阿佐ヶ谷の古本屋「元我堂」ナンダ店長日記

下町とモダンが混在する町、阿佐ヶ谷。そこに妙に佇む一軒の古本屋「元我堂」を水曜店主ナンダが見たままに。そのままに。

はぁ。

2005-07-30 23:04:00 | てくてくと吐き出すところ
身体が疲れてるのと気持ちも沈んでるのがごっちゃになって(まあでもだいたいこれはいつもペアですが)、なんかちょっと辛いのでしばらくここはお休みします。

すいません。

大銀座落語祭2005

2005-07-18 10:33:45 | てくてくと吐き出すところ
3日間昼から夜までずっと落語、というお祭り。「大銀座落語祭2005

イベントなんかで”祭り”、ってつけるだけで3割増ぐらいで楽しくなるね。
これも気分の持ち上げ方。

さて、今回は上方の落語がやってきた、とのことでこってこての関西弁が機関銃のように飛び出てくる。わーなんか好きかもこのテンション。
ちなみにナンダが行ったのはこれ。”志ん朝トリビュート”

3年前に亡くなった志ん朝師匠が好きだったお題目や、トークショーいろいろ。

深いなあ、落語の世界。
流れ、だなあ。

無二の親友、馬風師匠の暴露ハイトークも良かった。
それにしても滑舌の良さ、少しわけてほしい。この僕に。

夏は沖縄気分で

2005-07-16 23:35:01 | てくてくと吐き出すところ
琉球舞踊が間近で見れますよーい。

”第4回 伊是名の会 琉球舞踊発表会”


■日時:2005年7月18日(祝) 13時半開演

■場所:江戸東京博物館ホール (JR両国駅 徒歩3分)

■入場料:1500円

■お問い合わせ:042-556-9337

うちの教室からもおんじー先生その他数名出演します。
ナンダは袴の手配が間に合わなかったのと、断然練習不足で曲目をマスターできず(どちらかといえばこっちね)ということで出演はナシ。

でも見に行く予定。

お時間と興味があればどうぞ。きっと素敵だよ。



背中に惚れること

2005-07-14 02:00:03 | 本や文章、本屋について
この間「カサブランカ」を見ていたら、ラストシーンの主人公が(まあいろいろとあった後に)歩いて去っていく姿がめちゃくちゃに格好良かった。

永遠の名作ゆえ、そんなの分かってるよ、という人も多いでしょうけれども
なんだか久しぶりに誰かの背中に惚れ惚れしてしまったので言いたくてしょうがない。
うずずず。

だけれども背中というのはたぶん、単なる一部なわけで、
要するに”こっちを見てない時のあなた”がそもそも気になってしまうわけで、
その御姿、オーラがぐっとくるということは何だかとても興奮してしまうのですね。
(違う意味で「珈琲時光」の小林稔侍さんのまあるい背中もそれはそれでぐっときた。永遠の父親像だねあれは)

背中。本で言うなら背表紙。
本棚に並んだバラバラの背表紙たちにもそれぞれ趣があってやるきの無さがあって。
みんな違う。
違う色、違う大きさ、違う質感、違うデザイン。
それぞれの良さを生かしたりそうでなかったり。

だけどときどきおっ、とやっぱり目がとまるときがあって。
その共通性って何だろうと思ったら統一性のあるデザインであってそれは晶文社の単行本だった。
ヤクだかカバだかサイだか知らないけど、背表紙に付いてるあのてくんとしたキャラクター。
僕は単行本に生まれて本当に良かったです。とでも本がしゃべっているかのような
すべすべしたフォルムと質感。
単行本らしいという形容詞があるなら間違いなくこの晶文社の本たちに当てはまるだろう。
お気に入りの本が多いというのもあるけど、なんとなしに手に取ってパラパラめくってみると
やっぱり面白いような気になってしまう、そんな本がたくさんあるのよ、晶文社。
最近のと昔の古本じゃちょっと違う気もするけど、まあ。

自費出版のようだ、と一部では言われているそうだけど、
でもやっぱり目の付けどころがうまいなと思う。
こういうところに、編集者の仕事ぶりが透けて見える。
そもそも編集ってこういうものなんだろうなと思う。


同じ型でずばーと並ぶ文庫棚でさえ、やっぱり呼び寄せる背中はある。
ナンダにとってはちくま文庫がそう。

なんででしょう、特に派手な色ではなく表紙・裏表紙と一体化しているクリーム色の地。
上の方にぴーっと入った一本のオレンジ色のライン。
何てことない普通の明朝体のタイトル文字。大きすぎることもない。
それより少しだけ小さい著者名がすぐ下にすとんと位置する。
それだけ。
文字にしてみればこれだけなのになぜか目を引いてしまうのなぜなぜー。

と、書いてるうちにああこれだと思った。
果たしてこれがデザインというもの?と。
文字にするとどうにも普通でも、そこのところの普通なんだけどなんか良いという感覚的なものを
具現化するのがデザインの一つの役割なのではないだろうか。


おととい、神保町の東京ランダムウォークで買った
「既にそこにあるもの」(大竹伸朗)

やっと文庫化したんだ!と思ったらちくま文庫だった。
さすがだ。

それにしてもこれはタイトルもいいなあ。
言葉以外の表現方法で生きてきたアーティストの放つ言葉にはなんだかむやみな体温が感じられて、いい。

私はせめて、背筋を伸ばして本を読むようにしよう。
猫背が似合うにはまだ早すぎる。

あーあ

2005-07-12 00:40:49 | てくてくと吐き出すところ
除光液が白いカーペットにぶっ倒れた。 どびしゃーんと。

水色のおもらしみたい。どうしよう。

しかしこの水色染料は何のためなんだろう。

水色と空色はやっぱり違うものなのかしら。

そういえば水の色は水色じゃないのに、それでいいってことになってるよね。

だってなんかその方がいいじゃんっていうこと、実は結構あるんじゃないのかなあ。

で。隅田川。

このうんちみたいなものが乗っかってる不思議なビルはいったい何なの。

これうんちなのかしら。

でもうんちでもうんちでなくても別にいいんだけどね。 ふふふ。


七夕の熱い男たち

2005-07-09 03:28:18 | 本や文章、本屋について
本日から始まった明治古典会七夕古書大入札会。in、古書会館。

最近は仕事で神保町づいている。古書づいている。嬉しい限りです。
毎日勉強なのだけど、いやー今日はほんとに鱗、フロム眼。

実はこういった古典会って始めて訪れるんだ。
どんなんなんやろーとドキドキしながら古書会館へ行くと、手をぶんぶん振って迎えてくださったのは
中野書店の中野さん。
中野さんはこれからの古本業界の進むべき方向をよーく見据えていて、新しいことに真剣に取り組んでいらっしゃる。
それでいてとってもおちゃめなおぢさまなのだ。
メールのテンションが楽しいお方。

西秋書店のおにーさんを紹介していただく。
なんと旅猫さんのブログを見て、以前に元我堂にいらしてくれたことがあったのだ。
世間って狭いなあ。
このナンダブログもたまに見てますよと言われて照れる。

それにしても古典会、ハマりそうでこわい。
紙の歴史の大きさを間近で見て触って。
はーまったく果てしないんだなあと遠くを見ずにはいられない気持ちになった。

昔の文豪のお世辞にも上手と言えない自筆も、愛されてるから長い年月を経てここにこうしてあるんだな。
今回の話題の「五箇条の御誓文」はとにかくオーラが出まくっていた。
その感じたオーラってさ値段ではないよね、と自分に確認してみるけど。
(それもあるね、と応えが返ってきてしまった。がく。)


中野さんの丁寧な解説は身につまされるようだったし(
昔の絵の具の発色の秘密や世界最古の印刷物にまつわる裏話などなど)、
何より非日常だったのは、ウン百万も画集や草稿なんかと真剣に向き合ってるおじさんたち。
ナンダはもう目がテン。これが神保町百景の一つなんだろうな。
まさに今、落としにかかろうとしている人を見かけると、ほんとに?ほんとにいくの?どーなの?
ひえーいくんだー。という感じで見守ってしまう。←ここらへんでは目は大きく見開く。横目ではなく凝視に近い。
その人の日常なんかをいらんお世話だろうけど勝手に想像してああやっぱりそーよね違うわよね、
なんてひとりごちる訳で。

でもしばらくいると、おっこの素敵な千代紙集10万かー。買いたいなー。
なんて思ってしまうから危険過ぎる。危険すぎるぞ古典会。


お金って時として万能なんだよなと思う。バケラッタ、バケラッタ。


キミに贈るエール

2005-07-07 22:44:03 | てくてくと吐き出すところ
亀ちゃんがオヤジになった。
オヤジ臭いのオヤジじゃなくて(まあそっちも…うーん。いや…。)、父親の方。

波瀾万丈な人生をひょうひょうとかつ一生懸命に歩いてきた亀ちゃんがとうとう人の親か。
世も末だねえ、なんて言いながら久しぶりにカウンターで肩を並べて呑んだ。

嫁さんがうんうん唸ってるときに仕事しながら蕎麦食べてて、病院行ったらお腹のぺっちゃんこになった嫁さんと乾いたおさるさんみたいなのが二つ並んでて驚いた
と話す亀ちゃんは前と何も変わってないような気がした。

”乾いた”ってところが、らしくてなんだか笑える。

しかし自分の分身(のような物体)がぽとんと置かれている感じっていうのはいったいどういうんだろう。
こればっかりはなってみないと分からないのだけど
まずははじめは、なんだか空ゲロが出そうな気がする。
(出た?って亀ちゃんに聞くの忘れた)

これって男の観点なんだろうか。
ナンダは前世がおっさんなので、やっぱりこういうときでも男の立場から考えてしまって、自分としてはちょっと悲しい。もっとこう…イエス、母性!みたいなのってまだ実感が沸かないんだなあ。

父と息子の関係といったらなんとなくイタリアのそれが理想なのだ。
親子というより親友。
バッボの大きくてスケベで男らしくて野生化(?)していてお茶目でちょいと情けなくてそしてとっても強くて家族が大好きなところを、隣で見てだんだん似ていくというような。
実はさ…なんて親友に打ち明けるように女々しいこしょこしょ話を風呂場で繰り広げるような。

そうなるといいな、というのは勝手だけど
たぶん大丈夫、そうなると思う。亀ちゃんだから。


いい大人なんて目指さないでね
大人なんてただでさえおもしろくないんだからいい大人になんてなろうとしないでね

大人が楽しんでいるところ、楽しくて楽しくてしょうがないっていう姿が
子どもの一番の手本になるんじゃないかと思う。

だから、要するに、そのままで。

浮き世とのしばしのお別れだーとか言ってる隣の声に、ほんとかー?と思いながら呑んだお酒はまことに美味しかった。
そして二日酔いで頭が重い。これは浮けない現実。すみません…。




ひょんなつながりがつながった

2005-07-07 22:03:11 | 元我堂店番日記
開店前の元我堂。17時まではいつもこれ。
ヒッピーなシャッターだけど不思議と浮いてる感じはしない。(と思っている)

◆先日の、阿佐ヶ谷の歯医者さんを教えてくれた、石田ゆうすけさんがご来店。

ナンダが自転車をかっ飛ばしていると、一人の青年が視界に入った。
一瞬目が合って

通り過ぎた。

そのまま自転車を漕いで

なんとなくさっきの一瞬が気になったような気がしたので

振り返る

と、

あやっぱりこっち見てるなんかあるななんかあるななんだあ

そしたら、”ナンダさん?”

あーやっぱりそうやそうや。ゆうすけさんだね、うわー。本物だ。インターネットってすごいな。

とっても気さくな方で楽しくおしゃべりしてしまった。
80カ国ってすごいな、それなのに2回しか成田通過してないってすごいな。(えー。)

旅の男って感じの爽やかさとたくましさが眩しくて
なんだか自分の不健康さをひさびさに自覚してしまった。

がんばるぞう。




トンコリナイト

2005-07-06 19:24:09 | 元我堂店番日記
【今日の仕入れ本】

■「世界ノンフィクション全集 26」※絶版(筑摩書房)1200円

■「悪女のすすめ」※絶版 楠本憲吉(山王書房)600円

■「男たちへ”フツウの男をフツウでない男にするための54章”」塩野七生(文芸春秋)1200円

■「中年を悟るとき」※絶版 伊丹十三/訳 南伸坊/画(飛鳥新社)800円

■「ちょっと探偵してみませんか」※絶版 岡島二人(講談社)1000円

■「人間になりたがった猫」ロイド・アリグザンダー/作 神宮輝夫/訳(評論社)600円

■「腐りゆく天使」夢枕獏(文集文庫)300円

■「小説読本」※絶版 吉行淳之介(集英社文庫)500円

■「完本・居酒屋大全」太田和彦(小学館文庫)250円

■「ヘミングウェイ短編集1」大久保康雄/訳(新潮文庫)300円

■「地下街の人びと」J・ケルアック/作 真崎義博/訳(新潮文庫)300円

■「消えうせた密画」エーリヒ・ケストナー/作 小松太郎/訳(創元推理文庫)300円

■「雪の中の三人男」エーリヒ・ケストナー/作 小松太郎/訳(創元推理文庫)300円

■「変身」フランツ・カフカ(新潮文庫)200円

■「ウエハースの椅子」江国香織(ハルキ文庫)250円

■「ピエトロ川のほとりで私は泣いた」パウロ・コエーリョ(角川文庫)300円


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【今日のBGM】

「TONKORI」OKI

アイヌの伝統楽器、トンコリは、先っちょのあたりだけ見ると三線に似てるような感じだけど
全体のフォルムは似てないね。
歌詞はないけどタイトルも、曲のイメージもちゃんとあって素晴らしい。

音はとってもぽかんとしている感じ。

靴下たがいちがいにはいてきちゃったことに学校で気付いたときのような
あれれ。のような。

どこかずれている。

このずれが元我堂にしっくり合っている。