阿佐ヶ谷の古本屋「元我堂」ナンダ店長日記

下町とモダンが混在する町、阿佐ヶ谷。そこに妙に佇む一軒の古本屋「元我堂」を水曜店主ナンダが見たままに。そのままに。

暴れん坊野郎、悪次郎

2005-06-30 22:41:36 | てくてくと吐き出すところ
昼間、横断歩道を渡っているとき。

一番先頭にビカビカ派手な2トントラックが停まっていて、なんとなくちらりと横目で見たら
”暴れん坊野郎、悪次郎”
というプレートがフロントガラス越しに見えた。

そのプレートのすぐ向こう、運転席にはそれこそおっかない顔したおっちゃんが。

おっかない顔したおっちゃんが
爪を噛んでいた。


世の中の本当の悪はこんなところにはない、と思いたい。



かにと好きな女の子はいぢめちゃいけません

2005-06-29 19:51:54 | 元我堂店番日記
【今日の仕入れ本】

■「そよ風とわたし」今江よしとも/文 上野紀子/絵(ポプラ社)900円

■「くんちゃんのふゆのパーティ」ドロシーマリノ(ペンギン社)650円

■「もりのかくれんぼう」※書き込みあり 末吉暁子/作 林明子/絵(偕成社)300円

■「さるとかに」神沢利子/作 赤羽末吉/絵(銀河社)900円

■「ふしぎなナイフ」」※書き込みあり 中村牧江、林健造/作 福田隆義/絵(福音館書店)300円

■「おねしょの名人」山田真、柳生弦一郎(福音館書店)900円

■「うえきやのくまさん」フィービ、ジョーン・ウォージントン(福音館書店)350円

■「天の羊」林完次/写真(光琳社) 1000円

■「ともだちは緑のにおい」工藤直子/作 長新太/絵 700円

■「女体素描」※絶版 竹久夢二 2000円

■「太陽”エロスの20世紀”」 1993年 1000円

■「GYROS”沖縄の苦悩”」諏訪春雄責任編集 700円

■「シネマ厨房の鍵貸します1・2」(日本ヴォーグ社)各900円

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この間、ナンダンナに
”それさ、仕入れ本をブログで見て実際に買いに来る人いるのー?”
と真顔で聞かれた。

そ、それは…。


でもいーの!

いーの!


それにしてもこの「さるとかに」。

大胆な構図と迷いのない水彩タッチはさすがの赤羽さん。赤羽さんが動物を書くと一気に”昔話”の世界になってしまうのがすごい。
そしてそして神沢利子さんの文となってるけど、
ところどころ、やっぱりオリジナルなのかしらおよよ?という部分があったりして。

ナンダの知ってるいわゆる「さるかに合戦」は
さるに柿を投げつけられたかには大怪我をするだけだったしだけって言ってもそれもひどいんだけどここでは

”かきが こうらにあたって、かには、ぺしゃりと つぶれてしまいました。
 すると、つぶれたはらから、ちいさな こがにどもが ずくずく ずくずくと
 あとから あとから うまれて きました”

ひえーそんなん想像したくないわっていうかずくずく ずくずくってなによー。
という感じでありまふ。

さらにこがにどもの敵討ちの道すがら、なぜか”うしのふん”が仲間入り。
牛糞ですか。
…うーむこんなんだったかなー。しかもこの牛糞手が伸びてるし。

ナンダ的には栗がぱぁん!とはじけたときのさるの顔(のページ)が最高傑作だと思うのだけど。
子どもだったら寝付けなくなるよ、これ。

赤羽さん、最高。

みんなの50年

2005-06-29 00:15:58 | てくてくと吐き出すところ
神保町でお昼を食べる日常になり、そうなってくるとこりゃーあなどれませんよのランチタイム。
銀座のOLさんばりに、今日も開拓心と志だけは高く持ってお腹のぐーぐーの音を待ってる。

ぐー。
(まだまだ)

ぎゅるぎゅるるる~。
(おー、きたきた)

予め決めておいた炭火焼定食屋さんによーしと意気込む。
でも、がく。
クールビズ軍団が道路まで溢れかえってる。のでやめ。

やっぱりいつもの「喫茶店さぼうる」へ。

使い込んだ木目の浮き出しているテーブルや薄暗い明かり。
漂うようなゆるゆるとした時間の流れの中で、古本をゆっくりとめくればそこは自分だけの世界。
パノラマシーサイドホテル。ママレードボーイとセレンディピティ。

ジーザス。

しかししかしその素敵な雰囲気ゆえあまりにも映画やドラマで使われ過ぎて
ランチ時は超混雑なのが残念なのだ。

女子の店員さんがつれないとこも残念。
でもお水はくれるからよし。
ただ、世界中の女の子には笑っていてほしい。なんとなく。

今日もやっぱりナポリタン。ケチャップべちゃべちゃ。デカ盛り。
お皿からはみでそうなほどの特大ナポリタン。サラダ付きで650円はなかなか安い。
パスタでお腹いっぱいなんて感覚はここぐらいだと思う。


さぼうるは古本の街、神保町の空気を背負い続けてきた。
べちゃべちゃナポリタンを恋人が食べながらケチャップ口についてるよーやだもーはははなんていう光景や
悶々と悶えながら原稿用紙と向き合う作家さんが水こぼしちゃってあーれーなんていう光景や
会社をさぼって古本を読みふけるサラリーマンの眼鏡が珈琲の湯気でくもるような光景や
その他、たくさんの人がここを、ここで時を過ごしてきた。
そんな喫茶店。

私が知ってるこの数週間なんてきっと、へみたいなもんなんだろう。

そのへがたくさん積み重なった50年
ばんざい。

まだまだだわ。


。・。・。・。・。

元我堂の地図は >>こちら

ひょんなつながり

2005-06-26 14:27:21 | 阿佐ヶ谷の小ネタ
新しい土地に来て困ることと言えば、病院だの歯医者さんだの直接的にダメージを負うんじゃないかという点から慎重にならざるを得ないもの、大事なそういうことをやばい。知らない。ということ。

しかもそういうものに限って、一刻の猶予もないってぐらいそのまさに危機的状況にならないと知る気にならないから厄介なのよ。(私だけ?)

先日のバリ島旅行中、たしかウブドの屋台ですごく脂っこいチキンを食しているときに
何か石ころみたいなものを食べた気がして、ぷっ。って吐いたのが実は歯の詰め物だったと気付いたのは帰国してからだった。
神経抜いたところだし早いとこ歯医者さん行きたいけどしかしどこ行きゃいいんですか。

そんなときだめもとでネットで調べたら、良さそうなところを教えてくれた方がいた。

石田ゆうすけさん。
阿佐ヶ谷在住の、なんと旅ライターさん。『いちばん危険なトイレといちばんの星空』を書かれた方。読んでみたい。これ。
モロッコのメルズーがの砂漠の満点星空解放トイレも入ってるかな。

とっても親切に石塚歯科医院を教えてくださり、さきほど2回目の診療を終えて大満足。
優しくて痛くなくて(これが重要)アフターケアもよいよい。こじんまりとしていて清潔だしスタッフが全員女性(これも重要。ある部分では)だし。

おすすめできます。中杉通りファミマの裏手。
>阿佐ヶ谷の方々

石田さんのサイトもこれまたおもしろい。
エッセイの文章は人柄だなあ。と。
しかも、元我堂のすぐ近くにお住まいらしい。

仲良くなれるといいなあ。
そしてついでにおすすめ病院や美味しい八百屋さんとかなんとか聞いてみちゃおう。ひひん。


手と紙

2005-06-21 00:48:23 | 本や文章、本屋について
”手”と付く言葉は不思議といやなものはない、と思う。

手袋、手鏡、手帳、手並、手品、手柄、手拭い、手本、握手、上手、先手、手配、空手…?妙手…?
あれ。
どうでしょ。

まあそういうことにして、その中でもやっぱり手紙が一番だと思う。

手紙が届いたときの嬉しさは、幾つになっても変わらないと思う。
字をしたためる相手の姿を想ってもぞかゆくなったり、便箋と封筒が合ってなくてもそれはそれで嬉しい。

手紙を書くときの妙な張り切りようは、幾つになっても変わらない。
メールでいいじゃない、というのは言いっこなし。
字が下手な自分を直視してちょっとがっくりしながらも、何かでカバーできないかなと妙なペタペタや意味不明なイラストを落とし込む。

そういう手紙まわりのあれこれって楽しい。
そもそも紙に手がつけばそりゃもう最高なんだ。
私が中国人だったらこの言葉を見ただけで信用してしまうにきまってる。

そうこうしてるとほらまた誰かに手紙を書きたくなる。


google

2005-06-18 02:38:18 | てくてくと吐き出すところ
が、出始めたときのことを今でも憶えている。

yahoo!の検索機能にどびっくりしていた私は、さらに追撃をくらったようだった。

すごい。すごいすごいすごい。

と、はー、こうやって今、ここで、実にさまざまな情報が得られるようになるんだなあ、と
興奮しながら感心した。

私たちはgoogleを通して広い広い果てしない世界を見る事ができる。
でもgoogleに何も打ち込まないと何も見えない。

googleはものすごい速さで関係ある事項を出来る限り表示する。
でもgoogleのことを教えてくれたのは埼玉の蕨のなんとかというお寺で着物の撮影したときのカメラマンさんだったな定食を食べていた最中。という余計な記憶はgoogleでは出ない。

だからなんだというわけではないけど。





元我堂、読売新聞に掲載。

2005-06-17 11:00:06 | 元我堂店番日記
抜粋↓

===

会社員の鈴木康孝さん(32)は2年前、東京都杉並区にある古書店「元我堂(がんがどう)」を
前の持ち主から引き継いだ。
会社勤めを続けているので、営業できるのは週末などに限られている。
自分の都合がつかない時、友人に店番を頼んだところ、「一度本屋の店長になってみたかった」と
面白がる人が多かった。
そこで、昨夏から、無報酬で夕方から夜まで店番をする、曜日替わりの“店長”を募集したところ、応募が相次いだ。

 火曜日の店長、石塚奈津子さん(24)は本のデザインをする事務所で働いている。
無報酬とはいえ、店長には特典がある。自分の蔵書を店に並べ、その売り上げは自分のものにできるのだ。
石塚さんも写真集や美術展の図録などを並べているが、「ほとんど収入にはならない」とか。
 しかし、一番楽しく役に立つのは、お客さんとのやりとり。
「自分が知らない本を教えてもらったり、最近の美術界の話をしたり。
さまざまな人から学べる『もう一つの自分の部屋』だと思っています」と石塚さん。

 本が取り持つ仲はこれからも広がっていきそうだ。

(2005年6月16日 読売新聞)

===

むくむくっと。ですなあ。



古本×ウイスキー=

2005-06-09 23:56:31 | 本や文章、本屋について
「古本とお酒」っていう組み合わせは最初はたぶん、なんとなくごろが合うし、格好つくし、これちょっといいんじゃないの!?
というノリだったと思う。そうに違いない。
もしくは中島らもさんが大学生のころに世に広まったんじゃないかな。
昔の純文学作家が難しい顔で本をめくりながら片手にホッピーのジョッキ抱えてるなんて、ちょっと想像したくない。

だって普通に考えたら、本読みながらお酒呑むって酔うってそれいいんですか。という感じ。

でもいいんだよなあ。これが。と思うようになってしまった。
ああ…! ジーザス。


なんていうの。ほろ酔いふわふわのときに文字を追っていくと7割ぐらい耳から耳へつーって通過していくんだけど、たまに、ほんとにたまに、ぅぅぅぅうわあっ! っと言葉が迫ってくるときがある。
東映のロゴみたいな感じで。
あれ。ほら。あれです。わかるね。

その東映のためなら他の7割はまあ流れても構わないのではないかとも思ってしまうから不思議。

というよりも
酔いに任せると世の中だいたいのことが、すごいすごい、ってなってしまう単純明快な人種なだけかもしれない。ナンダが。

なんだか最近自分に自信が持てなくて。とお悩みのあなた、ナンダにお酒を呑ませてみてください。そりゃあもう、すごいすごいあんたは最高だよの嵐にしてみせますから。
2500円ぐらいあればそのくらいのテンションまでもっていけると思う。(今ちょっとざっと計算してみた)

それで個人的には古本にはビールだと思っていたのだけど、
なんとなく最近は古本とウイスキーという響きが気になる。
どしてでしょう。

そこで訪れた高円寺の「古本酒場 コクテイル」
行こう行こうと思いつつ、ずっと行けなかったのだけど勢いで行ってみた。

薄暗い店内には本棚が2つ、3つ。
古いふるい本が静かに並び、それをむふふんと眺めるひとときはたまらんね。
そうそうこれこれとウイスキーの水割りをちょいと無理して呑みつつ探ると、結構ツボなのがあって歓喜。
財布のひー。という声を無視してしまいました。
あとでひー。というのはもちろん自分なんだけど。

・「散歩のとき何か食べたくなって」 池波正太郎
・「絹の随筆」 森田たま
・「天の羊」 林完次
・「秘境フンザ王国~不老長寿の理想郷~」 島澄夫

の4冊を購入。

わきゃー。

特に、フンザ!

フンザの本…!

というわけでタイトル買い。

待ってろい、フンザ。

早くページを明けたいけどせっかくなら気分良く東映がきそうなときにしたいから、と言うことで
もったいぶってまだ読まない。まだだまだだ。
読もう読もうの予備軍がまた増える。

でもビール片手に予備軍たちをがさごそやるというのも地味で平和でいいよね。
それもね。

。・。・。・。・。

元我堂の地図は >>こちら

GOOOOOL!!!!!

2005-06-09 23:48:23 | 元我堂店番日記
という文字を眺めながら、あ。入ったんだ。
って知る。パソコンのディスプレイ。
精一杯の実況なんだね。文字にしてみれば。
赤と青の混合文字ですし。
ただごとじゃないんだね。

インターネットなんてそんなもんさ。
それはそれでいいんだけど、今回はどこへいっても選手の生の活躍を見れないんだもんね。
なんでしょ。
サッカーってさ、選手と観客の一体感がそもそもゲームの一要素なんじゃないのさ。
それが無いって、どんなんなのさ。
好きな人に見ていてほしい、っていう思いは何も子どもの運動会に限ったことじゃないのに。

ゴールを決めて、選手は誰にガッツポーズをしたらいいんだろうね。
振り上げたはいいけどこの拳を誰が受けとめてくれるんだよう。

そういうことを考えたらこんなことはもう二度とないように、って思う。

ま。勝ったね。

ワールドカップ出場も決まったし、よっしゃ、じゃんじゃん持ってけ~!!


とはしません。

ごめんね。ほほほ。

久しぶりに会ったM里ちゃんは、3冊で200円の文庫本の最後の1冊が決まらなくて悩んでいて一緒にこれは?これは?と悩んだり。
かなり長いこと悩んでなんとか3冊選んで。まいど。

ならば最初から2冊で100円にしてあげればいいのに。

いえ。そういうのは違うんです。
迷惑かもしれないけど、せっかくなら一緒に3冊目を選ぶ。これが元我堂なんです。
これどうかな。それはつまんなそうだよやめときなよ。これはどう?
そういう一押しをするのが元我堂なんじゃないかな、と勝手に思う、今日この頃。
無責任かもしれないけどでも真剣。

【今日の仕入れ本】

■「贋食物誌」吉之淳之介(新潮文庫・絶版)300円

■「人生の楽しみ見つけたり」山口瞳(講談社+α文庫)300円

■「父の詫び状」向田邦子(文春文庫)300円

■「シャンドライの恋」ジェイムズ・ラスダン(角川文庫・絶版)300円

■「ブンとフン」井上ひさし(新潮文庫)200円

■「ご依頼の件」星新一(新潮文庫) 200円

■「イギリスとアイルランドの昔話」石井桃子/編・訳 J・D・バトン/画(世界傑作童話シリーズ)   
 600円

■「ムギと王さま」E.ファージョン 石井 桃子(ファージョン作品集 3・4刷・絶版) 900円

■「ヒナギク野のマーティンピピン」E.ファージョン 石井 桃子(ファージョン作品集 5・初版・絶版) 1200円


さわやかな夕暮れへと

2005-06-08 18:06:54 | 元我堂店番日記
2週間ぶりの店番です。

店内もずいぶん雰囲気が変わっていてすっかり夏の風を受け入れる準備が整いつつある感じ。
今年からお店の軒先に置くことにした縁台が素敵です。
縁台で古本。

じーーーーーーん。

お昼に食べたパスタは驚くほどまずくてこれはレジでこのやろーって怒ってもひょっとしたら許される?ってぐらいまずくて胸やけがひどいのですが、それでも縁台で足をぶらぶらしてるとじーーーーーーーんとしています。


歩く人にまてまてみんなよ。と声を掛けたくなります。


日がのびたねぇ。ふひひ。
では。