雄、野口兼資、山田耕作、坂本繁二郎ほか
※3冊セットで3000円

『明治人物夜話』森銃三
講談社文庫 昭和48年 初版・絶版 1000円
■明治に輩出した人物50余人の、知られざる逸事や言行を記した一冊
 解説:向井信夫

『思いちがい辞典』別役実
ちくま文庫 平成11年 初版・絶版 帯有 500円
■「姉さん女房」「虚言癖」「冷蔵庫」の本当の意味と効用は…?
 思いちがいがいかに日常生活を豊かにしているかの疑問に、劇作家の著者が迫る!
 解説:宮沢章夫

『昭和幻燈館』久世光彦
中央公庫 平成4年 初版・絶版 700円
■洗練された文章と美意識が映し出す、憂いにみちた昭和文化の面影
 解説:川本三郎

『名画感応術』横尾忠則
光文社文庫 平成9年 初版・絶版 700円
■絵画を”感応”するための手引を贈る横尾流アート・エッセイ
 解説:伴田良輔

『ことばの食卓』武田百合子 画・野中ユリ
ちくま文庫 平成3年 初版 300円
■食べ物に関する昔の記憶や思い出を感性豊かな文章で綴るエッセイ集
 解説:稲村季弘

『私は本当に私なのかー自己論講義ー』木村敏+金井美恵子
朝日出版社 レクチャーブックス 昭和58年 初版・絶版 2500円
■精神科医と作家による、”私ともう一人の私”を巡る論

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